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サイコパスを自認する人々が語るサイコパスのリアルな日常

 「サイコパス」という言葉が日本に浸透してから久しい。実用日本語表現辞典によると、「自分以外の人間に対する”愛情””思いやり”などの感情が欠如している」という点において特筆される精神病質者のことだ。

 多くのメディアやフィクション作品に取り上げられることでその知名度が上がっていったわけだが、そのせいで誤解を招いていることも多い。

 例えば「常に獲物を求めて冷たい目を光らせている無慈悲な殺人者」などというサイコパスなんてごく稀だ。常日頃から他人を罠にかけようと積極的に行動しているわけでもない。

 事実、多くのサイコパスは普通に暮らしている。海外掲示板レディットでは、サイコパスを自認するユーザーらが、質問に答える形で、世間一般のイメージとの違いや、その日常生活について語りあうスレッドが設けられていた。

【サイコパスとそうでない人の線引きは難しい】

 日本の場合、サイコパス(精神病質者)の定義がまだはっきりと決まっておらず、「成人において非社会性または反社会性を常況として社会生活上の困難をしめす反社会性パーソナリティ障害(精神障害)を持つ者」と解釈されることが多い。

 その特性は、一般的には良心、罪悪感、道徳観念、倫理観の欠如などがあり、自分以外の人間に対する「愛情」「思いやり」などの感情が著しく欠け、極めて自己中心的に振る舞う傾向にあるとされている。

 だが、難しいのはサイコパスにも程度の差があるということだ。サイコパスがすべてのサイコパス的要素を持っているとは限らないし、逆に、サイコパスではなくてもサイコパス的な要素を持つ人も少なくない。サイコパスとそうでない人の線引きは素人にはなかなか難しいようだ。

 

サイコパス=犯罪者ではない

 アメリカでは「サイコパシー(精神病質)」の診断基準に当てはまる人たちは、100人に1人の割合で存在する。結構な割合だ。

 サイコパスだからといって必ずしも罪を犯すわけではないし、むしろ罪を犯すような人の方が稀であるということは理解しておくべきだろう。

 普通に社会生活を送っているサイコパスも数多く存在する。それどころか、他人を踏み台にすることを躊躇せず、結果至上主義的な特性が大きな武器となり、それぞれの分野で活躍している人たちは多い。

 経営者や上級管理職ほどサイコパスの割合が高くなる傾向があるとする研究結果も発表されている。

実際のサイコパスのリアルな日常

iStock

 そういった点を踏まえながら、海外掲示板の「サイコパスだけど質問ある?」のスレッドの内容を見ていこう。彼らは普段、どんなことを感じ、どんなことを考えて生きているのだろうか?

自分は普通。変わっているのはまわりの人間だと思っている

 サイコパスの特徴の1つには、他人に冷淡で共感しないことが挙げられるが、彼らにとってはそれが普通だ。だから逆に感情的になるまわりの人の方が変わり者といった印象を抱いているようだ。

 あるユーザーはこのような投稿をした。

長いこと自分は普通で、いろいろなことに泣いたり叫んだりする人たちはやたらと大げさな変わり者だと思っていた。けれど、身近な人が亡くなって何も思わなかったことがきっかけで、自分自身に疑問を抱くようになった

 ペットに関する質問では、ペットを生かし続けるほどの気遣いはないし、放棄するのは目に見えているので、ペットを飼うことに興味はないという。

 彼らの意見は普通の人にはかなり刺激的に聞こえる場合もある。

賛否両論ある難しいテーマの議論について、自分はとてもいい意見を言ったつもりなのだが、大抵みんなを動揺させるようなんだ

殺人は労力に見合わない

 サイコパス=殺人者というイメージが植え付けられている人も多いが、現実のサイコパスはもっと合理的に考えているようだ。自称サイコパスらはこう語る。

メディアじゃ、自分のような奴を無慈悲な人殺しとして描くけど、自分は他人を傷つける必要なんて感じたこともない。

多分好奇心だろうね、若い頃は嫌な気分になるか試してみたことはあるけれど、もう疑問は解けたし、そんな必要はないね


メディアでは、サイコパスは全員人殺しであるかのように大げさに伝えるよね。自分は人殺しじゃないけど問題の解決法として殺人は常に選択肢にある。

とはいっても、それが自殺と同じくらい極端な手段だってことは分かっているよ。その問題は解消されるかもしれないけど、そんなことをしてしまったらずっと慎重に行動しなきゃいけないし、その結果はとても苦しいものになる


自分がサイコパスなんじゃないかって疑っている人は、誰かとの死別した時にそれがわかるかもしれない。

自分はどんなに誰が死んでも解放されたように思った。重石を1つ下ろして、バレる可能性が1つ減ったみたいな感じ

人付き合いは演じる、恋愛は楽勝

 サイコパスは口が非常に達者で、少なくとも表面上はとても魅力的であることが多い。それは相手から望まれている役割を完璧に演じる能力が彼らにはあるからかもしれない。そして、それは恋愛でも発揮される。

家族とか友達との付き合いのキモは真似事だね。いい結果を出すには、そうした関係がどんな感じであるべきかっていうのを模倣するんだ
恋愛は楽勝。どんな感じで接すればよいか学習しているからね。みんながどんな感じの恋愛を受け入れるか分かっているから。超余裕だよ。演じるのは本当に容易い。実際、恋愛は誰の中にもサイコパスがいるってことを証明するものなんじゃないかな

サイコパスであることを隠して生きるのは疲れる

 だが彼らとて、常に演じ続ける日常に疲れないわけではない。だから何かが妙だと感づかれる前に、自分から告白する人だっているようだ。

すごく疲れる。本当の自分を閉じ込めて、外ではそれ以外の仮面をかぶって生きているみたいだ。自分と仮面と線引きが難しくなってくる。

自分自身でいられるよう、独りで暮らせるところに引っ越そうかってたまに想像するよ


家族もたいていの友達も自分の障害のことを知っている。個人的に学んだのは、誰かに何か妙だなって気づかれる前に話しちゃった方が、相手はうまく対応してくれるってことだね。

その方が自分たちの誰もが策略だらけで、何もかもを操っているなんて幻想を打ち砕いてくれる

サイコパスもまた人である

 意外かもしれないが、彼らだってきちんと人を好きになり表面上は問題なく社会生活を送っている。

 相手に様々なレッテルを貼り付けるくせに自分はまともと思い込んでいる自称”普通"の人間の方が、実は恐ろしい存在なんてこともあるのかもしれない。

みんなとそんなに変わらないんじゃないかな。2年前に診断されたけど、何も変わっていない。妻も子供もいる。きちんとした仕事もある

メディアは自分たちをただの狂人で、人を殺して食べちゃうなんてイメージを作り出しているけど、自分は娘と一緒にいる方がずっと好きだし、脳ミソを食べたいなんて思わない


私にも愛する人や好きな人がいる。自分たちはロボットじゃない。人間なんだ

 あなたが人であるように、サイコパスだって人間なのだ。

References:Psychopaths of Reddit, what’s your day to day life like? Is the portrayal of psychopaths in media accurate to who you are? How do you interact with family and friends?/ written by hiroching / edited by parumo

 
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