日本製品の品質の高さは有名だが、日本のものづくりをここまで押し上げるのに貢献した米国人のことはあまり知られていない。その人物とは「品質管理の神様」ことW・エドワーズ・デミング氏だ。

 中国メディアの百家号は22日、低品質と評された日本製品をたった5年で変えた「救世主」として、このデミング氏を紹介する記事を掲載した。デミング氏は日本で「神様」のごとく扱われたと伝えている。

 デミング氏は戦後まもなく来日し、日本の経営者に品質管理の考え方や統計的手法を教えたと紹介。その通りにしたところ、あっという間に米国よりも高品質の製品が作れるようになったという逸話を伝えている。記事はデミング氏について「品質第一」、「すべてはお客様のために」を信念にしていたと紹介。品質向上の必要性を説き、品質が向上すれば支出が減り、生産性と市場シェアが向上すると訴えたそうだ。

 そのため技術者ではなく企業経営者が直接彼のもとに来て学ぶよう求めたところ、米国とは対照的に日本では経営者が続々と集まり驚いたようだ。デミング氏の言う通り経営方針を変えた結果、実際に短期間で品質と生産性が大幅に向上したと伝えている。記事は、かつてデミング氏の意見を無視したことで「米国はさぞかし悔しがったことだろう。中国は同じ轍を踏んではならない」と結んでいる。

 当時の米国は、品質管理よりも生産量を上げることに集中していたため、デミング氏の忠告が耳に入らなかったのかもしれない。これは今の中国の製造業と似ている部分である。記事は「デミング氏の品質第一、すべてはお客様のために、という理念は中国の製造業の痛いところを突いている」と指摘。客目線で品質を向上させるよりも、企業を大きくしたがる中国企業は、デミング氏の手法から学ぶことがありそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

戦後の「日本製品の飛躍」の背後には、「品質管理の神様」がいた=中国