企業の不正を徹底的に解明するドクターの姿を描いたメディカル捜査ドラマ「ドクター探偵」のDVDが発売された。今回は本作で主演のパク・ジニ演じるト・ジュンウンらとともに企業の不正を暴いていくUDC(未確認疾患センター)のチーム員・ソク・ジニを演じている藤井美菜にインタビュー。撮影現場でのエピソードや、日本と韓国の現場の違いなどを語ってもらった。

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■かなり緊張感がありました(笑)

――「ドクター探偵」は、労働者たちの病気の原因を追求しながら、利益のために彼らを犠牲にする企業の不正を暴き出していく医師たちの活躍を描いた骨太な社会派医療ドラマですね。

はい。ニュースで見ていた事件の裏には、知らなかったさまざまな労働環境や社会問題がある。いろいろな世代の方に見ていただきたい作品です。

ドキュメンタリー出身の監督が実際の事件をベースに描いているので、ドラマの最後にエピローグとしてその事件の実写を交えて紹介するという構成になっています。映像的にもちょっと遠目に観察しているようなアングルが多くて、これもドラマでは珍しい。

韓国ドラマブームでみなさんたくさんの作品を見ていると思いますが、「今までにない韓国ドラマ」という印象を持っていただけるんじゃないかな? 

――藤井さんは医師たちが所属するUDCの分析チーム長 ソク・ジニ役。シリアスな物語の中で、UDCチームの日常はクスッと笑えるところも多く、心休まるシーンになっていました。

テーマが重いだけに、「UDCチームはちょっとホッとできる場にしたいね」と、本読みの段階からみんなで話していました。

韓国ドラマって、すごくアドリブが多いんですよ。役者の提案でどんどん変わっていく。特にホ・ミンギ役のポン・テギュさんは、ちょっと加えた一言がシーン全体の色をも変えてしまうのが印象的でした。

とはいえ私の場合、外国語でのお芝居なので、覚えていった台本がどんどん変わっていくのは瞬発力が試されるというか…、かなり緊張感がありました(笑)。韓国ドラマの面白さって、こういうところから生まれる要素も大きいんでしょうね。

■ドラマや映画、音楽などのエンタメにすごく助けられました

――日本のドラマ「神様のカルテ」(毎週月曜夜8:00-9:54、テレビ東京系)の2月22日に放送された第2話にも出演されていましたが、日本と韓国のドラマ現場の違いとはどんなところでしょう。

韓国の現場も、だいぶ変わってきましたが、10年前は撮影前日の夜に台本が上がってくることもあって、日本人の私には読むのも覚えるのも大変でした。「今まで楽しく見ていた韓国ドラマって、こんなに過酷な状況から生まれているのか」という驚きがあったというか(笑)。

今は放送前に撮影が終わることも増えたし、昔よりはスケジュールに余裕がありますね。でも、日本のドラマは週1回の60分放送だけど、韓国は週2回でCMナシの各70分放送なので、台本の分量が日本よりだいぶ多いんです。

韓国語というのももちろんですが、この「ドクター探偵」は特に医学用語も多かったので、覚えるのが大変でした。3日間寝ずにセリフを覚えて、演技プランを考えて行っても、現場ではアドリブでどんどん演技が変わっていくし…、学びの4カ月でした。

――最近は日本人のK-POPアイドルが増えていますが、俳優さんにはまだ日本人は少ないですよね。韓国の芸能界を目指している人に、アドバイスをお願いします。

やはり音楽と比べると、俳優は言葉の問題が大きいですよね…。コミュニケーションが大事な仕事なので、韓国語は必須。私も最初は大学の第二外国語で学んでいただけだったのですが、ドラマや映画、音楽などのエンタメにすごく助けられました。

今はSNSやYouTubeなど勉強ツールも増えているので、興味を持ってアンテナを立てていれば、楽しみながら勉強できると思いますよ。

■ちょっとキュンとします(笑)

――韓国で暮らす楽しみって?

岩盤浴やサウナも1000円くらいで楽しめちゃう。でもよく韓国ドラマのサウナのシーンで出てくる「ヤンモリ」(羊の角のようなタオルの巻き方)をしている人は実際にはいません(笑)。

シートパックも安いですよね。日本だとケチって大事な日の前にしか使わないのですが、韓国はパックが安いからバンバン使って保湿できるのはうれしい(笑)。

料理も美味しいし、主食がごはんという共通点も暮らしやすい要因ですね。ニンニクや生姜を使った料理が多くて、さっきのサウナもそうだけど、血行が良くなる気がします。

――ドラマの中では同僚に好意を寄せられるシーンがありましたが、藤井さんから見て、韓国の男性の恋愛ってどう見えていますか?

男性がロマンチックというか、まわりを見ていると、ちゃんと「(付き合って)100日記念」とかのお祝いをする人が多いですね。ドラマだけじゃない(笑)。デートのときに、例え軽くても男性が彼女のカバンを持ってあげたりするのを見ると、ちょっとキュンとします(笑)。そういうところは、日本と違うかもしれませんね。

――藤井さんも1年以上、韓国に行けない状況が続いていると思いますが、渡韓できるようになったらおススメしたいスポットはありますか?

聖水洞(ソンスドン)をおススメします。昔の工場をリノベーションしたおしゃれなお店が多くて、美味しいパン屋さんやパスタの店などもあって、居心地のいい場所です。私も早く、また行きたいです!

取材・文=坂本ゆかり

韓国ドラマ「ドクター探偵」に出演している藤井美菜にインタビュー!/撮影=山下隼/衣装協力=CLANE