「お前の夫の浮気調査費を“ボス”が立て替えている」福岡5歳児餓死 “虚言大女”が洗脳に使った女の名前 から続く

《私の将来の夢は、保母さんになることです。なられたらいいなーっと思っています。私は小さい子供と遊んだり、何かを教えたりするのが好きなので、保母さんになりたいと思いました》

 小学校の卒業文集でこう綴っていたのは、赤堀恵美子容疑者(48)だ。福岡県篠栗(ささぐり)町で当時5歳だった碇翔士郎(しょうじろう)ちゃんを餓死させたとして、保護責任者遺棄致死容疑で福岡県警に逮捕された。翔士郎ちゃんの母親で、同じく逮捕された碇利恵容疑者(39)とはママ友同士だった。

 両容疑者は2019年8月頃から共謀して、翔士郎ちゃんの食事を減らすなど低栄養状態にして餓死させた疑いがある。取り調べで赤堀が碇を精神的に支配し、多額の金銭を巻き上げていたことがわかっている。

地元・大川でも「数百万円の借金」

 赤堀は、佐賀県との県境で、事件のあった篠栗町から約50キロ離れた福岡県大川市内で生まれ育った。

 恵美子は兄と姉がいる3人きょうだいの5人家族。「あの一家をよく思っている人は少ないですよ」と顔を曇らせるのは恵美子の生家の近隣住民。近所で知らない人はいないというほど、有名な家族だったという。

「20年ほど前に、恵美子の両親が近隣住民と金銭トラブルを起こした。両親が近所の人たちに『お金を貸してくれないか?』と電話で頼み、何人もの近隣住民から全部で数百万円ほどを借りていた。

 ですが、ほとんどの人に返済することなく、恵美子の母方の祖父母だけ残して、一家で夜逃げしてしまったんです。泣き寝入りしている人はたくさんいますよ。小さい頃からそんな環境で育ってきた恵美子が今回事件を起こしたと聞いても、正直驚きはありませんでした」(近隣住民)

 地元の小中学校に通っていた恵美子は当時からかなり目立った存在だったという。篠栗のママ友らには「赤堀ユウナです」と偽名を名乗っていたが、当時は別のニックネームがあった。小中の同級生がこう明かす。

コマネチ」を披露するひょうきんな女の子だった

小学校の時から大柄な女の子でした。明るい性格で、人気者で“お笑い担当”という印象です。あだ名は『えーしゃん』。誰が呼び始めたか分からないですが、たぶん『恵美子ちゃん』から『えーしゃん』になったのだと思います。みんなから慕われていました。

 えーしゃんの好きなテレビ番組は『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系、1981~89年)。放送があった次の日には学校でその話題を持ち出してクラスで笑いを取っているムードメーカーでした。女の子だけど、当時、流行っていたビートたけしさんの『コマネチ』のギャグも照れることなく披露していた。

 えーしゃんとは外で遊ぶというよりもそういったテレビを見て、そのモノマネをしたりして、家で一緒に遊ぶことが多かったですね。自分でボケて自分で『ひゃひゃひゃ』という特徴的な笑い方をしていたのを覚えています」

 中学ではソフトテニス部に所属し、部活と勉強に真面目に取り組んでいた。一方で今回の事件につながるような“虚言癖”も垣間見えたという。

「『○○を買ってもらうんだー』と高価な物を買ってもらうということをしきりに周囲に自慢していましたね。本当に買ってもらっていたかどうかは確かじゃない。とにかく、そうやって注目を浴びて、クラスの中で上位になる、マウントを取るのが好きだったんだと思います。

 えーしゃんの中で、自分の価値を高めることは、ある種の“自己防衛”だったのかもしれません。“長いものには巻かれる”性格で、相手をみて態度を変えていた。イケイケな子たちには媚びている感じがありましたし、一方で、自分より立場が低いと思っている子を『パンを買ってこい』とパシリにしていたこともあった。

突然、地元スナックのママに

『高校は私立に行きたい』と言って、中学の同級生があまり進学しない(大川)市外の高校へ進学しました。高校入学とともに連絡も一切なくなってしまった。ですが、“悪い噂”は頻繁に入ってきました。

 たとえば、えーしゃんの高校はバイト禁止だったのにもかかわらず、飲食店でバイトをしていた。それが高校の友人にバレてしまい学校にチクられてしまったとか。それを逆恨みしてその生徒をいじめていたということもあったそうです」(同前)

 高校進学と同時に地元とは疎遠になった恵美子だが、20代で突然地元でスナックのママを始め、同級生のあいだで話題になったこともあったという。

店の名前は「AシャンAシャン

「24歳くらいの時に、えーしゃんは地元でスナックで雇われママをやっていました。『AシャンAシャン』という自身のあだ名を入れた店名でした。えーしゃんの“盛り上げ隊長”のような明るいキャラクターが好評で、『名物ママ』として盛況だったそうです。

 ですが、2、3年すると急にスナックを辞めて音信不通になったんです。後々聞いた話だと、どうやら祖父母を残して夜逃げしたそうです。15年前くらいにえーしゃんがふと(地元に)帰ってきたことがあった。大分で結婚して子供も産んでいたんですが、借金を作って逃げてすぐに離婚してしまったそうです」(同前)

 取材班は現在も赤堀の生家に住んでいる母方の祖母に声をかけたが、「15年くらい会ってないから私は何も分からない。何も話せません」と言葉少なに去っていった。

「どんなママに……?」

《やさしいお母さんで子供になんでも相談にのってやりたい。えみこ》

 小学校の卒業アルバムの「将来どんなママに……?」というコーナーでは、こう綴っていた赤堀容疑者。どこで人の道を踏み外してしまったのか。 

 3月7日(日)21時から放送の「文春オンラインTV」では、現地で取材を担当する記者が裏話をふくめて生解説します。

「文春オンライン」では、本事件について情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッターのDMまで情報をお寄せ下さい。

 sbdigital@bunshun.co.jp
 https://twitter.com/bunshunho2386

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

現在の赤堀恵美子容疑者と小学校の卒業文集 ©文藝春秋