寝室でマットレスをたたむ香村さん

「仕事柄、押入れクロゼットに季節外の布団と毛布が山積みになっているお宅をよく見かけます」と話すのは、ライフオーガナイザーで家事研究家の香村薫さん。

香村さんは、寝具のサイズや種類を徹底的に見直した結果、最小限の寝具で親子5人が快適に暮らせているといいます。ミニマリストならではの合理的な寝具選びについて詳しく教えてもらいました。

ミニマリストの寝具の持ち方。掛け布団に工夫、季節で寝る部屋を変えるのも手

掛布団の量が物量(収納スペース)に大きく影響する

香村さん宅の寝室

仕事でお邪魔したお宅の方から「ご自宅ではコンパクトなマットレスか寝袋を使っているんですか?」と聞かれることがあります。私のようなミニマリストと呼ばれる人々が、省スペースなマットレスや寝具を選ぶことが多いからだと思います。

筆者は寝袋を試したことがありますが、温度設定があるので、住む地域によっては気温に合わせて何種類か持っておく必要があります。

また、基本的に家族の人数分必要となるので、5人家族の筆者宅の場合、寝袋にするとかえってミニマムな暮らしからは遠ざかってしまうことが分かりました。

上に掛ける寝具

下に敷く寝具についても、ベッド、マットレス、敷き布団といろいろ試しました。でも、下に敷く寝具は、物量(収納スペース)にはそこまで影響しないと感じました。

一方、「上に掛ける寝具」は物量に大きく影響することがわかりました。具体的に種類を挙げてみます。

  • 夏用のタオルケット
  • 少し肌寒いときの綿毛布
  • 厚手の冬用毛布
  • 羽毛布団

これらが家族の人数分あるわけですから、押入れクロゼットの枕棚が寝具であふれるのもうなずけます。試行錯誤の結果、筆者宅ではどのような寝具を選んだか、具体的にご説明します。

ダブルサイズの寝具を選ぶことで省スペースに

ダブルサイズの寝具

筆者宅は夫婦ふたり暮らし時代からダブルサイズの寝具を使っています。こちらは現在使っているダブルサイズの敷布団です。

ポリプロピレン頑丈収納ボックスに寝具を収納

シングルサイズのものを2セット用意することを考えたこともありましたが、使わないシーズンはかさばって収納スペースを圧迫してしまうため、却下しました。ダブルだと窮屈なのでは、と思う方もいるかもしれませんが、筆者はそれほど気になりません。

ダブルサイズの掛布団であれば、無印良品のポリプロピレン頑丈収納ボックスに、このようにコンパクトに収まります(シングルサイズ2セットだと入りませんでした)。

夏用のタオルケットと掛布団カバーを兼ねる

掛布団カバーをタオルケット代わりに

筆者宅では夏用のタオルケットを手放し、掛布団カバーをタオルケット代わりに使っています。これは以前ホテルに宿泊したときに、シーツにくるまって寝たことがきっかけで思いつきました。

掛布団カバーは、そのまま使っても肌触りが良いものを!とリネンで揃えています。その時の気温に合わせて二つ折り(4重)にして使うこともあり、温度調整しやすいのもメリットです。

マイクロファイバーの掛布団カバーを毛布として使う

マイクロファイバーの掛布団カバーを毛布として使う

続いて、かさばる厚手の冬用毛布も手放しました。その代わり軽くて暖かいマイクロファイバーの掛布団カバーを毛布として使っています。

マイクロファイバー掛布団カバーを単品で使うだけでは寒い!と感じたら、いよいよ羽毛布団(+リネンの掛布団カバー)の登場です。

羽毛布団をマイクロファイバーの掛布団カバーでくるむ

さらに、冬場に室温が5℃を下回るようになってきたら、羽毛布団をマイクロファイバーの掛布団カバーでくるみます。

こうすることで、多少寝相が悪くても毛布と羽毛布団がずれないので、真冬でも暖かく過ごせます。それでもどうしても寒い場合は湯たんぽやエアコンをプラスします。

「家庭内移動」で寝室を固定しない

ダブルの敷き布団1枚とシングルの敷布団2枚に家族5人で寝る

もうひとつ、注目したのが、「寝る部屋」です。現在は写真のようにダブルの敷き布団1枚とシングルの敷布団2枚に家族5人で寝ています。掛布団は1人につき1セット用意しています。

筆者宅では、ふだん北側の洋室を寝室として使っています。真夏は風通しが良く、エアコンいらずで快適なのですが、真冬はかなり極寒な状態に…。そこで、真冬だけは「家庭内移動」することにしました。南側にある和室を寝室にすることで、寝具を追加せずに済んでいます。

場所が固定されてしまうベッドと比べて、フレキシブルに「寝る部屋」を変更できるのも布団のメリットだと思います。寝具の収納でお悩みの方の参考になれば幸いです。

●教えてくれた人/香村薫さん
家事研究家/ライフオーガナイザー、株式会社ミニマライフ代表取締役。大学卒業後、トヨタグループのAT・ナビ専門メーカー・アイシンAWに入社、商品企画・統括業務を担当。結婚後には夫と一緒に、モノの適正数を決め、しくみで維持する片づけ方を考案。「トヨタ式おうち片づけ」と名づける。著書は「トヨタ式おうち片づけ」をはじめ多数

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