市川海老蔵が主演を務める特別ドラマ「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」(3月26日[金]夜9:00-11:32、フジテレビ系)。市川が織田信長を演じる同ドラマは、今川義元の大軍を数的に遥かに劣る織田軍が打ち破り、信長を一躍戦国時代の主役に押し上げた“桶狭間の戦い”を題材とした本格歴史エンターテインメントだ。今回、今川義元役の三上博史、信長の正妻・濃姫役の広瀬すずからコメントが到着。作品への思いや市川の印象を語ったほか、広瀬は今回挑戦した時代劇について「実は、“舞台と時代劇はむいていないかもしれない!”と思っていました」と出演の話がきたときの思いなども明かした。

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広瀬すず「“これが時代劇か”と思いました」

――今回のお話がきたときの感想は?

実は、“舞台と時代劇はむいていないかもしれない!”と思っていました(笑)。でも「なつぞら」(NHK総合ほか)を終えた後に、何か新しいこともやってみたいな、と考えていたので、このタイミングでこのお話がいただけてよかったです。

――今回の役を演じるにあたって。また、実際演じられてみて。

所作が決まっているので、先生に細かく聞いて、練習の時間を設けていただきました。他にも、登場人物の関係性を把握したいと思い、本を読んだり時代劇のドラマを見たりもしました。

(実際演じてみて)所作が入ってくるので(現代劇のように)自分の心情だけで自由に芝居ができない、セリフも難しい中で、その奥を読むことが難しかったです。それは今までにない感覚で、“これが時代劇か”と思いました。

■「(市川海老蔵は)絶対的なオーラやつい目で追ってしまう存在感を感じた」

――市川海老蔵さんが演じる信長について。

信長のことをしっかりと調べたわけではないのでイメージでしかないのですが、海老蔵さんが演じられる信長は、“きっとこういう人だったんだろうなあ”と思わせるようなたたずまいでした。つい目で追ってしまうような存在感も、多分共通しているところだと感じました。

お芝居になると、絶対に目をそらせてはいけない、負けたくないという気持ちになるほどの目で見つめられるので、“絶対、目をそらさないぞ”という気持ちで演じました。

以前、イベントでお会いしたことがあったのですが、その時も、絶対的なオーラやつい目で追ってしまう存在感を感じたことを思い出しました

――「なつぞら」の大森さんが脚本を手がけられましたが、いかがでしたか?

今回のお話をいただいた時に、大森さんが「なつぞら」執筆の後も休まずにこの脚本を書かれていたということも聞いて、さらにやってみたいなとも思ったんです。

大森さんの脚本は、セリフが優しくて、毎回読むのが楽しみになる単語も多くて。「なつぞら」の時も、ストレートなセリフとそうではない表現の微妙なニュアンスが私はすごく好きでした。でも今回は時代劇なのに、全然違うお話をこんなふうに描けるなんて、とびっくりしました。

――印象に残っているシーンについて。

父の斎藤道三が討ち死にした後に、“私は信長様にとって役に立てない身になった”というシーンです。

実はクランクインして2日目の撮影だったので、正直、“難しいな”とも思ったのですが、すごく考えながら演じました。土田御前(黒木瞳)とのシーンも、黒木さんは一言しゃべられた瞬間に、“やっぱりすごい方だな”と思いながら演じさせていただきました

■「別の作品でまたこの役をやってみたいなと思いました」

――初時代劇を終えられての感想は?

時代劇には、現代劇ではあまり感じることのできない、はかなさがあって。今回は撮影の日数が少なかったので。まだまだ知らないこともたくさんあるだろうなと感じました。

今回演じた濃姫は、独特の存在感があるイメージだったので、演じられたことがとてもうれしかったですし、別の作品でまたこの役をやってみたいなと思いました。そういうのも時代劇ならではですよね。

――視聴者の皆様にメッセージをお願いします。

濃姫の強くて、でもどこかはかないところはとても魅力的で、その表現には悩みましたが、現代の女性にも共感していただけるところだと思います。戦のシーンは私も一視聴者として楽しみにしています。

■三上博史「やっと皆様に見てもらえることができてうれしい」

――放送が決まった時の感想は?

テレビドラマは即時性だと思っているので、作った作品は本当はすぐに見てほしいのが希望ではあります。でもこういう(コロナ禍という)ご時世で、撮影からは日が経ってしまいましたが、思いを込めた作品ですので、やっと皆様に見てもらえることができてうれしいです。

――今回のお話がきた時の感想は?

