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「実際、私自身はこの体型で幸せです。なので今まで通り、太っている事だけにこだわらず『渡辺直美』として表現していきたい所存でございます」

3月18日吉本興業の公式サイトにこうつづったのはタレントの渡辺直美(33)だ。

『文春オンライン』によると東京オリンピックパラリンピックの開会式で演出を統括する佐々木宏氏(66)が、彼女に“豚を演じさせる”というプランを提案。さらに佐々木氏は、開会式の演出を担うメンバーのグループLINEに「オリンピッグ=渡辺直美さん」ともつづっていたという。

そんな「オリンピッグ騒動」で渦中の人となった渡辺は、冒頭のように「この体型で幸せ」とコメント。ネットでは《尊敬しちゃうなぁ。ますます好きになった》《素敵なコメントでちょっと泣けた》と好反応が数多くみられている。

渡辺は固定概念を覆したとして、世界的に評価されてきた。17年2月、アメリカ『ワシントン・ポスト』は「すらりとしていなくても自信を持ち、幸せになれると証明することで、“女性は痩せている方がいい”という固定観念に挑んでいる」と讃えている。

さらに18年1月、イギリス版『VOGUE』も“日本女性のステレオタイプを壊す人”として評価。そして同年7月には、アメリカの『タイム』が“ネット上で最も影響力のある25人のうちの1人”として紹介している。

「18年9月、GUCCIの公式Instagramアカウントが渡辺さんの姿をアップしました。すると、体型を揶揄する言葉がコメント欄に殺到。それでも彼女は《みんな私の魅力にびっくりした様子?まだ2%しか出してないのに痺れちゃったのね》とSNSで発信したんです。そうした非難をものともしない態度が、彼女の評価をさらに高めました」(芸能関係者)

いまや、ふくよかなファッションモデルをプラスサイズ・モデルと呼ぶ時代。プラスサイズの体をありのままに愛す、ボディ・ポジティブというムーブメントもある。

「佐々木氏は渡辺さんをふくよかな人を“ブタ”として表現し、さらにそれをオリンピックの開会式の演出として提案しました。これは世界の今ある流れへの無知といえますし、『もし実現していたら……』と考えると恐ろしい気持ちなります」(前出・芸能関係者)

■渡辺の苦悩やメッセージを知らないという無知

「この体系で幸せ」という渡辺だが、いっぽうで次のようにもコメントしている。「しかし、ひとりの人間として思うのは、それぞれの個性や考え方を尊重し、認め合える、楽しく豊かな世界になれる事を心より願っております」とーー。

「渡辺さんはもともと、自分の体型に対してポジティブだったわけではなかったといいます。10代のころは『自分は太っているから……』とネガティブな時期もあったと、過去の取材で語っていました。当時は、周囲から太っているキャラとしてぞんざいに扱われることにも慣れてしまっていたそうです」(ファッション関係者)

しかし『このままではいけない』と、自分の意識を変えることにしたという。

「化粧やファッションを目一杯楽しんで、もっと自分を愛そうと努力した。そうすることで人生がより楽しくなり、仕事も順調になっていったといいます。それでも『デブなのに』という人はいたそうですが、『太ってる人にデブって言って何が楽しいんですか?』という毅然とした考えを持てるようなったそうです」(前出・ファッション関係者)

そうしてコンプレックスを乗り越えた渡辺には、仕事を通して伝えたいメッセージがあった。19年4月、『ハーパーズ バザー』の公式サイトで「自分の体を否定せず好きになってほしいと思う。それは太りたくても太れない人でも背が低い人でも同じ。どんな体形も素敵なんだと発信し続けたい」と語っている。

「誰かと比べるのではなく、自分と向き合おう。そうすることで、ありのままの自分を愛することができる。それこそが大事だと、渡辺さんは考えているのです。ただこの考えに辿り着くまでには、やはりこれまでの体型を揶揄された経験も影響しているそうです。

『オリンピッグ』という言葉は、そうした彼女の過去の苦悩やメッセージを知らない無知ゆえの提案ともいえるでしょう」(前出・ファッション関係者)