コロナの影響で「中食」、いわゆるお惣菜やお弁当が注目されるようになり、外食専門だったお店もテイクアウト販売を始めるようになってずいぶん経ちます。

 そんな中、「刺身がうまい、いい弁当屋さんがあるんだよ」という情報を聞いて向かったのは川崎市中原区にある『鮪牛』。武蔵小杉駅からも向河原駅からも徒歩圏内にあるお店です。寿司屋のテイクアウトとかじゃない。お弁当屋さん。で、刺身がうまいって? 海鮮丼ってこと? しかも個人的にイチオシはあん肝ってなぜ? と、謎をどんどん深めつつ店に向かいます。

壁一面にお弁当の写真! ワンコイン500円弁当も色々!

店の壁いっぱいに写真入り弁当メニュー。日替わりメニューは500円~とリーズナブル
店の壁いっぱいに写真入り弁当メニュー。日替わりメニューは500円~とリーズナブル

 細長い店に入ると、弁当店だけれど、冷蔵ショーケースがどーんと中央に。お弁当はその上に数種類積まれていますが、基本はメニューを決めて注文するスタイルのようです。

 そして、刺身がうまい、の理由発見。冷蔵ショーケースの中に、刺身の盛り合わせや単品の切り身などが。なるほど。刺身弁当、じゃなくて、刺身も販売している弁当屋ということですね。でもなんでお弁当屋さんに刺身?

「うちは社長が水産業で8年間、畜産業でも働いていたので、その時からのツテでいい食材が出に入るんですよ。だからほとんどの食材に冷凍物を使ってないのが自慢ですね」と話す店長。冬は上質なマグロシャケ焼き魚用の銀ダラなどが手に入るとのこと。だから鮮度が大事なあん肝や白子もショーケースにあるんですね。刺身が美味しい、というのに納得です。

 刺身の謎が解けたところで、お店を代表するお弁当3つを紹介です!

カツと生姜焼きで豚肉満喫ボリューム弁当!「豚豚弁当」850円

トンカツ&味噌焼きの「豚豚弁当」850円。ゆで卵、漬物、青菜、ナポリタンつき
トンカツ&味噌焼きの「豚豚弁当」850円。ゆで卵、漬物、青菜、ナポリタンつき

 三元豚のトンカツと三元豚のロース味噌焼きがどーんと乗った「豚豚弁当」。メイン2つのほかに青菜、漬物、半熟卵半分が入っています。ずっしりと重量感のあるトンカツは、冷めても抵抗なく噛み切れる柔らかさ。おそらくですが下味は軽めの塩胡椒のみ。ただ豚自体の旨味がしっかりしているので、そのまま食べても物足りなさは感じません。中に入っている「ごまとんかつソース」との相性も抜群で、豚の旨みとゴマの風味、ソースの甘辛さが三位一体となります。

 生姜焼きは、生姜、ニンニク、醤油などパワフルな味をしっかりと感じられる味に。力強いタレの味と、豚肉自体の甘さや旨さにゴハンがもりもり進みます。「美味しい三元豚肉をふんだんに使っているから、お肉好きにはたまらない弁当だよ」と店長。

 トンカツ→ゴハン→生姜焼き→ゴハン、たまに漬物、青菜。さっぱりとこってりをゴハンを挟みつつ交互に味わえるので、飽きることなくあっという間に完食!

冷めても柔らかいステーキに驚き!「ハンバーグ&ステーキ弁当」1000円

「ハンバーグ&ステーキ弁当」1000円。ゴハンの上にステーキ、右上にハンバーグ
「ハンバーグ&ステーキ弁当」1000円。ゴハンの上にステーキ、右上にハンバーグ

 いい食材が手に入るって言っていた店長さんの意味がすっごくわかったのがこの「ハンバーグ&ステーキ弁当」。お弁当、通常は熱々で食べないもの。冷めた状態で食べるのが弁当。そして熱々じゃないと大概残念なのがステーキ。ですが、このステーキとんかつ同様固くないっ! 口の中でゴワゴワ、とかじゃなく、普通に美味しい。おそらくだけど、サシが細かく入ったお肉なんだろうなぁ。じゃないと加熱後、ずいぶん経った状態で、薄切りじゃない牛肉が余裕で噛み切れるとは思えない。「ステーキはUS産プライムビーフに和風おろしソースがかかっているんですよ」と店長。

