2021シーズンの明治安田生命J1リーグ2月26日に開幕。昨シーズンは降格がなくなったため、今シーズンは史上初となる20チームでのJ1リーグとなる。

昨シーズンに引き続きコロナ禍でのリーグ戦開催となる中、各クラブが積極的な補強や、チームの改革を行っている。

そこで、開幕を前に超ワールドサッカー編集部が、チームのノルマや補強達成度、イチオシ新戦力、そしてJリーグの開幕キャチコピーとして発表された「#2021のヒーローになれ」にあやかり、今シーズンのヒーローになるべき選手をピックアップした。

第4弾は、昨シーズンの明治安田J1で17位に終わったベガルタ仙台を紹介する。

◆補強動向《D》※最低E~最高S
【IN】
GKデリコ・ストイシッチ(23)←無所属/完全移籍
GK井岡海都(22)←仙台大学/新加入
DF長倉颯(24)←FC岐阜/完全移籍
DF真瀬拓海(22)←阪南大学/新加入
DFアピアタウィア久(22)←流通経済大学/新加入
MFマルティノス(29)←浦和レッズ/完全移籍
MF秋山陽介(25)←名古屋グランパス/完全移籍
MF氣田亮真(23)←V・ファーレン長崎/完全移籍
MF上原力也(24)←ジュビロ磐田/期限付き移籍
MF加藤千尋(22)←流通経済大学/新加入
FW皆川佑介(29)←横浜FC/完全移籍
FWエマヌエル・オッティ(24)←ヴィゼラ(ポルトガル)/完全移籍
FW西村拓真(24)←CSKAモスクワ(ロシア)/期限付き移籍→完全移籍

【OUT】
GK関憲太郎(34)→レノファ山口FC/完全移籍
GK川浪吾郎(29)→サンフレッチェ広島/完全移籍
GKイ・ユノ(21)→未定
DF浜崎拓磨(28)→松本山雅FC/完全移籍
DF金正也(32)→藤枝MYFC/完全移籍
DFパラ(25)→ボタフォゴFC(ブラジル)/完全移籍
DF柳貴博(23)→FC東京/期限付き移籍終了
DF常田克人(23)→松本山雅FC/期限付き移籍→完全移籍
MF椎橋慧也(23)→柏レイソル/完全移籍
MF飯尾竜太朗(30)→ブラウブリッツ秋田/完全移籍
MF兵藤慎剛(35)→未定
FWジャーメイン良(25)→横浜FC/完全移籍
FW長沢駿(32)→大分トリニータ/完全移籍
FWアレクサンドレ・ゲデス(27)→ヴィトーリア・ギマランイス(ポルトガル)/期限付き移籍終了
FW山田寛人(20)→セレッソ大阪/期限付き移籍終了

今オフの動きに関して言えば、他のクラブに比べて積極的に動けていないという印象が強い。単純に選手の人数を見ても、昨シーズンから退団した選手が多く、その中にはレギュラーとしてプレーしていた選手もいる。

チーム得点王のFW長沢駿(→大分トリニータ)やMF椎橋慧也(→柏レイソル)、DF浜崎拓磨(→松本山雅FC)に加え、FWジャーメイン良(→横浜FC)やFWアレクサンドレ・ゲデス(→ヴィトーリア・ギマランイス)などがチームを去っていった。

昨シーズンは結果が出ない時期が長く続いた中で、木山隆之監督が1年で退任。自身初のJ1挑戦も、悔しい結果に終わり、また一からチームを作ることとなってしまった。

補強という点では、長身FWとして軸になっていた長沢の代わりにFW皆川佑介(←横浜FC)を獲得。さらに、サイドアタッカーとしてFWマルティノス(←浦和レッズ)、MF氣田亮真(←V・ファーレン長崎)を獲得した。

