島根県は神話の国として有名だが、それははるか昔から今も神々を祀る神社やパワースポットがあるから。知らない人はいない“ご縁”の神様として名高い「出雲大社」をはじめ、恋愛から人生まで、縁結びにご利益がある島根のパワースポットをご紹介。「新しい恋・出会いが欲しい」「彼と・彼女と付き合いたい」など、恋愛運・縁結びのパワーをもらいたい人は必見だ!

【写真】恋多く、たくさんの子宝にも恵まれたことからも「縁結び」の神様と言われている大国主大神。境内には神話「因幡の白兎」の像がある

■島根の“キング・オブ・縁結び”!あらゆるご縁を呼び結ぶ「出雲大社

島根県で縁結びといえば、まず挙げられるのが「出雲大社」。島根半島の西側、出雲縁結び空港から車で約30分。全国から参拝客が絶えない出雲大社だが、その起源や参拝の仕方など、事前に知っておくとさらに滞在が豊かなものになるポイントを紹介しよう。

実は「出雲大社」は、「いづもたいしゃ」ではなく「いづもおおやしろ」と読むのが正解。祀られているのは「だいこくさま」として馴染み深く、また「因幡の白兎神話」で有名な大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)。創建年時ははっきりとわかってはいないが、古事記に記されている国譲り神話では、大国主大神が国づくりを進めた日本の国土を、皇室の御祖先神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)に“国譲り”し、その御礼として宮殿を建ててもらった、その壮大な宮殿こそが出雲大社の始まりと言われている。

国譲りという大業について天照大御神から感謝され、「これから後、この世の目に見える世界の政治は私の子孫があたることとし、あなたは目に見えない世界を司り、そこに働く『むすび』の御霊力によって人々の幸福を導いてください」と言われた大国主大神。ご縁や心を繋ぐ「むすび」の力で、この世に生きるすべてのものが豊かに栄え、幸福へと導いていくことになった。大国主大神を祀る出雲大社が縁結びの神社とされている由縁はここにある。

神門(しんもん)通り入り口に立つ白い大鳥居を一の鳥居として、御本殿に至るまでに石、鋼、鉄、銅とそれぞれ異なる素材でできた4つの鳥居があるので、一礼してからくぐる。道の中央は神様の通り道とも言われるので、左右どちらかの側から入るのがマナーだ。

出雲大社への参拝は、一般的な神社と異なり「二礼四拍手一礼」。まず拝殿を参拝し、次は御本殿前の八足門(やつあしもん)にて御本殿を参拝する。その後は、取り囲む垣根の周りにある、大国主大神と縁の深い摂末社を反時計回りに参拝すると良いとされている。

2018年には、60年に一度の平成の大遷宮が完了し、厚い場所では約1メートルもある御本殿の屋根の檜皮葺(ひわだぶき)も美しく整えられ、その姿は御本殿の東側からよく見える。こういった細かい点も丁寧に見て回りたい。

御本殿の裏手にある「素鵞社(そがのやしろ)」に立ち寄ることも忘れてはいけない。軒下には箱があり、境内から800メートルほど離れたところにある「稲佐(いなさ)の浜」の砂を納めて、同量の砂を持ち帰って庭にまいたりお守りにすると御加護があると言われている。知る人ぞ知る、出雲大社の裏のパワースポットなので、ぜひ押さえておこう。

また出雲大社といえば、巨大なしめ縄のイメージをもつ人も多いだろう。実は御本殿ではなく、御本殿西側の神楽殿にある。 そもそもしめ縄には、人間界と神様の領域を隔てる結界の役割があり、しめ縄を置くことで、その先の神域に邪気が入り込まないようにしている。しめ縄が太いということは、その力もしかり。また出雲大社には向かって左方を上位、右方を下位とする習わしがあり、しめ縄も左方が綯い始め、右方を綯い終りとする張り方となっているのも他の神社とは違うところ。そんな点を観察しながら巡るのもおすすめだ。

恋愛成就だけではなく、人々が共に豊かに栄えていくための“貴い結びつき”にご利益がある「出雲大社」。大国主大神と縁の深い神社は出雲大社の外にもあり、大国主大神の妻と子を祀る「美保神社」、親にあたる「八重垣神社」などは、一緒に周るとさらに縁がよくなると言われているので、ぜひ試してみよう。

<住所:島根県出雲市大社町杵築東195(社務所)/電話:0853-53-3100/時間:6:00~18:00、御祈祷9:00~16:30(受付8:30~16:00)、御札・御守・御朱印の授与7:00~18:00/休み:無休/駐車場:375台(無料)ほか/交通アクセス:車=出雲縁結び空港より約30分、電車=JR出雲市駅より一畑バスで約25分、「出雲大社連絡所」下車、徒歩1分>

■早く沈むといいことがある!?縁占いが人気の「八重垣神社」

出雲大社から車で約1時間、島根県松江市の中心部からは南側へ7キロほどのところに、“縁占い”を求めて多くの若い人や女性たちが訪れる「八重垣神社」がある。木でできた鳥居は優しい印象を受ける。

