チャンピオンズリーグ(CL)ラウンド16・1stレグ、バルセロナvsパリ・サンジェルマン(PSG)が16日にカンプ・ノウで行われ、アウェイのPSGが1-4で先勝した。
 
2016-17シーズンにCL史上最大の逆転劇の1つとなった“カンプ・ノウの奇跡”を演じた両雄による、ベスト8進出を懸けた注目の初戦。
 
ユベントス、ディナモ・キエフ、フェレンツヴァローシュと同居したグループGを2位通過したバルセロナは、3位に位置するラ・リーガでは目下7連勝中と好調を維持。5-1のマニータで大勝した直近のアラベス戦からは先発5人を変更。ミンゲサ、ジュニオル、リキ・プッチ、イライクス、トリンコンに代わって約3カ月ぶりの戦列復帰となったピケ、ジョルデイ・アルバ、デスト、ペドリ、デンベレが起用された。
 
一方、昨季の準優勝チームとして臨んだPSGは、RBライプツィヒマンチェスター・ユナイテッドイスタンブール・バシャクシェヒルと同居したグループHを制して、前評判通り首位での突破を決めた。ただ、国内リーグで2位に甘んじるパリの巨人はグループステージ突破に導いたトゥヘル監督を昨年末に電撃解任し、クラブOBのポチェッティーノ新監督を招へい。そのアルゼンチン指揮官PSGでのCL初陣では負傷のネイマールディ・マリア、ベルナトと3人の主力を負傷で欠く中、クルザワやケアン、パレデスらが代役を担った。
 
戦前はヴェッラッティのトップ下起用の可能性が伝えられたが、両チームは共に[4-3-3]の布陣でスタート。PSGはケアンとムバッペの両ウイングを中に絞らせ、両サイドバックを高い位置に張らせて相手4バックに対して5枚での攻撃を敢行。開始4分にはグイエがミドルシュートで両チームを通じたファーストシュートを放った。
 
一方、立ち上がりからボールを握るものの、グイエやパレデスと強度の高い守備に手を焼きペドリらのボールロストが目立つバルセロナだが、要所で相手のプレスを剥がして相手陣内深くまで侵攻。14分にはペドリからの短いパスに抜け出したグリーズマンがボックス左に抜け出してシュートを放つが、ここは元レアル・マドリー守護神のセーブに遭う。
 
その後は19分にショートカウンターからムバッペの絶妙な浮き球パスに抜け出したイカルディに決定機が訪れるなど、相手のパスワークの起点をケアしながらコンパクトな陣形からカウンターを繰り出すアウェイチームがややペースを掴む。だが、先制点を奪ったのはホームのバルセロナだった。
 
27分、味方からの浮き球パスに抜け出したデ・ヨングがボックス内で後方から追ってきたDFクルザワと交錯。接触は微妙だったがこのプレーでPKが与えられる。これをキッカーのメッシがゴール右上隅の完璧なコースに突き刺した。
 
不運な形から先にゴールを許したPSGだったが、序盤から狙っていた形と個の力がかみ合い、貴重なアウェイゴールを奪う。32分、中に絞った3トップで4バックを中央に寄せて空いた左サイドのスペースに走り込んだクルザワに最後尾のマルキーニョスから高精度のフィードが通る。ここでクルザワ、ヴェッラッティと見事なダイレクトパスが繋がり、ボックス中央のムバッペに渡ると、絶妙なファーストタッチ、ボールコントロールで左に短く持ち出してDFラングレをかわし、ニア上へ強烈な左足のシュートを突き刺した。
 
互いに1ゴールずつを奪い合ったことで、前半終盤にかけては決定機を作り合うオープンな展開に。35分には再び攻撃参加を見せたクルザワがボックス左に抜け出してGKテア・シュテーゲンにセーブを強いると、バルセロナも直後の37分に相手CKのロングカウンターから並走するデンベレをオトリにボックス左まで運んだグリーズマンが枠のわずか右に外れる惜しいシュートを放つ。さらに、PSGはケアン、イカルディと決定機を作るが、GKテア・シュテーゲンの好守もあって前半のうちに逆転まで持っていくことはできなかった。
 
1-1で折り返した後半、先に動いたのはPSG。前半終盤にブスケッツに対するアフターチャージであわや2枚目のイエローカードで退場となりかけたグイエを下げてエレーラを投入。この交代によって前半と同じ戦い方を継続した。
 
メッシを中央に置くことで守備強度が下がるバルセロナに対して、PSGは足元に優れる2センターバック、アンカーのパレデスがストレスなくボールを動かし、卓越したキープ力を誇るヴェッラッティ、ムバッペが崩しの局面で違いを生み出す。
 
50分には自陣からの流れるパスワークとムバッペの打開力でスピーディーな攻撃を仕掛け、最後はボックス右でイカルディの丁寧な落としを受けたケアンが右足のシュート。だが、DFアルバにディフレクトしてゴールに向かったボールはGKテア・シュテーゲンの見事なワンハンドセーブにはじき出された。
 
守備の苦戦で攻撃でもリズムが出ないバルセロナだったが、後半も10分を過ぎた辺りから相手のコンパクトな守備を崩しかける場面を作り出し、押し返していく。そして、セットプレーから2点目のチャンスを窺うが、決め切るまでには至らない。
 
後半序盤の攻防を経て試合は徐々に膠着状態に陥ったが、再びPSGが狙い通りの形からゴールをこじ開けて逆転に成功する。65分、相手陣内中央でボールを持ったパレデスが右サイドの高い位置で相手の背後を狙うフロレンツィへ絶妙なフィードを通す。そして、丁寧に折り返したボールはDFピケにわずかに触られるが、こぼれ球に反応したムバッペがコースを狙った左足のシュートを突き刺す。VARによるゴールチェックが入るも、フロレンツィの抜け出しはギリギリオンサイドでゴールが認められた。
 
さらに畳みかけるPSGは70分、相手陣内左サイドで得たFKの場面でキッカーのパレデスが正確なボールをファーサイドに入れると、マルキーニョスと交差する動きでうまくフリーとなったケアンが頭で合わせ、リードを2点に広げた。
 
ハーフタイムに修正を施せず、放置していた守備から連続失点を喫したバルセロナは、3失点目直後にデストを下げてミンゲサ、79分にはピケ、ブスケッツペドリを下げてリキ・プッチトリンコン、ピャニッチを投入する3枚替えを敢行して勝負に出る。81分には相手GKナバスのミスからグリーズマンブロックがゴールに向かう決定機も、これはわずかに枠の右へ外れた。
 
その後、互いに交代カードを切っていく中、ヴェッラッティ、ケアンに代えてドラクスラー、ダニーロを投入したPSGの交代策が決定的な4点目をもたらす。85分、自陣でのボール奪取からイカルディダニーロ、ドラクスラーと繋ぎロングカウンターに転じると、最後はドラクスラーから丁寧なラストパスを受けたムバッペがボックス左45度の得意の形から右足のコントロールシュートをファーポストに突き刺し、ハットトリックを達成した。
 
そして、試合最終盤のバルセロナの猛攻を危なげなく凌ぎ切ったPSGが4年前に味わった“カンプ・ノウの悲劇”を払しょくする力強いパフォーマンスで4-1の圧勝を飾り、来月行われるホームでの2ndレグに向けて大きなアドバンテージを手にした。

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