コロナ禍で生活様式が変わり、その生活にいまだ慣れない人も多いだろうが、海外では、地下鉄内で社会的距離を取るようにお願いされた女が暴力を振るう事件が起きた。

 アメリカ・ニューヨーク州で、物乞いをした中年の女が、社会的距離を取るように他の母親にお願いされたことに腹を立て、母親の息子に暴力を振るったと海外ニュースサイト『New York Post』と『Daily Mail Online』が2月24日までに報じた。

 報道によると、2月20日の午後3時頃、21歳の母親は2歳の息子とともに地下鉄に乗っていたという。母親は息子を膝の上に乗せて座っていた。そこに40代と思われる女が母親と息子に近づき、金銭を恵んでほしいとお願いしてきた。女はマスクをして野球帽をかぶり、格子縞のシャツとジーンズの上に黒いコートを羽織っていた。髪型はショートカットで角刈りに近く、首にタトゥーがあった。

 母親は話しかけられると、新型コロナウイルスの感染防止のため、女に「6フィート(約1.8メートル)離れてください」と社会的距離を取るように頼んだ。すると女は腹を立て、母親の足を踏みつけたという。

 母親は女に抗議し口論になった。女は母親の膝の上にいた息子につかみかかり、顔を殴るなどの暴行を加えたという。周りにいた人が引き離すと女はその場から逃げた。女は現在逃走中で、警察は顔写真を公開して行方を追っている。なお、息子は顔と耳に怪我を負った。病院に運ばれたが、『Daily Mail Online』によると幸いにも怪我は深刻ではないという。

 このニュースが世界に広がると、ネット上では「コロナ禍で周りとの距離はみんな気にしている。ましてや幼い子どもがいたらなおさら。それに腹を立てて暴行を加えるなんて最低」「コロナ禍にかかわらず注意をされたことに腹を立てて手を出すのは許せない」「こんなご時世でも距離を詰めて話してくる人はいる。でもこういう事件があるから怖くて注意できずにいる」「地下鉄でお金を恵んでほしいと言ってくる人はいるが、そもそも頼んでいるのに断られたからキレるというのはお門違い」などの声が挙がっていた。

 ​>>“マスクの着用を拒否する”とタトゥーを入れた女性、コロナ大流行後に後悔 夏中、長袖で過ごしたと明かす<<​​​

 コロナ禍がきっかけで、電車内で起きた事件は、海外だけではなく日本でもある。

 北海道の列車内で当時44歳の男が、新型コロナ対策で換気をした当時31歳の車掌に腹を立てて殴ったと『産経ニュース』(産経新聞社)が2020年4月に報じた。同記事によると、列車内の換気をしていた車掌に男が「寒い」などと言って、ドアを閉めるように頼んだ。車掌が聞き入れなかったことに腹を立て、男は車掌の胸ぐらをつかんだという。

 男は暴行の疑いで現行犯逮捕された。警察の調べに対し、男は車掌にドアを閉めるように言ったが聞いてもらえず「車掌の態度が気にくわなかった」と話している。

 新型コロナ収束のめどはいまだに立たず、感染防止を意識した生活はしばらく続きそうだ。こういった生活様式の変化から生まれるトラブルが続出しないことを願うばかりだ。

記事内の引用について
Cops release photo of woman who punched 2-year-old boy on subway」(New York Post)より
https://nypost.com/2021/02/23/cops-release-photo-of-woman-who-punched-2-year-old-on-subway/
「PICTURED: Panhandler who punched two-year-old in the face on NYC subway while he sat on his mother's lap in the latest violent incident to plague the transit system」(Daily Mail Online)より
https://www.dailymail.co.uk/news/article-9295013/PICTURED-Panhandler-punched-two-year-old-face-NYC-subway.html
「コロナの換気巡りトラブル 暴行疑いで放射線技師を逮捕」(産経ニュース)より
https://www.sankei.com/region/news/200421/rgn2004210031-n1.html

画像はイメージです