
◆街中ではどこか“コロナ慣れ”した空気も…
首都圏の1都3県で緊急事態宣言が延長される運びとなった。そんななか、日本レセプト学会(岡山市)の調査で次のような結果が出ているという。コンビニの利用客の2割がマスクを顎にかけるなど、正しく着用していないか非着用。さらに、正しくマスクを着用している人より店内滞在時間も長かった、と報道されている。街中では、どこか“コロナ慣れ”した空気が漂う。
調査結果に対し、神奈川県川崎市内のコンビニ店オーナー・佐藤雄二さん(仮名・40代)がこう話す。
「めちゃくちゃわかります。本当にその通り。もうコロナなんかどうでもいいやって人と、そうでない人との差がどんどん開いているように感じます」
◆コンビニでノーマスクの客が増えている
佐藤さんは最近、ノーマスクの客が増えたことを実感しているという。
「レジの上から吊るしてある飛沫防止用ビニールシートで声が通りにくいと、マスクを外して大声をあげたり、ビニールシートを手で避けて店員に話しかけたりする人は以前からいました。
でも、最近はマスクなしの人が本当に目立つ。おでん鍋の前でベラベラ喋ったりね。マスクをしている常連のお客さんがその様子を見て引いていましたね。よっぽど気持ち悪かったのか、来なくなってしまいました」(佐藤さん)
客だからマスクくらいでは強く言えない……。そんな客商売の難しさに直面。見過ごしていると、さらに拍車がかかってきたという。
「店で買ったお酒とつまみで、店頭の喫煙スペースで宴会を始めちゃうんです。このままでは近所のお客さんが来てくれなくなると思い、喫煙所を撤去したんですけどね。タバコを吸う人もお酒を飲む人もあまり減らず、ただ汚くなっただけですね」(同)
◆タクシーに乗り込んだ瞬間、マスクを外してしまう人も
東京都内のタクシー運転手・吉野誠さん(仮名・50代)も、ノーマスクの客に翻弄されている。
「タクシーに乗り込んだ瞬間、なぜかマスクを取られるんです。『あー、楽になった』って。ただ、マスクを着けてくれなんて言いにくいでしょう。一応、マスク着用のお願いのステッカーを貼っているんですけどね。『運転手さんもマスクなんかきついでしょ』なんて。私は感染したくないので、作り笑顔ですけど毎回ヒヤヒヤです」(吉野さん)
タクシーのような密室空間も怖いが、美容室やマッサージ店など、さらに近い距離感でサービスを提供しなければならないところにマスクなしの客が来たら、彼らのストレスは溜まる一方だ。
◆客のマスク未着用についてはグレーな状態
同じく都内の美容師・中本さやかさん(仮名・30代)が最近悩んでいるのはノーマスクの客への対応である。
「店長からお客さんにはマスクを着けてもらうように指導されており、カット中も基本的にはマスクを着けてもらいます。しかし、お客さんによっては息苦しいと外されます。決まりなので、と告げても不機嫌な態度をとられて無視されてしまうこともあります。
その一方で、絶対にマスクを着けていたいというお客さんも当然います。マスクなしを許してしまうと、そういう方が不安になって今後来れなくなってしまいます。店長に相談していますが、悩んでいるようです」(中本さん)
結局、客のマスク未着用については今もグレーな状態が続いており、相手の要望を受け入れるままになっているという。
自分は感染しているはずがないから大丈夫、ではない。マスクはすでに「周囲への配慮」なのだ。
公の場でマスクを着けないということは、相手を危険に晒して精神的にも苦痛を与えているのである。それを「大丈夫」というのは、傲慢さに他ならない。<取材・文/森原ドンタコス>

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