イギリスで発見された、古代ローマ時代の壊れた石臼の破片をつなぎ合わせていた考古学者たちは、復元されたものを見てショックを受けた。
そこには男性の象徴であるところの”いちもつ”が刻まれていたのだ。古代ローマ時代、男性器は魔除けや幸運を呼ぶラッキーアイテムとされていた。
この石臼もそんなご利益にあやかろうとしたものなのかもしれない。
2017年から2018年にかけて、イギリス、ケンブリッジシア州ケンブリッジとハンティンドン間の道路工事をしていたとき、この珍しい石臼は発見された。
この工事中に発見された、300以上の石臼のうちのひとつだ。壊れた石臼の破片が復元されたのは最近のことで、そのときに初めていちもつが刻まれていることがわかった。
オックスフォード考古学のルース・シャフリー教授は、このような彫刻が施されたローマン・ブリテン時代の石臼は非常にレアなものだと言う。
このような装飾が施されたローマン・ブリテン時代の石臼はこれまで4つだけしか知られていませんが、そのうちのひとつがこのA14で、これは非常に重要な発見です。この地域の共同体にとっての製粉道具の重要性や、その表面に男性器を描くことによって、石臼やその産物である小麦粉に与えられた庇護的な意味合いについての詳細がわかるからです
ルース・シャフリー教授と古代ローマの男根が彫刻された石臼
古代ローマにおけるいちもつ信仰
古代ローマのアートや図像の題材として男性器が広まったのは、男らしさや強さの象徴として好まれたからだ。お守りや場所に描かれることが多く、それを身に着ける者や土地に加護や幸運をもたらすためだった。例えば、男の子の赤ん坊は、男性器モチーフのお守りの入ったブラと呼ばれる特別な護符を与えられた。これを首にかけておくと、邪悪なものから守ってもらえるとされていた。誕生後9日たってから、成人になるまでこれを身に着けたという。
男根をかたどった風鈴、ティンティンナブラ(tintinnabula)は、ブロンズを彫刻したもので、羽の生えたペニスの形で描かれることが多い。これは、ポンペイの庭々によく吊るされていた。また男性器がレリーフとして壁や地面に刻み込まれた例もある。
ポンペイで発見された古代ローマ時代のティンティンナブラ。ナポリの国立考古学博物館に展示されている
男性器と製粉の意外な関係
イギリスの高速道路管理局の考古学リーダー、スティーブ・シャーロックは、男性器と製粉はローマ人にとって互いに関連の深いものだったと言っている。この石臼は、ローマン・ブリテン時代からのこうしたイメージ像の証拠をもうひとつ増やしたわけで、重要なものです。男性器のイメージと製粉との関係性はすでに知られていて、例えば、ポンペイのパン屋の壁には、"Hic habitat felicitas"(ここで幸せを見つけることができる)という言葉と共にいちもつ像が刻まれています
References:A14 upgrade: Ancient relic engraved with giant phallus found by archaeologists - Cambridgeshire Live/ written by konohazuku / edited by parumo
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