体重管理が辛いことでも知られるプロボクサーでありながら、年間360杯以上のラーメンを食す、「ジロリアン陸」という人物をご存知だろうか。彼が特にお気に入りのラーメンガッツリ飯の代名詞「ラーメン二郎」。ボクサーとしてのリングネームは、二郎をこよなく愛す通称“ジロリアン”からとられたものだ。

 二極性に引き裂かれてしまいそうな生活と、それぞれにはまった出会いに迫るべく、話を聞いた。

ラーメン二郎との出会いは?

――自身のSNSに、ほぼ毎日、訪れたお店のラーメン画像を投稿していますよね。昔からラーメンが好きだったんですか?

「好きではありましたけど、とりたててというわけではなかったですね」(ジロリアン陸さん、以下同じ)

――でも、「ラーメン二郎」との出会いで変わった?

「僕は地元が仙台なんですけど『東京に中毒性の高いラーメンがある』という話を聞いていて、17歳の時に東京に遊びに来て食べたのが、二郎との出会いでした。今はもう3代目になってますけど、初代の松戸店です」

――そこで衝撃を受けた。

「その時は、確かに美味しいけど衝撃ってほどじゃなかったんですよ。でも、まず松戸店で一度食べた後、また帰り際にも歌舞伎町店で食べたんですよ。ニンニクマシマシとかで頼んでたので、夜行バスの車内にめちゃくちゃニンニク臭を撒き散らしながら帰りました(笑)。で、仙台に帰ってなぜかいつも思い出すようになって忘れられなくなって、夢にも出てくるようになりました(笑)

 それで、上京してからは週4日は行くようになりました。僕は昔、サラリーマンをやっていたんですが、初めて東京で住んだ家の近くにラーメン二郎の新しい店舗がたまたまできたんですよ。なので、仕事が終わって間に合う時は必ず行ってました」

◆何万円のステーキより、ラーメン二郎が食べたい

――「ラーメン二郎」って、「ヤサイ、ニンニク、アブラ、カラメ」のトッピングコールがあるじゃないですか。陸さんのデフォルトの注文方法は?

ニンニクだけ。お店側が美味しいと思って出しているものを、なるべくそのまま食べたいんですよ。ヤサイマシとかカラメとかも色々試して、いまはニンニクだけになりましたね」

――それだけ陸さんを惹きつける、ラーメン二郎の魅力はなんですか?

「まず、安くてお腹いっぱいになるってところですよね。それ以上に、どんな高級料理よりシンプルに美味い。何万円のステーキより、ラーメン二郎の方が食べたいんですよ。実は、店舗によって全然味が違うんです。量もスープも麺も違いますからね。だから『今日は何店の気分かな』って考える」

――普通の人は「今日はカレーラーメンか、それとも寿司か」って考えますけど「何店か」になるんですね(笑)

「他のものでは替えがきかないんですよ。他のラーメンでも替えがきかないです」

◆1か月で15キロも落とす地獄の減量生活

――ラーメンとプロボクサーの減量の両立って、実際にできるものですか。

「普段は全く節制してないんで、試合前になんとかします(笑)

――そうなると、減量って地獄ですよね。一番壮絶だった減量はどのくらいの期間で何キロだったんですか?

「普通のボクサーだと、1か月で7から8キロくらいだと思うんですけど、僕は15キロということもありましたね」

――ラーメンでついた体重ってどんな方法で落としているのか気になります。

「以前はただ体重を減らせばいいというやり方だったんです。でも、それだと筋肉も落ちちゃうので、今は食べたものとカロリータンパク質・脂質・炭水化物の量まで全部記録して管理しながらやってますね」

――そもそもなんですけど、「ラーメンやめたらもっと楽なのに」って思うことはありませんか?

「それはめちゃくちゃありますよ。でも、ラーメンやめるならボクシングやらないです。そのくらいラーメンが好き」

――でも、減量中は大好きなラーメンを食べられない。そんな辛い時はどうやって自分をごまかしてるんですか?

ラーメンの画像を見ます。もう、頭おかしくなるくらい食べたいので、画像見ながらひとりで笑っちゃってます(笑)

――じゃあ、溜まったラーメン欲が試合後に爆発したらすごい

「計量をして翌日に試合をして、試合の翌日に好きなだけ食べたら、その2日で14キロ増えたことありますね。あれだけきつい思いをして減量しても、戻るのは簡単です」

ラーメン屋をやるという選択肢はない

――ラーメン屋を作りたいという気持ちはないんですか?

「う~ん、いろんな店主さんの話を聞いてると、自分にはできないなと思いますね。ラーメン屋さんは本当に大変なんですよ、なのでラーメンに対しては作る方は全く考えていなくて、ずっとファンである気持ちです」

――時間とお金が無尽蔵にあったら何をしたいですか?

「東京のラーメンはよく食べるんですが、旅行とかもあんまりいく機会がないので、全国のラーメンを食べ歩きたいですね」

 どんなに減量が辛くても、ラーメン、そしてラーメン二郎はやめられない。日頃から大好きな物を我慢せず堪能し、命がけで減量、そしてリングに立つ。インタビューから見えてきたものは、二律背反するふたつのものを愛してしまったジロリアン陸さんの、止まらない想いだった。<取材・文/Mr.tsubaking 撮影/鈴木大喜>

Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

ラーメン大好きボクサー・ジロリアン陸