札幌市中央区内の寿司店が、接合部分を加熱して使う工具「はんだごて」でイカなどをあぶっていたとして、ツイッター上で物議を醸している。

工具のメーカーでは、食品への使用は想定していないと言うが、札幌市中央保健センターでは、「鉛でなく鉄のみ使用と聞いた。それならば、問題ない」と話している。

メーカー「食品を想定しておらず、こんな使い方に正直驚いた」

まな板の上に乗せた白いイカに、寿司職人がはんだごてを使って線状に火入れしていく。こて先からは白い煙が立ち上り、イカに焼きの跡がくっきり付いて...。

この動画は、グルメ情報を発信しているツイッターアカウント2021年2月26日に投稿した。人気の寿司店を紹介するのが目的だったが、はんだごてを使った異色の調理法が次第に話題になった。2000件ほどもリツイートされており、その調理法に疑問も出ている。

はんだごてと言えば、かつては接合用に鉛のはんだが使われていたことから、寿司店が使っているものもそうではないのかとも疑われたからだ。鉛を使わない最新のはんだごてでも、食品に使われるのは珍しいことから、衛生面でどうなのか健康への影響を心配する声が出ている。

はんだごてを使っていた寿司店は、お笑いコンビアンジャッシュ」の渡部建さん(48)が2016年10月ブログで紹介したこともある「鮨ノ蔵」と姉妹店の「弐ノ蔵」だ。

それぞれの店のフェイスブックによると、鮨ノ蔵では、少なくとも4年前からはんだごてを使っており、弐ノ蔵は20年10月オープンした。鮨ノ蔵のフェイスブックには、イカ以外のネタにはんだごてを使う写真もアップされていた。

動画で見られたはんだごてメーカー「太洋電機産業」(広島県福山市)は、自社製品が調理に使われていることについて、営業部の担当者がこう話した。

「食品を想定して作っているわけではないので、こんな使い方をされているのかと正直驚きました。食品については、初めて聞いたからです」

店長は「保健所に話を聞いて下さい」

太洋電機産業によると、10年ぐらい前までは鉛をはんだに使っていたが、それ以降の製品は、すずや銀、銅の無鉛はんだを使っている。鉛は、ごく微量含まれているが、国際的な基準は満たしているという。こて先の先端部分は、銅に鉄メッキをしてある。

「新品ならはんだが乗っており、高温で溶けてしまい、体内に入ると金属が蓄積される恐れがあります。何度も使っていれば、はんだがなくなり、それ以外は溶けませんので、調理するときに先端をやすりがけして、はんだを落としているのかもしれません。しかし、ガスバーナーであぶるのとは違って、はんだごてがネタに直接触れていますので、控えていただきたいとは思っています」

鮨ノ蔵の店長は3月1日J-CASTニュースの取材に対し、「保健所に話を聞いて下さい」とだけ答えた。

札幌市中央保健センターの生活衛生担当課長は同日、はんだごてを使った調理について、取材にこう話した。

「今回の件については、本日電話で確認のために聞き取りをした結果、鉛ではなく鉄のみを使用していると回答がありました。もしそうであれば、食品衛生法上の規格基準上問題はないと考えています」

厚生省(現厚労省)から食品衛生法に基づき1959年12月28日に告示された「食品、添加物等の規格基準」によると、第3のAにこう定められている。

「器具若しくは容器包装の食品に接触する部分の製造又は修理に用いるハンダは、鉛を0.2%を超えて含有してはならない」

つまり鉛のはんだは、基準外となる可能性が高いが、鉄メッキの先端部分だけなら基準内ということになるようだ。

なお、中央保健センターの担当課長は、鮨ノ蔵が3月2日以降にフェイスブックで客への説明を行うと聞いたとしている。

J-CASTニュース編集部 野口博之)

はんだごてでの調理の様子(鮨ノ蔵のフェイスブックから)