全世界で40億人もの人たちが毎日数時間SNSに時間を費やしていると言われている。何かに取り憑かれているかのようにFacebook、Twitter、Instagramといったプラットフォームに夢中になる人々の姿は、依存症にも例えられてきた。
一体何がそこまで彼らを夢中にさせるのか? 新しい研究によれば、その背後には動物の報酬予測と同じ心理メカニズムが働いているという。
動物がより多くの報酬(エサ)をもらえるように自主的に行動するように、SNSにはまる人は「いいね」の数に反応して投稿を繰り返すのだそうだ。
『Nature Communications』(2月26日付)に掲載された研究では、動物に広くみられる報酬予測でSNSの流行を説明できないかどうか検証されている。
「報酬予測」とは特定の情報から将来”報酬”を予測することである。
動物にとっての”報酬”とは生存に不可欠な食料・水などのことで、より多くの報酬を得るために反応・行動することは種の存続に有利に働く。そのため、動物は特定の情報から報酬の獲得が予測できる状況にあっては報酬を予測し、それにともなう様々な反応と行動選択をみせる。
オランダ、アムステルダム大学をはじめとするグループは、SNSの利用者4000人が寄せた100万を超える投稿を分析した。
そこから明らかになったのは、彼らが「いいね」をできるだけたくさんもらえるように投稿をしているということだ。
「いいね」の数が多ければ、それに反応して多くの投稿するようになるし、少なくなれば投稿の頻度も減っていく。
SNSにはまる人はネズミの行動原理によく似ている
コンピューターモデルによる分析では、こうしたパターンが「オペラント条件付け」と呼ばれる心理メカニズムとよく似ていることが判明したという。オペラント条件付けとは、報酬や嫌悪刺激(罰)に反応して、自発的にある行動を行うように学習することであり、環境の変化に応じて行動の頻度が変化する。
特にSNSの場合、報酬(エサ)をできるだけたくさん得られるよう振る舞うネズミの行動に非常に近いことが示唆されている。
たとえば、ブザーが鳴ったらレバーを引くとエサをもらえるような仕掛けを作る。そうした環境に置かれたネズミは、ブザーが鳴るとエサがもらえなくても自発的にレバーを引くことが増える(正の強化)。
SNSの利用者の行動はまさにこれと似ているのだそうだ。実際、コメント付きの面白いイメージを投稿してもらったオンラインの実験では、たくさん「いいね」をもらったときの方が、参加者がたくさん投稿するようになることが確認されている。
「いいね」の数が条件付けとなり動物の行動原理をくすぐる
「この結果は、SNSの利用がオペラント反応というさまざまな種に見られる基本的な行動原理に則ったものであることを証明しています」と、研究グループのデビッド・アモディオ教授は説明する。
なぜ、人々はそこまでSNSに夢中になるのか? それは「いいね」が動物の本能的な行動原理を刺激するというのが今回の研究結果だ。
知らず知らずのうちに条件付けされていて、体が勝手に「いいね」に反応してしまい投稿を繰り返えしているのだ。私も身に覚えがありまくりだ。
References:Social Media Use Driven by Search for Reward, Akin to Animals Seeking Food, New Study Shows/ written by hiroching / edited by parumo
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