中国政府が2012年2月29日に発表した、大気の汚染を示すための新しい指数。試行を経た上で、2016年に採用されるとの説明だったが、2012年時点で、ほぼ定着した。

 中国では2011年11月に在北京の米国大使館が、直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子であるPM2.5などを含む大気中の汚染物質の観測結果を発表しはじめたことで、深刻な大気汚染が改めて注目されるようになった。

 中国でそれまで用いられていた空気汚染指数(API)ではPM2.5の測定結果が取り入れられていなかったなどのため、新たな指数として環境空気質量指数(環境大気の質指数/Ambient Air Quality Index=AQI)を設定した。

 対象となる汚染物質は二酸化硫黄(24時間平均および1時間平均、二酸化窒素(同)、一酸化炭素(同)、オゾン(1時間平均および8時間平均)、およびPM10(24時間平均)、PM2.5(24時間平均)だ。それぞれの物質について指数を計算し、最もひどい汚染を示す数値をAQIとする。ただし、「試行」とされているので、計算方式が修正される可能性もある。

 AQIは数値が高いほど、大気汚染が深刻なことを示す。AQIに基づき、大気汚染の状態を6つの等級に分類する。各等級の基準と、想定される健康への影響、対策についてのアドバイスは以下の通り

【1級】 優:AQI=0-50
・満足できる大気の質。基本的に汚染は発生していない。
・さまざまな人々が正常に活動できる。

【2級】 良:AQI=51-100
・受け入れられる大気の質。ただし、ごく少数の異常に敏感な人々(注:高齢者、児童、病弱者などを指す)の健康に小さな影響が発生する。
・ごく少数の異常に敏感な人々は、屋外での活動を減らすべきである。

【3級】 軽度の汚染:AQI=101-150
・敏感な人々に発生する症状がやや増える。健康な人々にも刺激による症状が出る。
・児童、高齢者、心臓や呼吸器系統に疾患も持つ人は、長時間で激しい屋外における運動を減らすべきである。

【4級】 中度の汚染:AQI151-200
・敏感な人々に発生する症状がさらに増える。健康な人々の心臓や呼吸器系統にも影響が出る。
・児童、高齢者、心臓や呼吸器系統に疾患も持つ人は、長時間で激しい屋外における運動を避ける。一般の人々も屋外における運動を減らす。

【5級】 重度の汚染:AQI201-300
・心臓病や肺病の患者の症状が増え、運動に対する耐久力が低下する。健康な人々にも普遍的に症状が発生する。
・児童、高齢者、心臓や呼吸器系統に疾患も持つ人は、室内にとどまり、屋外での運動をやめるべきである。一般の人々も、屋外における運動を減らす。

【6級】 厳重な汚染:AQI301以上
・健康な人々も運動に対する耐久力が低下し、明らかで強烈な症状が発生する。ある種の疾病が出現する。
・児童、高齢者、心臓や呼吸器系統に疾患も持つ人は、室内にとどまり、体力の消耗を避ける。一般の人々も、屋外における運動を避ける。

  大気汚染の状態と対策について、以下のように紹介される場合もある。

【1級】
屋外の活動に大いに参加し、新鮮な空気を呼吸してよい。

【2級】
汚染物質に特別に敏感な少数の人を除けば、屋外で正常な活動ができる。

【3級】
汚染に敏感な人々は、体力を比較的消耗する屋外での活動を減らす必要がある。

【4級】
汚染に敏感な人々は、外出を極力減らず。一般の人も屋外での運動を減らすべきである。

【5級】
汚染に敏感な人々は、屋外での運動を停止する。一般の人は、屋外での運動をできる限り減らす。

【6級】
特殊な必要がある人々を除き、屋外にとどまることをできる限り避ける。

  測定機器の性能の限界のため、AQIは500までしか表示されない。そのため500以上の可能性がある場合にも「500」と発表される。「AQIが500」と発表された場合、「表を突き破った」との意味で「爆表」と呼ばれることが多い。

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  河北省や北京などで深刻な大気汚染が発生した2014年1月16日、中国政府・環境保護部が発表した全国161都市の大気の状態では、16都市が「厳重な汚染」とされる6級で、うち3都市はAQIが500の「爆表」状態だった。

  2014年1月の時点で、大気の質が1級(=優)と発表されることが多いのは、チベット自治区のラサ市、海南省の海口市、三亜市など。

(編集担当:如月隼人)