―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―


 腕時計投資家の斉藤由貴生です。

◆3年ぶりに高く売れなさそうなモノを購入

 ケチな私は、なるべく無駄がないように心がけて生活しているのですが、最近高いモノを買ってしまいました。高いモノといっても、「将来的に高く売れるモノ」であれば、実質消費額は高くないため、迷わず購入することができます。しかし、今回私が買ったモノは、「高く売れなさそうなモノ」。つまり、買った値段がそのまま消費額となる可能性が高いモノです。

 私が「高く売れなさそうなモノ」を購入するのは約3年ぶりです。前回買ったものは何かというと、ベッドマットレスです。価格が高い高級マットレスでも、将来的に売るとなった場合、おそらく二束三文の買取額になると思います。しかし、それでも私がそれを購入した理由は、1日のなかで寝ている時間が多くを占めるからです。

 このような理由でマットレスにお金をかけるという方は、私に限らず多いと思います。実際、高級マットレスを買うことによって質の高い眠りを得ることができたなら、仕事のパフォーマンスにもいい影響を与えるでしょう。そういった意味では、高級マットレスを買うという消費は、「自分への投資」というポジティブな捉え方をすることができます。

 では、24時間のうち、寝ている以外の時間は何をしているでしょうか。おそらく働いている人なら仕事をしているということになるでしょう。そしてデスクワークの人の場合、仕事時間の多くが、パソコンの画面を見ているということになるわけです。

 そう考えると、マットレスにお金をかけるのと同じような意味合いで、いいPCディスプレイを使うということが重要に思えてくるのです。ましてやコロナ禍の今、テレワークが注目されているわけですから、仕事の環境を整える必要もあるわけです。

 ということで私は、パソコン作業が多い人に「いいPCディスプレイを買う」ということをオススメしたいと思います。

 ちなみに「ノートPCでも外部ディスプレイは必要か?」と思う人もいるでしょう。私は絶対に必要だと思います。実際、私も使用しているパソコンノートPCですが、外に持ち歩く時以外は、外部ディスプレイに接続して使っています。

 仕事の効率を向上させるためには、外部ディスプレイはあったほうがいアイテムだといえます。

◆知っておきたいPCディスプレイ選びの基本

 パソコンの画面で液晶ディスプレイが主流になったのは、かれこれ20年近く前のことでありますが、そのころと違って、今の液晶ディスプレイの価格は激安です。

 かつての常識では、「画面が大きいほど高級」ということがありましたが、今となっては、31.5インチの巨大ディスプレイでも2万円以下で購入可能。そうなると、何がいいのかという基準は、以前よりもわかりづらくなっているといえます。

 そもそもディスプレイに使われている液晶パネルには、3つの種類があり、それらはTN、VA、IPSに分類されます。

 TNは、安価な製品に採用されることが多い傾向にあり、視野角が狭いという欠点があります。昔の液晶テレビなどは、横からだと見えないということがありましたが、そういった製品に使われていたのがこのTN液晶だといえます。

 次にVAですが、これは最近採用事例が少なくなっているため、ここでは説明を割愛します。ザックリいうならば、TNよりも高級で、IPSよりも安価なのがVAということになります。

 そしてIPSですが、これが最も高級品に採用されることが多いパネルだといえます。視野角が広く、横からでも画面がくっきり見えるというのがIPSの特徴です。そのため、どのパネルを選べばいいかということについては、「IPSを買えば間違いない」となるでしょう。

 次に、ディスプレイの性能として重要なのが解像度です。

 現在、解像度が高いほど価格が高いという傾向があり、特に4kディスプレイは最高級品というイメージがあります。そのため、単純に「IPSの4Kを買えばいい」と思いたいところなのですが、そうとはいえない側面があります。

 というのも、4Kのような解像度になると、ドットバイドットでは文字が小さすぎるため、OS側の画面スケーリング機能が重要となってくるわけです。しかしソフトウェアによっては、スケーリング機能を使うと、何らかの不具合が起きる場合もあるため、必ずしも「解像度が高い」ということがいいとは限りません。特にウィンドウズユーザーは要注意だといえます。

 ですから、映画鑑賞といった用途で使うならば4Kはいいですが、作業を行うという用途の場合、4Kは適しているとはいえない側面があるのです。

 ただし、解像度はある程度高いほうが作業効率がいいことも確か。ドットバイドットで使う場合、ピクセルピッチが20mm以上なら文字が見やすいといえます。

◆大きさじゃないディスプレイ選びの基準は?

