ロバート山本博さんが芸人として、パパとして、気づきを綴る本連載。
第104回目は、スタートしたばかりのNHK大河ドラマ『青天を衝け』について。

■僕らは渋沢栄一さんの元で生かされている
麒麟がくる』の興奮冷めやらぬなか、早くも次の大河ドラマ、渋沢栄一を描く『青天を衝け』が始まりますね。歴史に興味がある僕ですが、実は渋沢栄一が活躍した明治以降はまだまだ勉強中なので、大河を通して新しい学びができればいいなと期待しています。

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渋沢栄一といえば、次に導入される新一万円札の図柄になることが決まっている偉人ですが、調べてみるとその功績の数々に驚かされます。愕然とするくらいに、今の日本に大きな影響を与えている人なんです。

というのも、約500もの企業の設立に関わっていて、そのラインナップがすごい。今のみずほ銀行にJR、東京ガス、東京海上火災保険、東急電鉄、帝国ホテル、東京証券取引所、キリンビールサッポロビール、王子製紙……もう、きりがない。一人が500の会社に関与する、ってもう訳がわからないですよね。

しかも、毎日使っているJRだったり、僕らの生活に深く関わっている会社ばかり。結果、僕らは渋沢栄一さんの元で生かされている、と言っても過言じゃない。もし、これらの会社がなかったら、今の日本ってどうなってるの!?と。

そんな渋沢さんは、生まれが埼玉県深谷市。我が群馬県とも接する街で、僕の地元とも近く勝手に親近感を抱いております。その深谷のなかでも、渋沢さんは「血洗島」というなんとも怖い地名の生まれ、というのも僕が気になっていたところです。

■大河・渋沢栄一は、『半沢直樹』か『プロジェクトX』か
気になっているのは、この渋沢栄一の生き様を大河でどう描くのか。たとえば、戦国時代であれば合戦があって派手なシーンも描けます。それに対して、事業を起こす、というのはドラマ描写としては地味になりかねないと思うんです。

そこで勝手な予想をすると、『半沢直樹』的なものになっていくんじゃないか、ということ。『半沢直樹』における、香川照之さんが演じた大和田常務のような、立ちふさがるライバルのような存在が登場し、蹴落としあい・騙しあいの世界を演じていく。そんな、これまでの大河の常識を覆すような展開になったら面白いですよね。

もうひとつ、浮かんだのは映画『陽はまた昇る』です。主演は西田敏行さんで、家庭用ビデオVHSがどうやってSONYベータを抑えて覇権を握ったのか、という『プロジェクトX』の映画版のような内容なんですけども、この映画がすっごく面白いんです。

企業人のプライド、職人たちの姿勢が『半沢直樹』にも通ずるものがあります。利権争いのなかでうごめく人間模様というか、蹴落そうという人間、騙そうとする人間も出てきて、見入ってしまうんです。

そんな「渋沢栄一プロジェクトX」だと思って見ていけば、めちゃめちゃ面白いはず。そして、この分野も当然、NHKさんは得意なわけですから。うっかりどこかで中島みゆきさんの曲が流れるかも!?

■いつか大河の主人公になれる!? 戦国三大梟雄
これまでの大河のセオリーからすると異質な主人公でもある渋沢栄一。そんな渋沢さん同様、歴史を遡ればほかにも、魅力的なエピソードはたくさんあるのに大河の主人公になったことのない偉人、というのは結構います。

たとえば、“戦国三大梟雄”。『麒麟がくる』でも魅力的に描かれていた斎藤道三松永久秀。そして、宇喜多直家という武将です。まあ、悪党はなかなか主人公として描きにくいのは重々承知していますが、それでもドラマ化して欲しくなるほど個性の強い3人です。

この3人の何が面白いかと言ったら、成り上がり物語がギリギリアウトっぽいところ。斎藤道三宇喜多直家はライバルが次々と不審死を遂げたとされますし、松永久秀に至っては主君を次々に乗り換え、将軍暗殺を裏で操った説があったりします。

織田信長の「比叡山焼き討ち」も鬼の所業と言われますけど、その前に松永久秀は「東大寺焼き討ち」をしてますから。ただ、基本的な能力が高いので、いろんな人からヘッドハンティングされる。信長の家臣になったこともありながら、結局はその信長も裏切り、最終的に徹底抗戦する松永久秀は本当に面白いですね。

あともう一人、大河の主人公にしたいすごい剣豪がいるんです。ただ、この話をしだすとかなり長くなりそうなので、また次回に!

撮影/モリサキエイキ 構成/オグマナオト 企画/mamagirlWEB編集部
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掲載:M-ON! Press