八重垣神社は、大社造の御本殿に素盞鳴尊(すさのおのみこと)と、その妻・稲田姫命(いなだひめのみこと)を祀る神社。出雲の縁結びの大親神として、夫婦円満や良縁結びにご利益があると言われている。縁占いは八重垣神社の拝殿の裏手、佐久佐女(さくさめ)の森にある「鏡の池」で行える。

「鏡の池」は、素戔嗚尊八岐大蛇(やまたのおろち)を退治する有名な神話のなかで、8つの垣根を立てて、稲田姫を守り隠した場所と言われている。稲田姫が池の水を鏡にしたり飲み水にしたことから、池の底に深くその魂が沈んでいると考えられ、直接池にお供えがされてきた。昔は物だったが硬貨になり、失礼にならないよう下に紙を敷いたことが占いの始まりと言われている。

池に占い用紙(1枚100円)を浮かべ、硬貨(10円または100円)をそっと乗せ、硬貨が沈むまでの時間と岸からの距離で占う。15分以内に沈めば縁が早く、30分以上かかると縁が遅く、近くで沈むと身近な人、遠くで沈むと遠方の人とご縁があると伝えられている。また、紙の上をイモリが横切って泳いだり、イモリが乗って沈んだら、さらに吉縁に恵まれるそうだ。

占い用紙は神札授与所で入手できるので、神様にご挨拶をしてから、占いに臨みたい。薄く繊細な占い用紙は水に濡れると文字が浮かび、よい方角などの助言をくれる。同じ用紙と硬貨でも、人によって時によって沈み方がまったく違う。じわじわ沈みかけ、最後にはシュッと池の底に引き込まれていくさまもとても興味深い。

八重垣神社では椿の木が御神木であり、境内には夫婦椿が3本ある。稲田姫が植えたと言われる椿は二つの根本が地上で一つ、夫婦のように合わさっている。

また数年に一度、1枚の葉が先で2つに分かれハート型に見える椿の葉が生まれる。「二葉」と言われ、ご利益があると大事にされている。いくつもの楽しみが待っている「八重垣神社」。願い事を決めたらぜひ占いに行ってみよう!

<住所:島根県松江市佐草町227/電話:0852-21-1148/時間:9:00~17:00/休み:無休/駐車場:約120台(無料)/交通:車=出雲縁結び空港より約25分、電車=JR松江駅より八重垣神社方面行市営バスで約20分、「八重垣神社」下車>

■ご利益を自分だけのお守りに!「玉作湯神社」

出雲大社から車で約50分、松江城が有名な島根県松江市には、約1300年前から美肌の湯と言われる玉造温泉があり、良縁と美肌を手に入れたいと多くの観光客が訪れる。雰囲気のよい温泉街をはじめ、周囲にはおすすめの立ち寄りスポットが豊富だが、その一つがこの地を守る「玉作湯神社(たまつくりゆじんじゃ)」。

玉作湯神社では勾玉(まがたま)の神様、玉造温泉の神様、山林の神様が祀られている。玉造はその名のとおり古代から勾玉や玉類を数多く生産した場所で、出雲大社の宮司が代替わりする際には、玉作湯神社で祈念した勾玉を奉納するのが習わしになっているという、由緒ある神社である。石に縁が深く、境内には“触れて祈ると願いが叶う”と言われる自然石「願い石」が祀られいて、パワースポットとして人気だ。

特に願い石のパワーをお持ち帰りできる「叶い石」は、恋愛成就のご利益があると評判だ。一体どうやって石のパワーを持ち帰るのか?

まずは、神社の鳥居をくぐって、左側にある社務所で叶い石(600円)を手に入れる(無人販売所でも購入可能)。白地にゴールドでデザインされたお洒落な袋の中には、「叶い石、願い札、お守り袋」のセットと手順が書かれた説明書が入っている。叶い石の種類はさまざまでお守り袋も色柄が違うため、どんなセットを手にするのかは神様のみぞ知るところ。

神々しい雰囲気のある苔の生えた鳥居をくぐり、階段を登ったら、真っすぐ前に社殿が現れる。右手の手水舎でお清めをしたら、「二礼二拍手一礼」で参拝。

お参りを終えたら、社殿の右側にある願い石へ。不思議なほどに美しく丸い願い石を見ていると、不思議と心が落ち着いてくる。

願い石の下から出ているお神水で先ほどの叶い石を清め、願い石にそっと当てながら、心の中でお願い事を。右横には「青めのう」の原石があるので、どちらの石も傷付けないようにそっと当てよう。

唱え終わったら、叶い石を持ち帰るために最後の仕上げを。社に戻り、願い札にお願い事を書き込む。誰からの願い事かわかるように住所と名前の記入も忘れずに。複写になっているので、一枚は神社へ奉納、もう一枚はお守り袋に入れてリボンを結ぶと自分だけのお守りが完成だ。奉納した願い札は宮司によって後日ご祈祷してもらえるので忘れずに納めよう。

