
JAXA(宇宙航空研究開発機構)の担当者が出演し、宇宙航空の最前線やその魅力を伝える番組「JAXA宇宙航空最前線」が2011年7月19日、ニコニコ生放送でスタートした。第1回目のテーマは「ありがとうスペースシャトル!その足跡と日本の宇宙開発への関わり」。JAXA有人環境利用ミッション本部の上垣内茂樹氏は、シャトル退役後の問題は宇宙から地球への荷物の輸送量であると語り、シャトルで可能だった「一度に20トン以上」の輸送が、当面はロシアのソユーズ宇宙船の「一度に約100キログラム」に減るという。
1981年の初飛行以来30年の歴史を持つスペースシャトルは、「アトランティス」が21日にアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターに最後の着陸をし、幕を閉じた。シャトルの退役で、今後の宇宙開発に問題は生じてくるのだろうか。JAXAの佐々木宏氏は、
「今までは宇宙ステーションを建設するという目的で、大きなモジュールを運んできたが、ことしで一段落してモジュールを上げる必要はなくなった。これから必要なのは、いろんな物資を運んだり人を運ぶこと。比較的大きな荷物は、日本が開発したHTV(無人補給機。愛称:こうのとり)が船内のラックや船外の実験装置などを運ぶ機能を持っているので、スペースシャトルの代わりができる。人の輸送については、ロシアの宇宙船ソユーズで人が運べる」
と述べ、それ以外にもヨーロッパのATVやロシアのプログレスの名を挙げたり、新たに民間企業が輸送船を開発をしていることを説明。「そのため大きな問題はないと言われている」と話した。
一方で、宇宙での実験を担当しているという上垣内氏は、
「持って上がるのはいいが、宇宙で行った実験後のサンプルを地球に持って帰るときなど、スペースシャトルならあれだけの荷物をいっぺんに持って上がって、ほとんど同じ重さのものをいっぺんに持って降りてくることができた。それができなくなるのはなかなか大変」
と話す。これまで、シャトルなら一度に20トン以上の荷物を運べたが、当面は一度に約100キログラムという輸送能力のソユーズ宇宙船に頼ることになり、輸送量は「グッと減る」(上垣内氏)ことになる。しかし、アメリカで開発が進む民間機が完成すれば、一度に約1~2トンの輸送は可能になる見通し。
また日本では、HTVに宇宙からの荷物回収機能を付加した「HTV-R」の開発計画も進む。佐々木氏は、「HTV-Rは今年3月にミッションが固まったので、いよいよ今後プロジェクト化に向けて本格化する段階」と話した。
(丸山紀一朗)
◇関連サイト
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http://live.nicovideo.jp/watch/lv56227377?po=news&ref=news#57:43

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