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メルカリ2月25日、社内の独自研修プログラム「無意識バイアスワークショップ」で使用している資料を公開した。同社では2019年から、社内のダイバーシティ&インクルージョン(多様性の需要)推進の一環としてワークショップを実施。より多くの企業や組織で実施してもらうことで、日本社会全体でD&Iの推進を目指すとしている。

「無意識バイアス」は、普段の生活や文化の影響で、無意識化に培われた「思い込み」「偏見」を指す言葉。ワークショップは性別や人種、年齢などの属性のみを根拠に、無意識の間に”決めつけ”を行ってしまうことを避けるため、自分の行動や言動を客観的にレビューできる構成になっている。

偏見によって「重要な意思決定まで左右してしまう可能性があります」

同社は「無意識バイアス」について、

「機会の均等の担保を妨げ、個人の成長の可能性を阻害するだけでなく、採用や人事評価などの組織にとって重要な意思決定まで左右してしまう可能性があります」

と指摘する。このため、個人の多様な経験や視点を尊重した組織をつくるには、一人一人が「無意識バイアス」を日常的に意識することが必要になるという。

ワークショップの目的は、無意識の偏見を適切に理解し、日常的に意識する習慣をつくること。その上で、次の3つのゴールを設定している。

・知識:無意識バイアスを理解する
・意識:自分の無意識バイアスを意識できるようになる
・スキル:自分と他者に存在する無意識バイアスを意識する習慣をつける

ワークショップを実施することで、参加者が「無意識バイアス」によって意思決定やコミュニケーションが影響されていないか、受講者が自ら気をつけるようになることを目的にしている。

「資料が分かりやすい」「受けたい」とネット上では好感触

ワークショップでは、架空の会議を想定したシナリオに基づいて演習を行う。会議の出席者は主人公Aさんのほか、Bさん(40代男性)、Cさん(30代男性)、Dさん(40代女性)の4人で、Aさんは役割の説明がない状態で、Bさんがプロジェクトの責任者だと思い込んでしまう。

このほかにもBさんの「外国人社員はみんな文句しか言わないなぁ」という発言や、Cさんの「僕は男性だから、ロジカルに説明してもらわないとね。Eさん(他の女性メンバー)もいつもそうなんだけどさ…」という偏見に基づいた問題発言が登場する。

資料では、こうした発言を「過剰な一般化」と呼んでいる。極度に限られたサンプルを元に、すべての同じ属性の人に対して”一般化”することを指しており、例えば「エンジニアは朝に弱いよね」「男は浮気する生き物だよね」「(インド人は)ベジタリアンだよね」といった発言がこれに当たるという。

また、自分の価値観や考え方にとって、都合のいい情報だけに目を向けてしまう「確証バイアス」と呼ばれるものもある。「〇〇社出身者はやっぱりこれをするよね」「この人はやっぱり意見を聞かないよね」といった発言が例として挙げられている。

他方で「パフォーマンスバイアス」はジェンダー、人種、年齢などの属性を無意識に個人の”能力”に結び付けてしまうことを指す。「見た目が年長の人は、若く見える人より専門知識が高いと思われやすい」「2枚の履歴書を比較した時に、男性の名前が付いているものの方が、女性の名前が付いたものより『雇用しがいがある』と判断される」といった例がこれに当たる。

これ以外にも複数の「無意識バイアス」が紹介されており、直後に「客観的な事実で説明しているのか」「自分の推測で解釈しているのか」といった質問に基づいて行うセルフチェックが紹介されている。

はてなブックマークでは「資料すごく分かりやすい」「いい研修だなぁ、受けたい」と好意的に受け取る人が多かった。中には「こういうワークショップはこれからも続けていってほしい」という思いで見守る人もみられた。

同社では、2018年に採用した新卒社員の9割を外国籍が占めるなど、インドをはじめ多くの外国人技術者を雇用している。多様性に富む同社だからこそ「無意識バイアス」を適切に理解するノウハウを持っており、多くの企業や組織が学び直すいい機会になりそうだ。

メルカリの研修プログラムが秀逸 思い込み、偏見を避ける「無意識バイアス」を取り除くには