1月下旬のサービス開始以降、ニュースなどで何かと話題になっているのが音声SNSの「Clubhouse」だ。夜な夜ないろいろな人たちの会話が繰り広げられていて、聴いているだけでも面白い。ただ、同居人がいる場合には、いくらかの注意が必要かもしれない。

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Clubhouseを楽しむ筆者(以下、本人による再現)
 筆者も、見知らぬ誰かとの会話を楽しんでいた一人で、夜な夜なClubhouseに入り浸っていた。ただ、その空間に取り込まれるがあまり、妻とのちょっとした(と思っているのはコチラだけかもしれないが)いざこざを起こしてしまった。

音声でのコミュニケーションが楽しいSNS

 アメリカ発の音声SNSClubhouse」は、2020年に誕生したサービスだ。日本へ上陸したのは2021年1月下旬。かつての「mixi」を思わせる招待制のシステムや、音声だけのクローズドな環境などが話題になり、有名人や一般人ユーザーを増やし続けている。

 ユーザーは「room」と呼ばれるグループで会話を楽しめる。部屋の管理者であるユーザー、もしくは管理者を任されたユーザーは「モデレーター」と呼ばれ、他の話し手は「スピーカー」と呼ばれる。リスナーのまま彼らの会話を楽しむのもよし。合間で「挙手」してモデレーターから許可されれば、そのユーザーが発言権を持つこともできる。

 実際の環境では、ある部屋では有名人のプライベート感満載な会話が繰り広げられていたり、異なる部屋ではセミナーの勧誘が行われていたりと玉石混交。とはいえ、コロナ禍でのステイホームで、顔も知らない不特定多数の人たちとの会話が楽しめる。筆者も含めそのゆるさにも思わずハマった人も多いのではないだろうか。

徐々に友だちが集まってくるように

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両耳にイヤホンをして、自室でClubhouseに興じる
 サービス開始当初、ライターの筆者は夜な夜なClubhouse内のroomに入り浸っていた。誰かが作った部屋で楽しそうな話を聞いたり、タメになりそうな話を聞く時間に新たな刺激を得たような気がして、はた目からみれば、もはや“Clubhouse中毒”と言われるような状況になっていた

 ただ、だんだんと他の人たちの話を聞いているうちに「自分も好きなことをたっぷりとしゃべりたい!」という気持ちに駆られていった。これが、後々を考えれば大きなミスだった。

 仕事の原稿がひと段落するやいなや、夜な夜なClubhouseで「room」を立ち上げる。登録から数日、初めのうちは一人っきりで30分ほど待って、誰も来ないので少々へこみながら部屋を閉じるという繰り返しであったが、次第に、友人や仕事の知人が集まってくるようになった。

電話のような感覚で気軽に話せるゆえに

 耳元のイヤホンマイクで、電話のような感覚で気軽に話せるのもClubhouseの醍醐味だ。ただ、それがあってか、ついつい話も弾み、壁の薄い賃貸物件の1室であることも忘れてしまう。

 日に日にその時間が増えていたある日、トイレに向かおうと1枚の障子をはさんだリビングを通ろうとしたところ、妻が “暗殺者”のようないつになくギロッとした鋭い目線を向けていた。困惑しながらも恐る恐る「どうしたの?」と聞いたら、妻からは「うるせえ」という一言が返ってきた

 いや、何に対して言っているのかは明白。旦那が夜な夜な、自分からは顔が見えない誰かと、意気揚々と話しているのが不快に思われるのは、逆の立場になれば分かり切ったことだった。さらに、妻は「あんなふうに考えてたとは知らなかった…」という一言をつぶやいた。

 Clubhouseへのめり込むがあまり、筆者は無意識に失言をしていた。仕事とプライベートの両面でアイドルを追いかけている筆者は、妻と共に、コロナ禍となる前はライブにも頻繁に足を運ぶ人間だった。ただ、趣味の絆があるからといって、すべての嗜好が合うわけではない。アイドルファン同士というのは、ときに、推すメンバーグループがすれ違う場合もあるのだ。

とっさに放った“一言”が妻の逆鱗に…

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襖を隔てたダイニングテーブルに座る妻と目が合ってしまった……
 じつは、アイドルファン同士でのClubhouse上の会話で、筆者は某グループについての会話に興じていた。片手でビールを飲みつつ、気分よく「あの曲いいよね」とか「あのメンバーはこの瞬間がよくて…」と盛り上がっていた話は、どうやら妻の逆鱗にふれていた。

 しかし、さらなる問題もあった。じつは当初、Clubhouseを楽しむときは事前に妻へ「ごめん。しゃべってもいい?」とお伺いを立てていた。ただ、そこは自宅であることも忘れて、趣味の話に没頭していた愚かな筆者。

 調子に乗るがあまり、いつのまにか妻がいることも忘れて、彼女の嫌いなグループについて「こんなふうに大手を振ってしゃべれるようになってよかったよ」と、ポロッとこぼしてしまっていたのだ。

 その後の筆者夫婦の様子については、みなさんの想像に任せたい。ただ、反省もあり、筆者の家庭ではいくつかのルールを設けた。

妻の言葉を受けてルールを作って自戒

 まず、そもそも「うるせえ」と言われたのは、調子に乗った筆者の声量がバカだたからにほかならない。その原因を必死に考えたところ、イヤホンマイクを両耳に付けていたからだと悟ったので、片耳だけを使うようにして、周囲の環境音にも注意を向けられるようにした。

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イヤホンは片耳だけつけることに
 また、夜な夜な無制限にしゃべるのはやめて、始めるときは「今からClubhouseやるから」と伝え、さらに、「〜時までにする」と自分なりのリミットをきちんと決めることにした。よくよく考えてみれば、いい大人なんだから分かりそうなものであるが、妻のありがたい言葉により、自分がどれほど子どもなのかと戒めるきっかけにもなった。

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両耳イヤホンで声量がバカになる筆者
 Clubhouseの環境が“クローズド”であるのは、あくまでもネット上だけの話。音声SNSという新たな可能性には期待しながらも、使い方を一歩間違えれば、ひとつ屋根の下が修羅場と化す場合もある。同居人がいる人たちは、一緒に住む相手の顔色や気持ちも尊重しながら、自分にとっての“居場所”を確保してほしい。

TEXT/カネコシュウヘイ>

【カネコシュウヘイ】

フリーの取材記者。編集者デザイナーアイドルエンタメサブカルが得意分野。現場主義。私立恵比寿中学BABYMETALさくら学院ハロプロアンジュルムJuice=Juice、カンガル)が核。拙著『BABYMETAL追っかけ日記』(鉄人社)。Twitterは@sorao17

両耳にイヤホンをして、自室でClubhouseに興じる