杉咲花がヒロインを務める連続テレビ小説「おちょやん」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は一週間の振り返り)。3月12日放送の第70回では、元“須賀廼家兄弟”の万太郎(板尾創路)と千之助(星田英利)の兄弟喧嘩の結末が描かれた。(以下、ネタバレがあります)

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万太郎一座と鶴亀家庭劇、軍配は?

千之助と万太郎の因縁が描かれている第14週「兄弟喧嘩」(第66~70回/3月8~13日)。決別した2人の喧嘩はそのまま「万太郎一座」と「鶴亀家庭劇」の興行成績として、公に決着がつけられることとなった。

万太郎にどうしても勝ちたい、こそこそ隠れるような真似はもうしたくない。その一心から自分自身を見つめなおし、一平(成田凌)や家庭劇のメンバーとも今までより理解し合うことができた千之助。

すべてを注ぎ込んで作った舞台「丘の一本杉」は大好評で、興行中に呼び込んだお客の人数は、道頓堀一と言われる「万太郎一座」とたったの15人差。勝負に負けはしたものの、家庭劇のメンバーは誰もがすがすがしい笑顔でその結果を受け止めた。

その後、万太郎と千之助は20年ぶりに2人だけで顔を合わせた。2人とも、憑き物がとれたように表情は穏やかだ。

万太郎がどこか嬉しそうに「たった15人、そんなもんはただの運や。次こそは圧倒的に差をつけて、道頓堀一の芝居を見したる」と語り掛ければ、千之助も「けどまぁ久々にええもん見せてもろたわ。にいさんのほんまにうれしそうな顔よ」と笑いかけた。

■「千之助の活躍が腹の底ではホンマにうれしかった」

2人は20年前、万太郎が千之助を切り捨てる形で決別した。万太郎が千代に語ったその顛末は、千代が「あんさん(万太郎)の根性がしょうもない」とあきれるほどひどいものだった。

結局、万太郎が千之助を一座から追い出した本当の理由ははっきりとは語られなかった。だが視聴者には、万太郎の心の奥底に千之助への変わらぬ信頼と経緯があったことがしっかりと伝わった。これからも2人は“ライバル”として道頓堀を盛り上げていくのだろう。

お笑い芸人でもある板尾は、万太郎の気持ちによりそって第14週を演じた。「おちょやん」公式サイトでは12日の放送後、板尾のインタビューが公開されたが、その中で板尾は「喜劇やエンターテインメントの世界には正解がないので、『一人のほうがおもしろくなるんちゃうか』とか『こいつとは距離をおいたほうがええんちゃうか』っていう感情は、自然と生まれてくるもの。それは昔も今も変わらないんじゃないかと思います。あえてそうすることによって、自分を追い込めるし、自身の成長にもつながりますから」と語っている。

万太郎と千之助が2人で語り合うシーンについて、板尾は「仲直りということではなく、『ええ戦いやったな』ということで、一席設けたかったんでしょう。鶴亀家庭劇での千之助の活躍が、腹の底ではホンマにうれしかったんやと思いますね」とコメントした。この言葉も、万太郎の気持ちに寄り添う板尾だからこそ深く、重く響いてくる。

須賀廼家兄弟の兄弟喧嘩の結末は“仲直り”ではないけれど、だからこそ、いつまでも競い合ってお互いを高め合うことができる。千代役の杉咲も番組公式サイトのインタビューで「最後、万太郎さんと千さんが二人で会うシーンも感動しましたし、最高でした」と2人のシーンを振り返る。

板尾が演じる万太郎と、星田が演じる千之助の見ごたえある兄弟喧嘩に怒り、泣き、笑った第14週。続く第15週「うちは幸せになんで」(第71~75回/3月15~20日)では、再び千代の父・テルヲ(トータス松本)が道頓堀に現れる。

「おちょやん」第70回/(C)NHK