10月30日(土)~11月8日(月)に開催される「第34回東京国際映画祭」の上映会場が、従来の六本木に代わり、日比谷と銀座に移転することが明らかになった。

【写真を見る】新プログラミング・ディレクターに就任する市山尚三

2004年以来、TOHOシネマズ 六本木ヒルズを中心に上映がおこなわれてきた同映画祭だが、今年は角川シネマ有楽町、シネスイッチ銀座、TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ有楽町有楽町よみうりホールでの上映が予定されている。この変更により、昨年から同映画祭に開催時期を合わせている「東京フィルメックス」(会場・有楽町朝日ホール)との鑑賞の利便性が増すことになる。さらに、世界の映画人が集まり歓談・交流する場として昨年新たにスタートした「アジア交流ラウンジ」(国際交流基金との共催)は、今年も是枝裕和監督の協力のもと、日比谷での開催を検討中だ。

映画祭のプログラミングに関しても、これまでの部門構成、コンペティションのあり方など全般にわたって再検討がおこなわれ、4月から新たなプログラミング・ディレクターとして市山尚三が就任する。市山は黎明期の東京国際映画祭でプログラミングを担当した後、東京フィルメックスを創設し、諸外国とのネットワークも豊富。今後は東京フィルメックスプログラミング業務から外れ、東京国際映画祭に専念することになった。

また、映画祭の選考委員、作品の監督・キャスト・スタッフなどについての男女平等を推進している団体「Collectif 50/50」による、応募作品の監督などの男女比の統計調査、選考委員の男女比の公表、映画祭の実行役員の男女比の公表などを明文化した誓約書へ東京国際映画祭も3月8日の国際女性デーに合わせて署名をおこなった。

誓約書にはカンヌ、べルリン、ヴェネチアなど世界の156の映画祭が既に署名しているが、アジアの映画祭としては東京国際映画祭が初めての署名となる。

2020年はコロナ禍の制約のもと、リアルとオンラインのハイブリッド型で開催された東京国際映画祭が、今年は映画の街として長い伝統を持つエリアを舞台に、どんな内容でおこなわれるのか続報を楽しみに待とう。

チェアマン、プログラミング・ディレクターコメント>

●安藤裕康(チェアマン)

「コロナ禍の困難を乗り越えて、内外の映画人と観客の皆様が東京に集い、今年の映画祭を祝うことができるよう祈っています。我々もそのための努力を精一杯続けます」

●市山尚三(プログラミング・ディレクター)

「昨年の東京国際映画祭はコロナ禍の様々な制限のもとでも意義ある映画祭は開催できることを証明しました。そして今、東京国際映画祭は大きな変革を迎えようとしています。私のこれまでの経験や知識を駆使し、その変革に寄与できればと思います」

文/サンクレイオ翼

東京国際映画祭が安藤裕康チェアマンのもと、さらなる飛躍を目指す/[c]2021 TIFF