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1.0L 3気筒NAに5速セミATの組み合わせ

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
translationKenji Nakajima(中嶋健治)

 
最近改良を受けたフォルクスワーゲンUp!やフィアットパンダスズキ・イグニスといったモデルがライバルとなる、キア・ピカント。3代目は登場から比較的まだ日が浅いが、新鮮味を保つためフェイスリフトが施された。

デザイン変更は、トップグレードのGTラインやXラインに適用された。安価なベースグレードの場合、パーソナライズ・オプションの拡充とアップデートしたインフォテインメント・システム、運転支援システムなどが中心となる。

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キア・ピカント1.0 DPi AMT(英国仕様)

今回のフェイスリフトで力点が置かれたのが、パワートレイン。従来の1.2L自然吸気ユニットは、トップグレード以外で小さな1.0L自然吸気へ置き換えられた。100psを発揮するターボも追加となっている。

4速ATは落とされ、新しいロボタイズド5速マニュアル、セミATを獲得している。機構としてはBMWの古いSMGと似ている。5速MTもオプションとして選択できる。

トリムグレードは、キアで共通する展開。エントリーグレードの1では、14インチのスチールホイールに、ブラックのボディトリムでシンプルに仕立てられる。試乗車は3で、LEDのウインカーにボディ同色のトリムが付く。

クルーズコントロールやオートエアコン、15インチアルミホイールも装備される。昆虫の顔のようなフロントマスクは好みが分かれそうだが、全体としてはグレードを問わず陽気な雰囲気の見た目だと思う。

居心地の良い車内 物足りない動的性能

オーバーハングは短く、タイヤはボディの四隅に配置。14インチ・タイヤの方が乗り心地は良いかもしれないが、15インチアルミホイールの方が見た目はずっとイイ。

インフォテインメント用タッチモニターはトップグレードだけでなく、試乗車の中級グレード、3でも標準装備。8インチと充分大きいものの、実際に押せるボタンも残されている。

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キア・ピカント1.0 DPi AMT(英国仕様)

エアコンやオーディオのボリュームなどは、やはり従来的なダイヤルの方が操作しやすい。ステアリングホイールにも、賢明に選ばれた操作ボタンレイアウトされている。実用性を保ちながら、車内の洗練度を高めている。

車内を詳しく観察すれば、価格なりの部分も見えてくる。レザー風のテクスチャが与えられたプラスティック製パネルは安っぽく、スイッチ類などはソリッド感が薄い。

だがシートは十分快適で、グラスエリアが広く車内は明るい。運転席の調整域にも余裕がある。居心地が良いとはいえるだろう。

1.0L 3気筒自然吸気ユニットの最高出力と最大トルクは、97psと13.2kg-m。欧州で売られる量産車としては、かなり非力な部類に入る。ピカントの車重は977kgしかないとはいえ、動的性能が物足りないことは隠せない。

高速道路の追い越し車線での加速は、かなりおっとり。エンジンやタイヤから盛大なノイズが車内に届き、高速での長距離ドライブを頻繁にしたいとは思えなかった。

MTを選びたくなる変速タイミング

そもそも、ピカントはシティーカーだ。軽快でコンパクトなパッケージは、都市部の道路環境でよく機能する。低速での運転は安楽。大きな窓のおかげで視認性に優れ、小さなボディながら運転する不安感は小さくて済む。

さほど必要性は高くないかもしれないが、バックカメラもオプションで設定可能。駐車時に後方の様子をきれいに映し出してくれる。

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キア・ピカント1.0 DPi AMT(英国仕様)

ツギハギの多い都市部の舗装でも、乗り心地は穏やか。アスファルトが隆起したような部分を通過すると衝撃が伝わってくるが、ほどよく角は丸めてくれる。

しかし、5速セミATの変速マナーは良くない。加速時はシフトアップのたびに頭が揺さぶられ、速度上昇が小休止。変速時に戸惑うことも多く、1速では数秒ほど、シフトアップが遅れるようにも感じられた。

その間、エンジンの回転数は不必要に上昇し、大きな変速ショックにつながってしまう。もう少しタイミング良く設定することはできなかったのだろうか。英国で販売されるピカントのうち、7割以上がMTであることもうなずける。

今回の試乗では、安価なMTを載せたピカントも短時間ながら運転できた。キビキビとショートレシオが操れて、エンジンの限られたパワーを効率よく引き出せる。はるかに運転しやすく、都市部の道路でも楽しいと感じさせてくれる組み合わせだった。

エントリーグレードに近い方が良い

5速セミATが組み合わされた、3のピカント1.0 DPiの英国価格は1万4665ポンド(211万円)から。これは、より優れた完成度を備えた、ひと回り大きいコンパクトモデルにも並ぶ価格となってしまう。オススメしにくいといわざるを得ない。

エントリーグレードに近いピカントなら、価格価値での魅力度が増してくる。さらに5速セミATより700ポンド(10万円)安いMTを選択すれば、より楽しい運転体験を得ることができる。

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キア・ピカント1.0 DPi AMT(英国仕様)

キア・ピカントならインフォテインメント・システムも安価な方で充分。USBケーブルを接続すれば、手持ちのスマートフォンで多くの機能はまかなえるだろう。

キア・ピカント1.0 DPi AMT(英国仕様)のスペック

英国価格:1万4665ポンド(211万円)
全長:3595mm
全幅:1595mm
全高:1485mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:16.6秒
燃費:18.9km/L
CO2排出量:119g/km
車両重量:977kg
パワートレイン:直列3気筒998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:67ps
最大トルク:13.2kg-m
ギアボックス:5速セミ・オートマティック


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