また、新外国人選手としてGKネデリコ・ストイシッチ、FWエマヌエル・オッティの2名を確保したが、まだチームに合流できず。どのタイミングで加入できるか不透明であり、しばらくは計算できない。

その他、昨シーズンは特別指定選手としてプレーした、DF真瀬拓海(←阪南大学)、DFアピアタウィア久(←流通経済大学)が加入し、FW西村拓真もCSKAモスクワから完全移籍に切り替わったが、補強とは言えない。戦力面ではやや心もとない状況だが、監督がどう導いていくのか、手腕が問われることになりそうだ。

◆目標:J1残留

Getty Images

チームの目標は、現実的に見てJ1の残留となるだろう。昨シーズンの17位という成績、そして補強の面でも主軸が抜けたことで、チーム作りをやり直す必要が出てきてしまった。

さらにホームで一度も勝てなかったという屈辱的なシーズンとなったが、その仙台のファン・サポーターが一番期待しているのは、8年ぶりの復帰となった手倉森誠監督ではないだろうか。

U-23日本代表を率いてリオ・デ・ジャネイロオリンピックを戦い、その後ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の下で日本代表のコーチも務め、2019年から2シーズンはV・ファーレン長崎を指揮していた。

長崎でのJ1昇格を目指したものの、最終的には3位に終わり昇格を逃し、その結果退任を決意。古巣の立て直しのために戻ってきた。

戦力バランスとしては、守護神のGKヤクブ・スウォビイク、DFシマオ・マテが残留したことでディフェンスラインは安定感がある。一方で、中盤を務めた椎橋と浜崎が退団したために、一から作り直す結果に。サイドにはマルティノス、氣田、そしてMFイサッククエンカが残留し、攻撃面はある程度計算が立つ。

しかし、フィニッシャーという点では長沢の退団が気になるところ。皆川や赤﨑、西村らがどこまでゴールを奪えるか。得点力という大きな課題は解消されていないだけに、手倉森監督のチーム作りに注目したい。

◆超WS編集部イチオシ新戦力
MFマルティノス(29)
©J.LEAGUE

編集部がイチオシしたい新戦力は、サイドを切り裂くアタッカーとしての期待がかかるMFマルティノスだ。

これまで横浜F・マリノス浦和レッズプレーしてきたマルティノスは、Jリーグで5シーズンの経験がある。

スピード溢れる縦へのドリブル突破と、そこからのクロスで攻撃に参加するマルティノス。ターゲットになるであろう皆川との相性は良さそうだ。

2020シーズンも浦和ではシーズン後半はレギュラーとしてプレーしていただけに、仙台としても計算が立つだろう。また、手倉森監督にとってサイドアタッカーは非常に重要な存在であり、マルティノスのパフォーマンスで結果が大きく変わる可能性が高い。

昨シーズン挙げられなかったホームでの勝利も含め、チームにより多くの勝ち点をもたらすゴールに関与するプレーが期待される。

◆2021年期待のヒーロー
MFイサッククエンカ(29)
©J.LEAGUE

今シーズン期待するヒーローは、在籍2年目を迎えるイサッククエンカだ。

昨シーズンはサガン鳥栖から加入し、大きな期待が寄せられていたイサッククエンカだが、開幕前に右ヒザ半月板損傷の重傷を負ってしまい、スペインへと帰国。手術を受けてシーズンの大半を棒に振るかと思われた。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響などもあり、シーズンが中断。その影響もあり、復帰したクエンカは最終的にリーグ戦で15試合に出場することとなった。

稼働した試合数は少ないものの、左サイドで起用されてからはチームの戦い方も安定。特に、攻撃面でのアイデアや正確なパスなど、絶対的な違いを生み出せる選手。そういった点では、クエンカの活躍が大きくチームの結果に影響するだろう。

ケガの影響もあり、フル稼働できるための準備をキャンプでも進めている状況。バルセロナで培ってきたその攻撃センスで、仙台に歓喜をもたらすことができるだろうか。
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