どんな集団でも、「すべての人が問題を起こさない」ということはありません。鉄道ファンでも残念ながらそういう人は存在し、「盗り鉄」「クズ鉄」などと呼ばれています。

いつもと変わっている引退間近の車両

鉄道車両の車内に、その車両形式や製造番号を表記した、いわば「名札」ともいえるプレートが掲示されていることがあります。

しかし、2021年3月13日(土)のダイヤ改正で定期運行を終了するJR東日本185系電車では、元々存在したそのプレートの代わりに、簡易なネームテープも貼られているようです。

近年しばしば、「名札」の代わりにネームテープになっている例が、引退が近づいている車両でしばしばみられます。「名札」の盗難対策と考えられます(残念ながら盗難後の場合もあり得ますが)。

2月25日(木)、産経新聞がこの185系で、行き先を表示する幕といった備品の紛失が相次いでいる、と報じました。

また2月18日(木)には、大井川鐵道が車両備品の盗難発生についてニュースリリースを出しています。

鉄道ファンを表現する言葉として、乗るのが好きな「乗り鉄」、撮るのが好きな「撮り鉄」といったものがありますが、そのひとつに「盗り鉄」という言葉も存在するのは、悲しいところです。

一部に問題行動をする人が存在するのは、もちろん鉄道ファンに限りませんが、鉄道ファンのなかでは、「クズ鉄」というそうした人に対する蔑視の言葉もあります。

犯行は鉄道ファンとは限らない?

車両備品の盗難行為が、鉄道ファンによって行われることがあるのは確かですが、そうでない場合もあるようです。

ネットオークションに多数出品されているように、鉄道部品は換金可能なものです。鉄道ファン以外でこれに目を付ける人がいても、不思議ではありません。

とはいえ、出どころが特定しやすい鉄道部品の場合、オークションや鉄道部品を取り扱う店舗に出すことは犯罪の発覚につながるため、コレクションが目的の鉄道ファンによる可能性が高まりそうです。

鉄道が好きな人が、その部品が欲しいと思うことは自然でしょう。もちろん鉄道部品に限らず、欲しいから盗ったは犯罪です。本物の部品でも、鉄道会社による廃品販売といった“正規ルート”で手に入れることができます。

しかし正規品か非正規品かの判別は、難しいでしょう。

もちろん、犯罪行為が言語道断なのは言うまでもありませんが、もし、こうしたごく一部の「クズ鉄」のため、鉄道会社から廃品が出てこないとなったら、ファンには寂しい話でもあります。私自身を始め、鉄道ファンとして何ができるか、かんたんではないかもしれませんが、考えていきたいところです。

2021年3月で定期運行を終了する185系(画像:写真AC)。