育休からの復職直前に解雇されたのは「マタニティハラスメント」だとして、神奈川県内の保育園に勤めていた30代女性が、保育園を運営する社会福祉法人を相手取り、雇用関係にあることの確認や未払い賃金、慰謝料などを求めた裁判の控訴審判決が3月4日、東京高裁であった。

東京高裁は、昨年3月の1審・東京地裁判決と同様に、女性の解雇は違法無効とした。そのうえで、解雇後の未払い賃金と社会保険給付の相当分に加え、復帰直前に復職を拒絶されたことで大きな精神的苦痛を負ったなどとして、慰謝料30万円の支払いを命じた。

判決後、都内で会見を開いた女性は「復帰を希望していたのに、受け入れてもらえず、すごくつらかった。自分と同じような思いをする人がいなくなることを願っている」と話した。

育休からの復職直前に解雇

判決によると、女性は2012年保育士として就職。正規職員として勤務していた2016年、第1子の妊娠がわかり、2017年4月から産休に入り、同年5月に出産した。

育休からの復職直前の2018年3月、保育園を運営する社会福祉法人「緑友会」の理事長から、「復職させることはできない」という内容を伝えられ、 同年5月9日付で解雇された。

その後、復職交渉をおこなったものの、不調に終わったため、 女性は2018年10月、労働契約上の地位の確認や、賃金・賞与、慰謝料などを求めて提訴した。

解雇から3年、それでも「保育園に戻りたい」

裁判では主に、解雇の有効性が争われた。

法人側は、女性に職場環境を悪化させるような問題行動があったなどとして、解雇に代わる有効な手段はなかったと主張するなどして争っていたが、判決は「解雇に相当するような問題行動であると評価することは困難」と判断した。

また、「妊娠・出産等以外の客観的に合理的な解雇理由」があるとはいえないとし、妊娠中および出産後1年を経過しない女性労働者に対する解雇を原則として禁止する「男女雇用機会均等法9条4項」に反するとして、解雇は無効とした。

原告代理人をつとめた甲斐田沙織弁護士は「男女雇用機会均等法9条4項が争点となり、正面から判断したうえで違反するとした点は、先例としての意義を有するのではないか」と今回の判決を評価した。

すでに解雇から3年近く経過しているが、女性は「勤めていた保育園に戻りたい」という。

「(判決について)思いが認められたことに安心しています。勤めていた当時、『出産したら戻るからね』と子どもたちと約束しました。今も保育園に戻りたいという気持ちは変わりません」

社会福祉法人の理事長コメント

保育園を運営する社会福祉法人「緑友会」の理事長は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「代理人の弁護士から判決主文の内容は口頭で聞いているが、まだ判決文を読んでいないので、現時点での正式なコメントは控えさせていただきたい」と話した。

「保育士マタハラ訴訟」 育休明け前の解雇、控訴審も無効…原告女性「今も戻りたい」