器から大きくはみ出るほどに盛られたもやしチャーシュー、こってりスープに“ワシワシとした食感”と表現される太くて硬い麺。最近、コンビニ各社で「二郎インスパイア」などと呼ばれるラーメン屋とのコラボ商品を目にする機会が増えた。

コンビニ各社が“二郎インスパイアラーメン”競争

 セブン-イレブンは「中華蕎麦とみ田」、ファミリーマートが「千里眼」、ローソンでは「麺屋一燈」。

 まさに三つ巴状態である。名店の味をレンジで温めて手軽に楽しめることが魅力だが、なぜ、コンビニで二郎インスパイアラーメン競争が生まれているのか。その背景を探るべく各社に問い合わせてみたところ、コロナ禍の影響も見えてきた。

セブン-イレブンの豚ラーメンリニューアルを重ねて三代目

 コンビニ各社の二郎インスパイアラーメンを見てみよう。

 セブン-イレブンは、千葉県松戸市の有名店「中華蕎麦とみ田」店主が監修した商品を2019年1月に発売開始。コンビニの二郎インスパイアラーメンとして思い浮かべる人も多いかもしれない。

 2020年2月にリニューアルされ、ニンニクの重量が約3.5倍に。そして累計販売数は、同年のセブン-イレブンカップ麺カテゴリーでも1位になったとか。

 消費者のニーズがうかがえるが、2021年2月のリニューアルで3代目となる「中華蕎麦とみ田監修 三代目ラーメン(税込み594円)」では、さらに背脂ニンニク(※刻んだニンニクと背脂とラードを合わせた特製の調味料)を増量し、より豚骨醤油スープの“豚感”アップがはかられているという。

コロナ禍の外出自粛に“おうちで人気店の味”の需要高まる

 ファミリーマート唐辛子をまぶした揚げ玉(通称“からあげ”)が特徴の「千里眼」とコラボした「千里眼監修 濃厚マシマシラーメンニンニク醤油)(税込598円)」だ(※発売地域により一部仕様が異なる)。

 白湯ガラベースニンニクと醤油をきかせ、背脂とラードを加えたコク深いスープトッピングキャベツもやし、豚ばらチャーシューにんにく、ねぎ、そして“からあげ”まで再現されている。

 ファミリーマートの商品担当者が、二郎インスパイアラーメンを開発することになったきっかけをこう話す。

「市場的に“濃厚・大盛”キーワードが伸長していたため、男性客層に特化したメニューとして開発いたしました。このタイミングで発売した理由は気温の低下でレンジ麺が伸長する時期であり、コロナ禍で外食しづらい環境のなか、人気店の味が手軽にコンビニで食べられるようにいたしました」(ファミリーマート商品担当、以下同)

 販売後の売れ行きはどうなのか。

「ボリューム感・麺のワシワシ感・味のインパクトカロリーの高さなどネット上でも高評価です。特に関東エリアではランク1位と売れています」

◆時短営業で“夕食難民”が増加「夕夜間帯の購入者が多い」

 ローソンは全国区の名店「麺屋一燈」とコラボした「麺屋一燈監修 濃厚豚醤油ラーメン(税込598円)」(※宮崎・鹿児島地域のローソンナチュラルローソンでは非販売)。

 チャーシューニンニクのほか、たまごやネギなどの一般ウケするトッピングも充実しているのがポイントだ。

 開発のきっかけについてローソン広報が説明する。

新型コロナウイルス感染症の影響により外出機会が少なくなっているなかで、『ご自宅にいながら地元の人気店や専門店の味をお楽しみいただきたい』という想いから、全国各地の有名外食企業とコラボした商品を全国のローソン店舗または各地域限定にて販売しています」(ローソン広報、以下同)

「麺屋一燈監修 濃厚豚醤油ラーメン」は外食企業コラボ商品の一環としての販売だったと話す。2020年10月から展開している人気ラーメン店監修のレンジシリーズは、全国各地の人気ラーメン店40社以上とコラボし累計約630万食を販売するなど好評だそう。

 購入者は夕夜間の時間帯多いそうで、ローソン広報は「ご自宅での夕食や飲んだ後の締めのラーメンとして購入されたものと思われます」と推測する。

 今年1月に発出された二度目の緊急事態宣言に伴う飲食店の20時閉店の影響だろうか。普段は仕事帰りに外食していた人たちが困り果て、“夕食難民”という言葉も注目を集めた。やはり、行き着く先はコンビニだろう。

 各社それぞれの二郎インスパイアラーメン。今まで実店舗では「食べきれないかも」「わざわざ並んでまで食べたくない」「“ロット乱し”とか暗黙のルールがコワい」などの理由からチャレンジできなかった人でもコンビニなら気軽に楽しめる。

 また、テレワークマスク着用が普及し、ニンニクの匂いを気にしなくてもいい環境が生まれたことも人気を後押ししているのかもしれない。<取材・文/松本果歩>

【松本果歩】
恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライターコンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。Twitter@KA_HO_MA

セブン-イレブンの「中華蕎麦とみ田監修 三代目豚ラーメン」