できたお守りは肌身離さず持ち歩くと、願いが叶うと言われている。「願い石」のパワーを「叶い石」に託して持ち帰れる「玉作湯神社」。願いが叶ったあとはお礼参りも忘れずに。

<住所:島根県松江市玉湯町玉造508/電話:0852-62-0006/時間:参拝自由。社務所窓口9:00~12:00、13:30~17:30、土・日曜・祝日8:30~17:30/休み:無休/駐車場:20台(無料)/交通アクセス:車=出雲縁結び空港より約25分、電車=JR玉造温泉駅よりタクシーで約5分>

■一年に一度、全国の神々を迎える浜でお砂取り「稲佐の浜」

出雲大社から西へ徒歩15分、白い砂浜と美しい海岸線が続く「稲佐の浜」は、日本の渚100選にも選ばれていて、国譲り・国引きの神話で知られる浜。美景だけでなく、古から今も神が降り立つパワースポットとしても人気だ。

日本の旧暦では10月を「神無月」と呼ぶが、出雲では「神在月」と呼ぶ。毎年旧暦10月10日になると、全国の八百万の神々をこの稲佐の浜で出迎えるから。「神迎神事(かみむかえしんじ)」と呼ばれるこの行事、夕方にかがり火がたかれ、しめ縄を巡らせた斎場で執り行われるその空気は厳粛そのもの。

稲佐の浜で迎えられた神々は、出雲大社の末社「上宮(かみのみや)」で「神議り(かみはかり)」という、男女の縁、人や物事のさまざまな縁結びについて話し合いをすると言われている。シンプルな外観の上宮だが、八百万の神々が集まる場所ということは最強のパワースポットと言っていいだろう。

前述のとおり、出雲大社内の「素鵞社」に奉納するため浜の砂をここで少しいただいてから出雲大社へ向かうのがおすすめルート。稲佐の浜の白砂を出雲大社北側に鎮座している素鵞社の軒下の砂箱へ奉納し、代わりにそこの砂を同量持ち帰る。いただいた砂はお守りにしたり、家の土地や田畑に撒いて清めると神の御加護をもらえるという信仰があるので、ぜひ実践して良縁をゲットしよう。

ちなみに、稲佐の浜といえばひと際目立つ丸い島「弁天島」のイメージが強いかもしれないが、地元では「べんてんさん」と呼ばれて親しまれている。古くは稲佐湾のはるか沖にあったので「沖ノ島」と呼ばれていたそう。現在は、豊玉毘古命(とよたまひこのみこと)という安産や子宝にご利益がある神様が祀られているので、あやかりたい人は合わせてお参りを。

<住所:島根県出雲市大社町杵築北2844-73/電話:0853-31-9466(出雲観光協会)/時間:見学自由/休み:無休/駐車場:23台(無料)/交通:車=出雲縁結び空港より約30分、電車=JR出雲市駅より一畑バスで約40分、「稲佐の浜」下車、徒歩すぐ>

出雲大社と親子参りでご利益UP!「美保神社」

「美保神社」は島根半島の東端、美保関町に位置している神社で、出雲大社からは車で1時間半ほどかかるが、縁結びのご利益をより強くしたい人には、ぜひとも両参りをおすすめしたい。

美保神社に続く県道2号線は、潮風を感じながらドライブできる海岸線を走る道路。美保神社は小さな港町に建ち、目の前には美保湾が広がる。神社から仏谷寺に至る通りは青石畳通りと呼ばれ、雨に濡れると青く見える海石の石畳が続いている。

美保神社に祀られているのは、三穂津姫命(みほつひめのみこと)と事代主神(ことしろぬしのかみ)。三穂津姫命は出雲大社の祭神・大国主大神の妻で、五穀豊穣の神として信仰され、また、美保の地名はこの名前にゆかりがあると伝えられている。もう一方の事代主神は大国主大神の子で、右手に釣竿を、左手に鯛を手にする商売繁盛・福徳円満の神、別名「えびす様」として篤く信仰されている。

出雲大社大国主大神は「だいこくさま」、美保神社の「えびす様」と合わせて「えびすだいこく両参り」と呼ばれ、両方合わせてお参りすることで、よりよい縁に恵まれ、願いごとも叶いやすくなると言われている。両神社は、島根半島の両端に位置し、昔から出雲国の西と東の守神として慕われてきたそう。出雲大社と美保神社は75キロほど離れているので、一日で巡るのが難しい場合は美保関町で宿泊を検討してもよいだろう。

<住所:島根県松江市美保関町美保関608/電話:0852-73-0506/時間:参拝自由/休み:無休/駐車場:地区駐車場利用(2か所無料)/交通アクセス:車=出雲縁結び空港より約1時間、電車=JR松江駅より一畑バス(美保関ターミナル行)で約40分、終点で美保関コミュニティバス美保関線に乗り換え約30分、「美保神社入口」下車>

取材・文・撮影=高橋裕美子、水島彩恵

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出雲大社の正門は鋼管製で高さ8.8メートル、横幅12メートル。この先から参道が始まる