尿もれ対策といえば「骨盤底筋を締めて鍛える」とよく言われますが、実は、それだけでは不十分。締めることと同じくらい「ゆるめること」も重要なんです!「ほぐピラ」でおなじみ、大人気パーソナルトレーナー星野由香さんが最新の尿漏れ対策について教えてくれました!

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教えてくださったのは・・・星野由香さん

パーソナルトレーナー。自身の実践経験と西洋・東洋医学をはじめとしたさまざまな理論をもとに「ほぐし」と「ピラティス」を融合した独自のメソッド「ほぐピラ」を考案。女優やモデルからの指名も多く、多方面で活躍中。初めての著書『ほぐピラWORKOUT 「ほぐす」+「ピラティス」がいちばん痩せる!』(講談社刊)も話題。

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『ほぐピラWORKOUT 「ほぐす」+「ピラティス」がいちばん痩せる!』¥1400(税別)/講談社

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決して他人事じゃない!「運動不足」や「姿勢の悪さ」が尿漏れを招く原因に!
妊娠出産や加齢の影響で悩む人が多い尿漏れ。ですが、最近では運動量の低下や姿勢の悪さが原因となるケースも増えているそう。

「自粛生活が長く続き、在宅勤務などで活動量が減ると、当然筋力が低下します。特に衰えやすいのが抗重力筋、いわゆるインナーマッスルと呼ばれる筋肉です。これらが衰えることで骨盤が前に傾きやすくなってしまいます」(星野さん)

本来、床に対して平行・垂直になった状態が骨盤の正しいポジション。それが前に傾くことで、周りの組織に影響が出てしまうのだとか。

「骨盤が前に傾くことで恥骨(骨盤を構成する骨の1つ。体の前側に位置しています)が下に押されてしまいます。膀胱や尿道も圧迫されて、尿漏れを起こしやすくなります」(星野さん)

さらに、下の写真のような「悪い姿勢」から尿漏れが起こることも。

こんな姿勢が尿漏れを招くことに!トレーニングブラ¥8,500、レギンス¥8,000/ともにJULES+RAE

「上の写真のように、背骨が前に出た姿勢が続くとお腹の筋肉が収縮できなくなり、腹腔(横隔膜の下部にある部分)が狭くなって呼吸も浅くなります。すると腹圧(腹部にかかる圧力のこと。腹圧が正しく調整されていると、内臓の位置や体幹が安定します)が低くなり、内臓が圧迫されて、尿もれに繋がってしまいます」(星野さん)

尿もれ対策には「骨盤底筋を鍛えよう」と言うけれど・・・
「締めること」ばかり、がんばってしまう人も・・・

尿漏れ対策でよく耳にする「骨盤底筋」は、インナーマッスルの1つで、骨盤の底にあるハンモック状の筋肉のこと。9つの小さな筋肉の集団なので、正式には骨盤底筋群と呼ばれています。

膀胱や子宮、腸など、いくつもの臓器を支えている他、体幹を安定させる働きの一部を担っており、排泄をコントロールする役割もあります。

「座りっぱなしの時間が増えた今、骨盤底筋は何もしなければ衰えてゆるんでしまうので、鍛える必要があります。でも、ゆるんで下がってしまうからと、骨盤底筋を締めて引き上げることばかりに意識がいってしまうのは良くないですね」(星野さん)

■骨盤底筋は「締める」だけではダメ!「ゆるめる」も意識すること
「ギュッと締まった状態を維持することが正解ではありません。締めることとゆるめること、この2つを自在にできるようになることが、骨盤底筋の理想的な状態なんです。締めることばかりに集中しすぎると、呼吸が浅くなってしまったり、股関節の動きが悪くなってしまったりと良くない影響も出てきてしまいます」(星野さん)

新常識!尿漏れ対策で鍛えるべきは「錐体筋(すいたいきん)」!
尿漏れ対策のためには骨盤底筋を鍛えるだけでなく、姿勢を改善するためのトレーニングも必要に。

「姿勢を改善するためには、圧迫された恥骨を立てること、そして骨盤を立てる(床に対して平行・垂直な状態にする)ことが重要。そのために鍛えたいのが錐体筋です」(星野さん)

錐体筋とは、下腹部付近にある三角の形をした小さな筋肉で、恥骨上部を起点としています。

「骨盤を立てるために必要な筋肉は腹直筋ですが、その働きをサポートするのが錐体筋。恥骨の司令塔的な役割も担っています。錐体筋を使えていない人が今はとても多いので、そこを鍛えるトレーニングはぜひ取り入れていただきたいです」(星野さん)

尿漏れ対策に大事なのはこの2つ!
錐体筋にアプローチして、恥骨・骨盤を立てる 骨盤底筋は「締める」「ゆるめる」動きを意識する

尿漏れ対策トレーニングをCHECK!

アラサーのうちから始めたい「尿漏れ対策トレーニング5」!

■錐体筋を鍛えるトレーニング①(初級編)

①椅子に浅く腰掛け、右膝を上げます。

②顔は正面を向いたまま、右膝を体の内側に持っていくイメージで力を入れます。同時に、左手を右膝に当て、外に押し出すイメージでプッシュ。左膝も内側に動かすイメージで力を入れます。左の足の裏は床につけたままにしておくこと。

「内股と股間(恥骨)、お腹に効いているのが感じられるはず。力を入れたまま、息を5秒吸って、5秒吐いて、最後に5秒息を止めます。合計で15秒行えばOKです。難しい場合は5秒吸って、5秒吐くだけでも大丈夫。逆の足も同様に行ってください」(星野さん)

膝の位置は「高め」をキープすること!

