浜松市が2年ぶりに日本一を奪還した。2020年の餃子の1世帯当たりの購入額でライバル宇都宮市との激戦を制した。もちろん、両市以外でもよく食べられている老若男女に人気メニューで、チルド、冷凍、外食を合わせて2500億円規模の大きな市場だ。

ただ一方で、つくるのが面倒という声も多い。簡便調理を好む人に向けては、水なし油なしで調理できる味の素冷凍食品の「ギョーザ」のようなロングセラー商品があり、同社はさらに簡単につくれる「レンジで焼ギョーザ」を2月に地域限定で発売した。味の素冷凍食品によると、2020年上期には冷凍餃子の食卓出現頻度は2ケタ伸長しているという。コロナ禍で調理頻度が高まる中、負担を軽減したいというニーズに合致しているようだ。

別の切り口で餃子の簡便化を目指したのが、昭和産業が3月1日に発売した「もう包まない!混ぜ餃子の素」だ。餡を包む工程をなくし、混ぜるだけの新感覚餃子と強調する。発売前にテレビで取り上げられるなど注目を集めている。この混ぜ餃子は焼くまでの時間が半分にでき、皮がなくても外側はパリッとした食感になるのが特徴だ。大きく1枚で焼いて、家族で切り分けることはもちろん、小さく焼けばつまみにもなる。皮で包んで焼くという、いわば餃子の定義そのものを覆した画期的な商品だ。

餃子に限らず、こういった商品の登場が、さらなる市場拡大につながるはずだ。

〈食品産業新聞 2021年3月15日付より〉