気候変動、人工知能が人間の脳を超えるシンギュラリティ、小惑星の衝突、そして疫病パンデミック...人類は今、複数の脅威に直面している。
そしてそれとは別に、人間の内側からひっそりと迫ってきている危機があるという。男性の精巣から精子が失われ続けているというのだ。
ある著名な疫学者は、人類の生存を脅かす危機的な少子化につながる恐れがあると警鐘を鳴らしている。
米マウント・サイナイ医科大学のシャーナ・スワン氏は、「生殖問題が今のまま続けば、いずれ人類の生存を脅かすようになるでしょう」と、その危険性が地球温暖化に匹敵するものであることを訴える。
彼女が2017年に発表した研究では、1973~2011年にかけて西欧諸国で暮らす男性の精子が59%も減少したと報告されており、世界的にも話題になった。
また、2019年の研究によると、スイス人男性の精子は世界的に見てもかなり危機に瀕していることが発覚したそうだ。
そうした傾向は恐ろしい未来へと続いている。スワン氏らの研究によると、このままいけば2045年までに精子が完全に失われてしまうと予測されている。そうなれば人類は絶滅危惧種になってしまう。
「絶滅危惧種の認定には5つの基準が考えられ、そのうち1つが当てはまれば認定できますが、現状で人類は少なくとも3つを満たしてしまっています」
2045年は、レイ・カーツワイル氏が予測する、人工知能が人間の脳を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)に到達する年である。
既に半数の国で人口を維持できる出生率を下回る
1964~2018年にかけて、世界の出生率は女性1人あたり5.06人から2.4人まで低下した。今日、世界の半分の国々で、出生率が人口を維持できる2.1を下回っている(なお2.0でないのは、男性の人口がやや多いなどの要因があるため)。子供が生まれない理由は、避妊の普及・文化の変化・育児の費用といったことも関係しているが、流産率の上昇・男性の生殖能力の異常・女性の早熟化といった生物学的な要因もある。
男性の体の中で何が起きているのか?
スワン氏が指摘するのは、まず化学物質への曝露だ。ありとあらゆる場所に化学物質が蔓延しており、プラスチック・化粧品・殺虫剤といった身近なものに、フタル酸エステルやビスフェノールAといった内分泌かく乱物質が入っている。またタバコ・大麻・肥満といった不健康なライフスタイルも関係しているようだ。
環境中に存在する化学物質と、現代社会で送られている不健康なライフスタイルがホルモンバランスを崩し、程度に差はあれ、生殖機能にさまざまな混乱を引き起こしている(スワン氏)
男性にとっては踏んだり蹴ったりだが、精子の減少は、精巣がんの発生率とも関係しているそうだ。
個体数が減少しているのは人間だけではない。もちろん増えている種もあるが、昆虫をはじめとする様々な野生生物たちが減少傾向にある。
これはあらかじめ地球に組み込まれている自然淘汰の一種なのだろうか?新たなる地球に生まれ変わる過渡期にあたるのだろうか?
References:axios / theguardian/ written by hiroching / edited by parumo
追記:(2021/03/02)タイトルと本文を一部訂正して再送します。
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