膝の高さが低すぎると、錐体筋にアプローチできません。右の写真ぐらいの高さまで上げて行うことがポイント!

■錐体筋を鍛えるトレーニング②(上級編)

椅子に座って行ったトレーニングを横になって行うと、重力に逆らった動きをすることになるので、より負荷がかけられるように。左側を下にして横になり、写真のように手で頭を支えます。その状態で左膝を持ち上げます。左膝に右手を添えて押し下げるように力を加えます。右膝は下方向に向かって押し下げて。左右の膝をクロスさせるイメージ。

「回数は10〜20回ぐらい。錐体筋は小さい筋肉なので、ギュッギュッと細かく動かすと良いですよ。反対側を行う場合は右側を下にして横になり、同様に行ってください」(星野さん)

手を当てながら行うのが難しいならナシでもOK

膝に手を添えずに行うと、フォームが安定しやすくなります。左右の膝をクロスさせるイメージで、左膝は上方向に、右膝は下方向にギュッギュと動かします。股間、内腿を意識して。逆も同様に行います。

「錐体筋のトレーニングは、慣れないうちはかなりキツイですが、できれば毎日行ってください。最初は写真のようにできなくても、続けることで徐々に動かせるようになりますよ」(星野さん)

■骨盤底筋群を締めるトレーニング①

サイドから見た姿勢


上から見た姿勢

①足元に台を用意し、横になります。上半身は正面に、下半身だけ左側にひねります。左足は横に倒し、足首を90度に曲げます。右の足裏は台につけた状態にして、膝を左側に少し傾けます。

サイドから見た姿勢


上から見た姿勢

② 1の姿勢のまま、息を吸いながらお尻を持ち上げます。このとき、右膝が開かないよう、できる限り左膝に近づけようとします(足裏は台につけたまま!)。左の足首も90度をキープ。上がりきったら息を吐きながらお尻を下ろします。

「このトレーニングをすると、骨盤底筋の存在が感じられやすくなります。左右を20回ずつ、2セット行ってください。毎日行う必要はナシ。生理前後に行うぐらいでOKです」(星野さん)

サイドはこんな動き!


見本のような台がないなら椅子でもOK!

「台を使わない状態でこのトレーニングを行うと、もも裏の負荷が強くなってしまいます。台がないなら椅子でもいいので使ってください。低い方が辛いので、難しいと感じるときは高めの椅子を使うといいですよ。高さを出したときこそ、腰が反らないようにすることが大事です!」(星野さん)

■骨盤底筋群を締めるトレーニング②

①足を左右に開き、左右のお尻の中央にある骨(坐骨)を立てて椅子に浅く座ります。足の裏は床にしっかりつけること。手は胸の前で合わせます。足を広げたとき写真のように膝の角度が90度になる高さの椅子を使って。

② 1の姿勢を保ったまま、股間をキュッと締めることをイメージしながらお尻を垂直に持ち上げます。上がるときは息を吐きながら、下がるときは息を吸いながら行います。ももの付け根、鼠蹊部を前に突き出すこと。腰は反りすぎないように、胸元やみぞおちを引っ込めておくと良い姿勢が保てます。

「今は座っている時間が長く、お尻が潰れている人も多いです。このトレーニングはお尻の深いところにある筋肉・梨状筋にもアプローチできます。回数は30〜50回ほど。細かく動いてみたり、ゆっくりジワーっと持ち上げ、ゆっくりおろすなど、リズムを変化させて続けると効果的です」(星野さん)

前方に体を倒しすぎるのはNG!

体を前に倒しすぎると骨盤底筋にアプローチできません。

「骨盤底筋が衰えている人ほど、体を前に倒さないと立ち上がることができません。将来そうならないためにも、今のうちから鍛えておいてください」(星野さん)

■骨盤底筋群をゆるめるトレーニング

仰向けになり、左右の足を開きます。左膝は上方向に、右膝は下方向に。足首は左右どちらも90度に曲げます。リラックスした状態で鼻から吸って鼻から吐く呼吸を繰り返します。

「骨盤底筋は横隔膜と連動して動きます。息を吸ったら下に降りていき、息を吐くと上がります。そのイメージを持つことが、ゆるめるポイントです!左右の股関節をどちらも外旋(外側に回旋する動き)させることで呼吸が通りやすくなります。このとき、何秒行うかなどは考えず、ただ呼吸に集中しましょう。寝る前に行うのもおすすめです。毎日行うことで関節の可動域も広がりますよ。逆も同様に行ってください」(星野さん)

逆はこんな動き!

尿漏れ対策のために「骨盤底筋を締めて鍛えること」はとても大事。でも、座りっぱなし、運動不足、崩れがちな姿勢など、今の私たちの生活や習慣を考えると、対策法だってアップデートが必要です。今回紹介したトレーニングを取入れることで、体の可動域が広がる、呼吸が整うといったうれしい効果も期待できるので、尿漏れに悩んでいる人も、そうでない人も、ぜひトライしてみて!

撮影/アベユキヘ スタイリング/杉本実穂 読者モデル/金城ゆき 取材・文・構成/西村美名子
(andGIRL)

掲載:M-ON! Press