独創的な料理を続々と開発している野島慎一郎氏
『週刊プレイボーイ』で「激ウマ！！ バカレシピ研究所」を連載中のＢ級フード研究家・野島慎一郎（のじま・しんいちろう）さん。
今回の"バカレシピ"は、料亭や割烹（かっぽう）で出てきそうな湯葉を豆乳で作った「エキセントリック湯葉」！
＊ ＊ ＊
【今回の食材】
・豆乳（豆乳飲料など） ※お好みの味で ・焼きペヤングメーカー ※ホットプレートで代用可
野島 豆乳を温めると表面に膜ができるじゃない。あれこそが「湯葉」なんですが、助手くんは知ってましたか？
助手 知ってるけど、なんか意識高いイメージで、僕にはジャンク感が足りないッス！
野島 湯葉料理って高級な料亭とか割烹で出てきそうなイメージがあったけど、実は意外と簡単に作れるっていうね。そこにはビジネスチャンスがあると思いませんか？
助手 また、ろくでもないことを考えてそうッスけど、とりあえず聞きましょうか。
野島 キッコーマンの豆乳って斬新な味がたくさんあるじゃないですか。ソーダ味とか、チョコミント味とか、チーズケーキ味とか。そんな斬新な味の豆乳を使って湯葉を作れたら、湯葉業界の革命児として一世を風靡（ふうび）できること間違いなし！
助手 あれは厳密には豆乳ではなく豆乳飲料だからな。それ、失敗フラグだろ！
野島 キッコーマンの豆乳は今や３０種類以上あるんだ。全部試したらひとつやふたつは湯葉になるかもしれないだろ！
助手 へたな鉄砲数撃ちゃ当たるの精神、やめて！！
（１）加熱 焼きペヤングメーカーにキッコーマンの豆乳を注ぎ、スイッチを入れてじっくりと温める。焦げつかせないように気をつけよう。もちろんホットプレートやフライパンでも代用可能
野島 それじゃ作りますからね。ちなみに今回は一時話題になった「焼きペヤングメーカー」で豆乳を加熱します。火力の強さには定評があるし、せっかく自腹で買ったから、たまには使ってやらないと......。
助手 謎の企画にペヤングも巻き込んでしまった......。
（２）失敗...... バカレシピ研究には失敗がつきもの。いちご味の豆乳をはじめ、豆乳成分が薄いものは残念ながら固まらないことが判明した。失敗した豆乳はスタッフがおいしくいただくことに
野島 まずはいちご味の豆乳から温めますか。......うーむ、全然固まらない。濃いめのカルピスを飲んだ後、口の中に残る白いネバネバみたいなやつが大量に出てきたぞ......。
助手 たとえが気持ち悪いな！！
（３）すくう！ 逆に豆乳成分の濃いものは見事に膜を作ることに成功。サイズこそ小ぶりになってしまったが、食感は完全に湯葉なのに味は黒ごま。何かが生まれそうな予感しかしない......！
野島 もっと豆乳の濃度が濃そうなもので試してみるか。成分表示もチェックして......黒ごま味の豆乳ならいけそうな気がするぞ。それっ！ ドバッー！！
助手 あっ、ちゃんと表面に膜が張ってきたッス！！ 奇跡だ！！
（４）完成！「エキセントリック湯葉」
野島 これを箸で慎重にすくい、そのまま食べてみると......ウハッ！ 味は黒ごまだけど、食感は湯葉と完全に一致でウマい！！ これは大成功じゃないか！ 見た目は完全に生コンクリートだけど。
助手 さっきからたとえがアウトだろ！ 味がよくてもそれは大成功とは言わないからな！！
（５）楽しい！ 残念ながらすべての豆乳を湯葉状にすることはできなかったが、種類ごとに固まり方が違うので科学の実験のような気分になれて楽しい。ちびっこの自由研究にもオススメ！
野島 もっと美しく仕上がる味もあるかもですし、とりあえず残り全種類試しましょうか。助手くん、あとはやっといて！
助手 あっ！ アンタもう飽きただろ！ 最後までやれよ！！
●野島慎一郎（のじま・しんいちろう）
ライター、マンガ家、Ｂ級フード研究家。独創的な料理を続々と開発している。著書『世界一美味しい「どん二郎」の作り方』（宝島社）。ＹｏｕＴｕｂｅ『のじまちゃんねる』
撮影／下城英悟
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