本来なら多くの人に祝福され、華々しい人生の門出となる結婚式。だが、コロナ禍でその予定が大きく狂ってしまった人は多いだろう。

 ただし、葬式の場合は、結婚式と違って延期もキャンセルもできない。実際、葬儀の知らせを受けながら参列を断念しなければならなかった人も少なくないはずだ。

◆親族は遠方が多く欠席続出

「亡くなった母方の祖母は100歳近く、死因も老衰の大往生。本来なら大勢に見守られながら最後のお別れを場を作ってあげたかったですが、それも叶いませんでした」

 悔しそうに話すのは、この冬に祖母の葬儀で喪主代行を務めた自営業の佐藤忠和さん(仮名・38歳)。ちなみに葬儀会場は、祖母が晩年入所していた老人ホームのある北海道の田舎町の斎場。札幌からは車で何時間もかかる交通の便の悪い場所だった。

「しかも、よりによって12月の年の瀬。そのちょっと前には旭川の病院で大規模なクラスターが発生したり、道内全体でものすごく感染者が出ている時期でした」

 親族は3分の1が道外で、残りもほとんどが札幌やその近郊、旭川などに集中。一番近くに住んでおり、定期的に洗濯物などを届けていた佐藤さんと両親が諸々の手続きと葬儀の段取りを行ったが、当時は北海道内でも往来自粛が出されていた。結局、参列の返事をもらえたのは親族が10人、それと友人3人の計13人だけだった。

「母は5人兄妹の4番目。4人いる叔父叔母のうち2人は亡くなっており、1人は入院中。残りの一番下の叔父も道外在住で医療従事者だったため、参列は難しいとのことでした」

 それでも自分と両親を合わせれば16人になるため、葬儀としての最低限の体裁は保てるとホッと胸をなでおろしていたとか。

 しかし、ここで追い打ちをかけるべく新たなトラブルが発生。北海道から本州日本海側にかけて記録的な大寒波が襲来し、通夜と告別式が記録的な大雪に見舞われてしまったのだ。

◆記録的大雪で参列予定者も次々とドタキャン

「葬儀屋を手配する段階で大雪の予報が出ていたのは知っていましたが、斎場や火葬場のスケジュールの問題もあり、日程を延ばせなかったんです。けど、北海道は雪には強いのでそこに期待しましたがJRは運休となり、高速も通行止め。前日や当日直前になって不参加の連絡があり、最終的に来てくれたのは告別式に3人だけ。高速がストップしていたので、下道を通って来てくれたそうです。道産子ですら外出をためらうドカ雪が降る中、わざわざ駆けつけてくれたことに対し、大変申し訳ない気持ちになりました。ですが、こんな状況でも祖母に会いに来てくれたことは今でも感謝しています」

 ところが、予定の時間になっても告別式は始まらなかった。頼んでいたお坊さんが大雪のせいで到着が大幅に遅れていたのだ。

「祖母は老人ホームに入居するまでずっと住んでいた町のあるお寺さんの檀家でした。斎場から結構離れていましたが住職に話すと、お経を上げに来てくださることになったんです。頼んだのはこちらですし、悪いのは大雪のせいであって住職の責任じゃありません。それはわかっていましたが、火葬場はその日予定がびっしり詰まっていると聞いていたため、内心かなり焦っていました」

◆大雪はコロナ禍に配慮した祖母なりの気遣いだった?

 告別式は当初11時スタートの予定だったが、13時開始と2時間遅れ。火葬場とは葬儀会社のスタッフに調整してもらい事なきを得たが、火葬が終わったのは夕方4時過ぎで辺りはすっかり暗くなっていた。

想定外のことだらけで無事にとは言える状況ではなかったですが、なんとか葬儀を終えることができました。いやぁ、慣れないことをしたせいかとにかく疲れました。すごくさびしいお葬式になってしまい祖母には謝りましたが、生前から周囲にとても気を遣う方だったのでコロナ禍に配慮し、参列しなくてもいいようにわざと大雪を降らせたのかなって。まあ、勝手な想像に過ぎませんが、今はそんな風に考えています。ただ、自分が喪主を務めるお葬式で大雪に見舞われるのは、もう勘弁してほしいですけどね(苦笑)」

 コロナ禍の葬儀に加え、さらに記録的豪雪という二重のトラブル。雪の降らない場所に住んでいる人間には想像できない苦労があるようだ。<TEXT/トシタカマサ>

【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

斎場周辺で大雪が発生してしまう(佐藤さん撮影)