桶狭間の戦いは歴史として知っているのですが、今川義元という人物はほとんど知らなかったので、まずはそこから調べ出しました。実際に会うことができるわけではないので、どこまで知ることができるのか。

結局はたどり着けないのかもしれないのですが、撮影前に“今川ツアー”を行ったんです。まず合戦地の桶狭間に行って、そこから埋葬された場所がいくつかに分かれているので、静岡に向かって3カ所くらい、まず首塚(東向寺)から最後に菩提(ぼだい)寺を周って。

友人の住職が“お墓参りをするのなら“とつきあってくれたので、2人で行脚して供養をしました。それが昨年3月でしたね。

どこもひっそりと弔っていた場所なので、ちょっとした丘の裏側とかにお墓はあったのですが、ちゃんとお花が手向けられていました。“あ、よかった、ちゃんと見守ってくれている人がいるんだ”って思って、2人で“よかった、よかった”となごやかにお参りをしました。

■「今までの役者人生で刀を持ったことがない」

――今回の役を演じるにあたって。

言葉は違うかもしれませんが義元はとても家柄が良く、貴族ですので、その品格のようなものは演技では出せると思うのですが、一方で武将でもある。

私は時代劇自体がほとんど経験がなく、特に武将の役の経験がないので、今までの役者人生で刀を持ったことがないんです。これは殺陣をやらなくてはいけないと思い、早めに京都に入ってずっと練習していました。殺陣師の方と相談しながら、本番までにいくつか(パターンを)想定して作り上げていったのですが、意外と本番はあっという間に終わってしまいました。

他に思い出深いのは、美術スタッフさんの準備でした。事前に、“こういうものがあったらお芝居で使えると思うので用意してもらえたら”と、東京と京都でやりとりをしていたのですが、すごく気持ちをくんでくださって、あれもこれも用意してくださったんです。とてもスタッフさんの愛情を感じましたし、演じる上で助かりました。

それは衣装にも言えることで、“こんな生地、今川は着るかもね”と、いろいろ考えて仕立ててくださって、本当に幸せな気持ちで撮影に臨めました。

――桶狭間の戦いのシーンの感想は?

その時に実在した“魂”のようなものが、うすら見えたらいいなあと。義元の魂に僕が入っていくのか、僕の魂に義元の魂が入っていくのかわからないですが、何か少しでもその“魂”を見てくださる方が体感していただけたら作品として面白いのではないかなと思います。

合戦シーンは、監督がどういうアプローチ、切り口で撮ろうとしていたのか…スペクタクルに撮りたいのか、心情よりで撮っていきたいのかわからなかったので何とも言えませんが、僕としてはその“魂”のアプローチが映ってくれたらいいなあと思います。

舞台の世界でも、遠く離れていて、クローズアップしなくても魂が浮き出る場合もあります。これはもうできあがりを見てみないとわからないのですが。

■「(市川海老蔵と)いろいろな話をしました」

――市川海老蔵さんとの初共演の感想は?

これまでご一緒したことがなくて、とても興味がありました。本番中は対峙するわけですが、それだけでは物足りないので、スタンバイの合間でいろいろな話をしました。監督も入って3人で話すと、3人ともてんでばらばらですごく楽しかったです(笑)。

僕は断片的にしか見ていないのですが、僕が対峙させていただいたシーンでは、“あっ、信長ってこういう人だったんだ”という魂のエッジのようなものを海老蔵さんには感じました。僕の義元の魂の形とは違う対峙の仕方だと思います。

――久しぶりの河毛監督の現場はいかがでしたか?

これまで時代劇でご一緒したことがないのでどうなるのかなあと思っていましたけれど、撮っているときは特に(普通のドラマと)変わらなかったように感じました。でもできあがってみたらきっと違うんだろうという予感はしています。

監督は映画「ダンケルク」(2017年)をやりたいと撮影前におっしゃっていたんですけれど、どのような感じにできあがっているのか。楽しみです。

――視聴者の皆様にメッセージをお願いします。

僕は信長(市川)以外の方とのシーンがあまりなかったのですが、存じ上げている方ばかり出演されているので、その皆さんがそれぞれのシーンでどのようなお芝居をされて、この作品を作りあげているのかがとても楽しみです。きっとどのシーンを切りとっても面白いとと思いますし、ぜいたくな、すごく見応えがある作品だと思います。

その中で僕は相変わらずちょっと狂気に走りますけれど(笑)。もちろんそうではないところもありますが、“あ、またやってる”と十八番だと思って見ていただけたらと思います。生き生きとお芝居できましたし、本当に楽しかったです。

■「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」あらすじ

1560年、清洲城。27歳の織田信長(市川海老蔵)が「敦盛」を舞っている。

同じ時、今川軍の先鋒・松平元康(後の徳川家康)は織田軍の砦(とりで)の前で、その采配を振るう時を待っていた。駿河の総大将・今川義元(三上博史)が織田家の領地・尾張を我が物にするべく、2万5千の大軍をもって進攻してきたのだ。

前夜、今川軍に対し籠城策を訴える家老衆をあしらった信長は、翌早朝にたった5人の小姓を従えて清洲城から姿を消した。恐れをなして逃げたのだという生母・土田御前(黒木瞳)に対して、濃姫(広瀬すず)は決して逃げたりはしないと言い切り信長の身を案じる。

信長は木下藤吉郎(中尾明慶)など信用できる者たちを動かし今川軍の情報を集め、義元が大高城に向かうのではなく、織田信長軍と戦う構えで桶狭間にいることを突き止めた。やがて、織田軍本陣に家老衆が軍勢とともに到着したが、その数は2千ほどで、今川軍との差は圧倒的だった。

“2万5千VS2千”。果たして信長はどんな戦略でこの大軍に立ち向かうのか…。奇跡の戦いが今始まろうとしていた。

ドラマ「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」に出演する三上博史、広瀬すずからコメントが到着した/(C)フジテレビ