左から小野塚勇人、山口乃々華、丘山晴己、松本利夫、伊波杏樹、糸川耀士郎

 ミュージカル『INTERVIEW〜お願い、誰か僕を助けて〜』が24日、東京・品川プリンスホテル クラブeXで開幕を迎えた。今回の舞台は、Team REDとTeam BLUEのダブルキャストにより、回替わりで上演される。この日はTeam REDが公開ゲネプロをおこない、Wキャスト6人全員による囲み取材も実施した。登壇者は、Team REDの松本利夫(EXILE)、糸川耀士郎、伊波杏樹、Team BLUEの丘山晴己、小野塚勇人(劇団EXILE)、山口乃々華。

 公開ゲネプロではスリリングな世界観をTeam REDの3人が熱演。その後の囲み取材では、登壇者6名と演出家の田尾下哲氏が公演についての魅力や意気込みをそれぞれ語った。

 作品に対し田尾下氏は、「すごく難しく複雑な作品」と表現する。そして、キャストの個性をいかに活かすかという思いがあるという。異なるキャストの2チームTeam REDとTeam BLUEについては、「本当に全く違うものになっている」と語り、「これが今、自分が関わらせて頂いた素晴らしいチームでやらせてもらった仕事と胸を張って言える作品」と、太鼓判を押した。

 松本は、本作の魅力について「2チームで内容は同じだけど絵が違うので、プラスな意味で参考も影響もなかった」と、各チームの公演の色の違いについてコメント。そして演じるユジン・キム役について、「自分にしかできないものをやりたいと思い、熱い役をやらせて頂きました」と、述べた。そして公演の醍醐味として、客席から舞台を360度囲むという点も挙げ、「色んな角度から観ても楽しめる」と述べた。

 さらに松本は稽古について「苦しいけど、やっていて楽しいという不思議な作品」と表した。また、膨大なセリフ量、「ほぼほぼ初めて」という歌唱について「自分ができることを精一杯この1カ月でやらせて頂きました」と振り返る。

 そして小野塚は、解離性同一障害のマット・シニア役という難しい役を演じる点について、「解離性同一障害は、一人の人間だけど色んな人格があるということで、まずは解離性同一障害というものがどういうことでこんな風なことが起きてしまうのかという原因、きっかけを最初に凄く調べた」と語る。

公開ゲネプロでの松本利夫と糸川耀士郎

 さらに、「色々出てくる人格のその人達にも人生が見るような、その人のバックボーンが見えるような厚みのあるマット・シニアを目指して稽古に励んだ」と述べ、色んな見せ方があるという前提で、「マット・シニアの内面、核の所をみなさんにお届けできたらなと思っています」とコメント。

 記者との質疑応答で「今回、苦労した点」について聞かれると、松本は「お芝居に関しては、見えていない存在というのをいかに見ない感覚でその空間をつくれるかというのを大切にしていきました」と答え、「マット・シニア役の糸川君とのお芝居の距離感を凄く考えてやらせて頂きました」と続けた。

 そして松本は、自身はパフォーマンス中心で活動していたので歌について不安があったと語る。しかし、「今まで挑戦できていなかったことに今回挑戦させて頂いたというのはありがたく思っていて、学ぶことと楽しさを同時に味わえて、自分にとっての成長ができたんじゃないかなと感じています」と、述べた。そして「いくつになっても挑戦やチャレンジ精神を忘れずに、夢を持っていきたいなと思います」と、前向きな心境を表した。

 小野塚は一番大変な点として、「役作りもそうですけど、膨大なセリフ量プラス、膨大な歌」という部分を挙げ、歌とセリフのギャップやテンション感の合わせ方、心の切り替えなどが難しかったという点を明かした。「強いメンタルを持って、ずっと立たないといけない舞台なのでそこの怖さはあるなと感じています。本番に入ってもその強いメンタルを持って、むしろステージの世界観に入り込んで“ゾーン”に入れたらいいなと思います」と力強く語った。

 そして、「Team BLUEから観て今日のTeam REDのゲネプロはどうだったか?」と聞かれると、丘山は「やっぱりREDはパッションが凄い」と述べた。小野塚も、「Team RED、Team BLUEというのは普通に色分けのチームだと思ったけど、その名の通りじゃないですけどREDは熱い戦いみたいな感じがあって、それが伝わってきた」という印象を、山口は「REDは大人っぽいような空気が素敵です」と、それぞれ述べた。対してTeam REDからTeam BLUEの印象について松本は、「クールの中に秘めているものがある感じ。魅惑的な感じがある」と表現した。

公開ゲネプロでの伊波杏樹と糸川耀士郎

 「本番に向けてどんな歌のトレーニングをしたか」という質問に対して松本は、歌唱は、本当にボイストレーニングの先生について頂いて何度かやらせて頂いたんですけど、ボイトレ自体は日頃練習したものをそこで調整するみたいな感じのボイトレだったので、常に家で歌と音楽をずっと流していました。あとはやっぱりミュージカルの歌って、ポップスも歌ったことがない僕が歌う時にリズムが刻めないのでそれが凄く難しくて。でもリズムがあるんだよという所から入って音符をまず覚えるところから入って。ただ、難しいながらも、セリフを曲に乗せているというイメージでやらせて頂いているので、歌が上手くなくても伝われば、その場で何が起きているのかというのが表現できればいいかなと。自信を持って歌い上げたいなと思っています。最後に「今後の歌に対しての意欲」について聞かれると、松本は「もう2度とやるか、とそう思うくらい苦労しているんですけど、ネガティブなことではなく、この苦労は学びが必ずあるもので、これがあるからむしろ楽しいんです!」と、声高らかに答えた。

 山口もまた、「もっともっと挑戦していきたいなと思っています。今回初めの一歩がこの作品でよかったなと思うくらい楽しくて、難しいですけど、まっすぐな想いがある役をやらせてもらって本当に楽しくて、どんどん幅を広げながら挑戦していけたらいいなって思うほど、ミュージカルの世界は魅力的だなと思います」と、意欲を示した。

 韓国発ミュージカルで、初の日本人キャストで公演される『INTERVIEW〜お願い、誰か僕を助けて〜』の公演期間は3月24日から4月4日。【取材=平吉賢治】