 米農務省(USDA)の検査官により、牛の種類、成熟度、サシの入り具合、性別の4つの要素から決まるグレードで最高ランクなのが「プライム」。お弁当に最高ランクの肉使っているんです! ハンバーグもふっくらしていて美味しいし、そして左上のポテトサラダみたいなルックスは?「これはタラコの煮物ですね」。おそらくですが、一般的なタラコでイメージするスケソウダラの卵ではなくて、「タラ」の卵をボール状にしたものだと思われます。程よい出汁感でジュワッとほろっと美味しい。これだけでゴハンいける~。魚介と肉、両方のポテンシャルの高さを感じさせるお弁当でした。

揚げ物の祭典! 完食までの難易度高め「ホームラン丼」880円

牛豚鶏魚介野菜、揚げ物が一堂に集う「ホームラン丼」880円
牛豚鶏魚介野菜、揚げ物が一堂に集う「ホームラン丼」880円

 そして、この店でおそらく一番ストロングな弁当が、三元豚のロースカツ、三元豚のヒレカツ、牛肉たっぷりコロッケ、自家製の唐揚げ、野菜春巻き白身魚のフライ、カニカマのカツが器からはみ出すほど盛られた「ホームラン丼」。

「人気の食材を全部のせて、お客様に喜んでいただけるような丼にしたんですよ」と店長。野球好きオーナー命名の丼だそうです。野菜は、キャベツと柴漬け。あとは春巻きの中身の野菜? でもかろうじている、と言った状態。バレンの緑がないと、おそらく茶色感がものすごい弁当です。そして、ゴハンより先に揚げ物のどれかを食べないと中が見えない。

 とりあえず、蓋にいくつかの揚げ物を移動して、ゴハンと並行して味わうけれど、この丼、ゴハンの量に対して圧倒的におかずが多すぎる! 「ゴハンはたっぷり350gあるので、足りないことはないですよ~」。…ですよね。確かに一般的な丼の一杯分は余裕である。

「ちなみにゴハン大盛りは+100円です」と店長。おそらくですが、おかず1:ゴハン1に近いバランスにするためにゴハン大盛りにすると、トータル1kg超えになりそうです。10代体育会系若者なら余裕ですが、大人になっちゃった人が買う場合、白ゴハンを別で買って、誰かとシェアするのがオススメです。

「暖かくなったら「春爛漫弁当」も販売予定。お花見にオススメですよ」(店長の小島さん)
「暖かくなったら「春爛漫弁当」も販売予定。お花見にオススメですよ」(店長の小島さん)

 ちなみにランチタイムに購入した場合、お味噌汁のサービス付き。そして、日替わりのAランチ、Bランチの場合はゴハン大盛りサービスあり。まさに腹ペコが喜ぶボリュームとサービスを兼ね備えたお店です。

「うちは、スポーツ関係、学校関係の注文も多いんだよ」と店長。武蔵小杉といえばバレーボールのNECレッドロケッツ、そしてサッカー川崎フロンターレのお膝元。フロンターレがホームゲームの時にはお弁当を持って行っているとのことなので、おそらくあの選手やあの選手も食べていると思われます。

 お店の営業時間は昼13:30までと夜20:30までですが、100mぐらい離れた場所にある姉妹店の『もつ焼き・居酒屋 串ぎゅう』店頭でもお弁当を販売しているので、14時過ぎたけれど弁当が買いたい、という場合は串ぎゅうへ。

 日替わりのおすすめ弁当や本日のランチ丼、本日のランチカレーなど各500円とリーズナブルなお弁当も多く、刺身も外せない『鮪牛』。ランチで弁当を買って、夜は刺身にするか、ホームラン丼で、夜用に唐揚げやフライを残して2食分楽しむか。ハンバーグとステーキの弁当もライス普通盛り200円を追加すれば2食でいける?

 ボリュームの良さはもちろんですが、それぞれの食材の良さ、美味しさも堪能できたので、次回武蔵小杉に来た時は、弁当を買うか、串ぎゅうで飲むこと、決定です!

(取材・文◎いしざわりかこ)

●SHOP INFO

鮪牛(まぐぎゅう)外観

店名:鮪牛(まぐぎゅう)

住:神奈川県川崎市中原区下沼部1917
TEL:044-431-2941
営:11:00~13:30、17:00~20:30
休:日曜(予約の場合、日曜注文受け取り可能)

食楽web