 かつては、「大きいほうが高い」というようにわかりやすかったディスプレイ選びですが、現在の基準では「解像度の高いIPSが高い」となっていることをお伝えしました。

 しかし、実は「解像度の高いIPS」をもってしても、まだ「高級ディスプレイ」の基準に達していません。

 たとえば、「4K、IPS、27インチ」といったスペックを備えたディスプレイが約3万3000円で売られている一方で、何の変哲もない21.3インチディスプレイが7万円以上もするという例があるわけです。

 この価格差は何なのか? 実は公表されているスペックを見ただけではわからない価値があるのです。

 なぜ、21.3インチなのに高いのでしょうか?

 その答えは、このディスプレイに使われている液晶パネルが日本製だからでしょう。近ごろは、国内製造・海外製造を問わず、世の中に出まわっているディスプレイの液晶パネルは、ほぼ外国製といっても過言ではありません。外国製の液晶パネルには当たりがある反面、ハズレがあるのが残念なところ。機種によっては、画面を見ていると目が疲れるといった製品もあるぐらいなのです。

 その一方で、この割高なディスプレイには日本製の液晶パネルが使われています。海外製のパネルと比較して、日本製パネルは、信頼度が高く、実際多くのユーザーが「キレイ」だったり「目が疲れない」という感想を述べています。

 往年の名機として名高いEIZOの「L997」も日本製パネルが使われていたということで有名ですが、とにかく日本製パネルの「美しさ」は評判が高いのです。

 ですから、現時点における「いいディスプレイ」の基準こそ、私は「日本製の液晶パネルを使っている機種」とするのが最もわかりやすいと思います。

◆日本製パネルが使われているといわれるS2133-HとCG2420-Z

 私が買ったEIZOのS2133-HとCG2420-Zも、この「日本製パネル」が使われている(といわれている)製品です。メーカーから公式発表されているわけではありませんが、「displayspecifications.com」を見る限りでは、このS2133-Hのパネルはパナソニック製とのこと。有志がディスプレイ内部を分解したところ、しっかり「Made in JAPAN」の文字があるのを写真に収めています。

 日本製パネルを採用しているPCディスプレイを買った私ですが、感想をひと言でいうならば「かなりオススメ」ということになります。

 どちらも、画面がキレイなのはもちろん、文字もくっきりしていて、明度を暗くしても綺麗に表示されるのです。ですから、1日中画面を見ていても疲れないですし、作業効率もかなり上がったと感じています。「なんか違う」と思ったら、すぐに売ってしまう私ですが、今のところこれら日本製パネルのディスプレイは、ずっと使っていたいと思っています。

 しかしながら、この日本製液晶パネルを採用するディスプレイ、今後入手できなくなる可能性があるのです。

 なぜかというと、パネルの製造元であるパナソニックが、2019年に「パナソニック液晶ディスプレイ株式会社による液晶パネル生産を、2021年を目処に終了」と発表したからです。

 つまり、日本製の液晶パネルを採用するディスプレイは、近い将来、物理的に生産できなくなってしまうため、買うチャンスは今しかないわけです。

 そのため私は2台も買ってしまったわけですが、勢いで買ったものの、今のところかなり満足しています。

 ちなみに、日本製パネルを採用しているといわれている現行ディスプレイは数えるほどしかなく、その大半が医療用など特殊用途といった傾向にあります。今回私が購入したCG2420-Zもクリエイティブワーク向けの特殊ディスプレイで、その実勢価格は17万円ほどとかなり高価。

 それに対して、21.3インチのS2133-Hは、実勢価格が7万円台と、日本製パネルを採用するディスプレイとしてはかなり安価な価格帯となっています。ですから私としては、S2133-Hを、価格と性能のバランスがいいディスプレイとして推奨したいと思います。
 
 なお、今回紹介したディスプレイ製品については、日本製の液晶パネルを使っているということをメーカーは公式に謳っていないため、あくまで「日本製のパネルが使われている可能性がある」ということで、ご了承ください。

斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―


CG2420-ZとS2133-Hを2台接続している筆者のワーク机