日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、毛髪の起源となる「毛包幹細胞」をゲノム編集し、試験管レベルにて薄毛モデルを作製することで発毛を評価する技術を確立しました。また、人工皮膚の技術を応用し、人の毛包を移植した人工頭皮モデルを用いることで育毛についても評価する技術を確立しました。これらの評価モデルを用いて、発毛・育毛効果がある成分を探索し、キノコの一種である「トリュフ」と高麗人参を蒸して得られる「超熟紅参」から抽出したエキスに発毛・育毛効果を確認しました。


これまでの研究から、毛髪は「バルジ」と呼ばれる特殊な領域に存在している「毛包幹細胞」が、毛髪を作る細胞(毛母細胞)を供給することで維持されていることが分かっています。メナードでは、この「毛包幹細胞」を培養する技術を確立し、さらに今回、近年注目を浴びている「ゲノム編集」と呼ばれる技術を活用し、毛包幹細胞の維持に重要な遺伝子を編集することで、老化した毛包幹細胞を作り出し、うまく発毛できない「薄毛モデル」を作り出すことに成功しました。
また、これまでメナードが培ってきた人工皮膚モデルの技術を応用し、試験管レベルで人の毛包を移植した「人工頭皮モデル」を作製することで、育毛を評価する技術も確立しました。
これらのモデルを用いて、老化による薄毛に対し発毛・育毛効果が期待できる成分の探索を行ったところ、キノコの一種である「トリュフ」と高麗人参を蒸して得られる「超熟紅参(ちょうじゅこうじん)」から抽出したエキスに発毛・育毛効果があることを発見しました。

*本研究の一部は3月26日~29日にオンライン開催される「日本薬学会第141年会」にて発表いたします。


【参考資料】

1.毛髪が生える仕組み
毛髪は毛母細胞から作られます。この毛母細胞の起源は、毛穴の中にある毛包のバルジと呼ばれる領域に存在する「毛包幹細胞」です。毛包幹細胞は、前駆毛母細胞を経て毛母細胞へ分化することで、日々毛髪が生み出されています(下図)。

2.毛包幹細胞が存在する特殊な領域
これまでの研究から、毛包幹細胞は「バルジ」と呼ばれる特殊な領域に存在することが明らかになっています。今回、この毛包幹細胞が存在する領域について、より詳細に解析したところ、デコリン(Decorin)と呼ばれるタンパク質が特異的に発現していることを突き止めました。このデコリンは、毛包幹細胞を維持するために重要な役割を果たしていることが分かりました。またデコリンは、毛包幹細胞自身が生成していることが明らかになりました。
さらに、加齢や活性酸素、精神的ストレスなどによってデコリンの産生が低下すると、毛包幹細胞が維持できなくなり数が減少し、毛髪を作りだせなくなってしまいます(下図)。
つまり加齢による薄毛は、毛包幹細胞を維持する「デコリン」の産生低下が原因と考えられました。

3.毛包幹細胞のゲノム編集
近年、注目されているゲノム編集技術を用いて、正常なデコリンを産生できない毛包幹細胞を作製し、試験管レベルにおいて薄毛のメカニズムを解析できるモデル毛包幹細胞を確立しました。

4.試験管レベルで「発毛」を評価するモデルの確立
先にゲノム編集を施した正常なデコリンを産生できない毛包幹細胞を用いて、試験管レベルで発毛を評価するモデルを確立しました。通常、毛乳頭細胞と毛包幹細胞を混合培養すると、「スフェア」と呼ばれる球状の細胞塊を形成し、約10日間培養すると毛包様の突起が出現します。この突起が形成されている部分には、毛包細胞への分化マーカー(インボルクリン)も確認され、スフェアの突起は毛包幹細胞から分化した細胞によって生み出された毛包のモデルと考えられます。一方、毛包幹細胞の半分をゲノム編集した薄毛モデル毛包幹細胞に置き換えて混合培養を行うと、発毛状態を示す突起が小さいスフィアを形成しました。これにより、試験管レベルで「発毛」を評価する「薄毛モデル」を確立しました。

5.試験管レベルで「育毛」を評価するモデルの確立
メナードではこれまでに人工皮膚モデルの作製技術を研究開発してきました(*)。今回は、それらの技術を応用し、人の毛包を人工皮膚に移植することで、試験管レベルで「人工頭皮モデル」を作製しました。
(*2020年3月25日 ニュースリリース 刺激に敏感な肌を再現した新たな皮膚モデルを開発!)
6.「発毛」と「育毛」を促進するトリュフと超熟紅参エキス
「薄毛モデル」と「人工頭皮モデル」を用いて、発毛と育毛に対して促進効果を示す有効成分を探索したところ、「トリュフ」と高麗人参を蒸して乾燥させた「超熟紅参」から抽出したエキスに、発毛効果および育毛効果があることが分かりました。

トリュフ
トリュフ西洋松露)は、世界三大珍味の一つで、人工栽培が難しいことから希少価値が高く、「黒いダイヤ」とも呼ばれます。独特の芳香があるため、フランス料理などに香りづけで少量用いられます。産地や収穫時期により品評され、ヨーロッパ産の冬トリュフは特に高級とされています。
<超熟紅参(ちょうじゅこうじん)>
高麗人参(オタネ人参)は古くからその有用性により珍重されてきました。その「生人参」を蒸して乾燥させる処理を行ったものは「紅参」と呼ばれます。
さらに、メナードはポリフェノールなどの有用な成分を多く含む特殊な処理法を独自開発し、「超熟紅参」と名付けました。

配信元企業:日本メナード化粧品株式会社

企業プレスリリース詳細へ

PR TIMESトップへ