コロナ禍で定着したテレワークもはや1年。その影響で勤務中に時間の余裕ができ、自宅で悠々自適に過ごす人もいるという。彼らは仕事をせずに何をしているのか? 時間を持て余した在宅勤務の姿をのぞいてみよう

テレワーク暇人
写真はイメージです(以下同)

新しい働き方は暇人を生み出した!?

「実際の労働時間は2~3時間。半休と変わらない感覚です」(男性・29歳・商社営業)

 新型コロナの影響でテレワークが推進され1年が経過。テレワーク導入は通勤時間の削減など時間に余裕をもたらした。2020年11月メディアブランズが実施した調査によると、週に3~4日テレワークを実施する約半数が、自由時間が増えたと実感しているという。なかには、時間を持て余す“テレワーク暇人”が紛れているようだ

テレワーク暇人
メディアブランズによるデジタルメディア調査から引用。15~74歳の男女2400人対象。2020年11月末実施
「時間があるので毎日昼食を作るようになり、料理の腕が上がりました」(男性・28歳・IT営業)

コロナ禍で契約したネットフリックスを仕事中も見ています。一日に3~4時間も見て、『愛の不時着』は4日で見終わった」(女性・29歳・金融事務)

コロナ禍で新社会人になった人の心境

入社式 新入社員

「勤務中にサウナに出かけました。1セット終わるごとに一応、スマホチェック勤務中にサウナにいるという優越感がある」(男性・24歳・金融営業)

「暇な時間は仕事に役立つ本を読むようにしていた」(男性・51歳・電気企画)

 読書、動画観賞、筋トレネットサーフィンSNS、自炊、掃除など、余った時間を充実させている人が多数見受けられた。

 テレワーク暇人=サボり、というイメージを持たれるかもしれないが、コロナ禍新社会人になった人の心境は複雑だ

「新卒で入社後、1か月だけ出社したが、その後はずっとテレワーク。仕事内容的にもテンプレートを作ってしまえば時間が余るので、ほとんど趣味のゲームをして過ごしています。入社3か月目で新しい仕事を教わると聞いていたのですが、1年間同じ業務をさせられ……テレワークは気楽ですが、出社経験もほぼないし、社会人としてどうなんだろうと不安です」(男性・23歳・プログラマー

マッチングアプリに励む人も

テレワーク暇人

 営業職なら、ほぼ丸1日自由ということも。

「ノルマさえ達成できていれば自由で、寝てばかりいます。始業の5分前ギリギリまで寝て、その後はウソの仕事スケジュールを報告。届いていたメールに返信したら10時には暇になるので、そこからまた睡眠。暇な日の実労働時間は1時間半です。一度、取引先に訪問していると報告した時間に寝ていて、上司から電話がかかってきたときは焦りましたね。『外出しているのに静かだな?』と指摘され、イヤフォンノイズキャンセリング機能のせいにしてごまかしました」(男性・37歳・営業)

 まとまった空き時間がなくてもスキマ時間を活用する人もいる。

「2~3時間ごとにマッチングアプリチェック出社中はメッセージの返信なんかできませんが、今は即レスです。『テレワーク中?』なんてメッセージが来ると親近感も湧いて盛り上がりますね。『お互い仕事の連絡が来るまで電話しよ』って、30分くらい電話したこともありました」(女性・30歳・メーカー事務)

テレワークを利用して英語学習

 趣味や睡眠などに費やすほか、新しいことを始めて時間を有効活用する人もいるようだ

「妻に任せっきりだった家事にチャレンジ。おかげで夫婦関係も良好になりました」(男性・44歳・印刷営業)

アプリを使って英語学習を始めました。朝10時からのミーティングさえ出れば、スケジュール次第で外に出てもバレないので、天気のいい日は近くの公園のベンチなどでやることもありますね。1日2時間半が目標です。多いです? それくらい時間が余ってるんで」(男性・32歳・IT営業)

テレワーク暇人
英語学習アプリの学習記録。「空いた時間を有効活用」(男性・32歳・IT営業)
オンライン株式投資スクールを受講し、毎日3時間、2か月くらい集中して勉強しました。デイトレで資産が倍増し大満足です」(男性・31歳・貿易営業)

テレワークを利用してダイエットに励み、半年でマイナス8㎏を達成。フィットネスバイクフォーローラーを買って家トレし、自炊で手の込んだローカロリーの食事を作って、ダイエットが捗りました」(女性・29歳・出版営業)

なぜテレワーク暇人は生まれてしまうのか?

 暇すぎる仕事に危機感を覚えた人は、こんな行動に出ているケースも……。

「転職活動を始めました。仕事しつつ時間が来たらオンラインで面接。たまにリアルの面接が入ったときは、スマホから会社のパソコンオンラインにして臨みました。少しでもログアウトすると会社に仕事をしていないことがバレるので。無事転職先が決まり、会社への退職願はテレワークなので電話で伝えて、上司に『テレワークで引き継ぎも満足にできないのに辞めるのってどうなの?』と嫌みを言われましたが後悔はないです」(男性・35歳・不動産営業)

 なぜテレワーク暇人は生まれてしまうのか? 要因のひとつに勤怠管理のユルさがあるようだ。

「働く日にまとめて働いて、他の日はさもやっていたかのように成果を報告して調整してます」(男性・26歳・SE)

今はビジネスチャットで、毎朝8時に『仕事始めます』、昼に『休憩入ります』、17時に『終わりました』と連絡し、形だけの予定表を提出するような日々を送っています。突然ヘルプで呼ばれるときがあるのでパソコンの前にはいますが、朝から酒を飲んでいた日もありましたね」(男性・41歳・プログラマー

テレワーク専門家「長年の懸念でした」

田澤由利氏
田澤由利氏
 2008年からテレワーク支援を行うテレワークマネジメント代表の田澤由利氏は、テレワーク暇人について「長年の懸念でした」と肩を落とす。

「大前提として勤務時間中に業務外のことをやるのはいけないことです。ですが、人間怠けてしまうもので一概に個人が悪いとは言えないと思います。そうならないように社員を管理するのは会社の役目。現状では、テレワークだからマネジメントできないと諦めている企業が多く、テレワーク暇人を生む一方で、残業代を出さずに働かせることもあります。

 仕事の成果のみを評価したり、勤務時間のみを管理したりするだけでは、この問題は解決しません。例えばバーチャルオフィスなどのツールを活用して、仕事の中身や進捗も見える化させることが必要です。働く人も、この状況に甘えていると、いずれ『出社せよ』にもなりかねません」

 テレワーク暇人でいられるのは今のうちかもしれない。

<取材・文・撮影/高田彰吾 桜井カズキ 松本果歩 ツマミ具依>

【田澤由利】
テレワークマネジメント代表取締役・’08年、同社設立。企業や自治体テレワーク支援や普及事業を実施。総務省地域情報化アドバイザーでコロナ禍の政策検討会議に参画

【週刊SPA!編集部】



写真はイメージです(以下同)