帝人は3月30日、豪企業Applied EVとともにエネルギー効率の高い低速電気自動車(LS-EV)のプロトタイプを開発したと発表した。

自動運転システムや、ゼロエミッションモビリティを実現するのに役立つもので、消費エネルギーが歩行者と同等と極めてエネルギー効率が高いのが特徴だ。

軽量かつ耐衝撃性高い素材を活用

今回発表したプロトタイプは小型の4人乗りで、自動運転に対応する。共同開発にあたっては、帝人が高強度で軽量の素材についてのテクノロジー、Applied EVがゼロから構築した車両プラットフォームなどを持ち寄った。

具体的には、帝人の軽量で耐衝撃性に優れるポリカーボネート樹脂「パンライト」製のグレージングをプロトタイプの窓やドアに使用。これは車両の重量を軽くしつつ衝撃から人を守るのに加えて、赤外線の遮断でも効果があり、これにより車内空間を涼しく快適に保つという。

また、帝人グループ企業が展開するポリエステル製タテ型不織布を断熱・吸音材に用い、車外の熱気や冷気、騒音を遮断している。

ソーラー発電も高効率に貢献

一方のApplied EVの主なテクノロジーはBlanc Robotという軽量のロボットベースだ。これが今回のプロトタイプのプラットフォームとして使われていて、Blanc Robotは低エネルギーで走行できるように設計されている。

また、プロトタイプではルーフにソーラーパネルが設置された。豪州での試験では出力は330Wで、普通のソーラーパネルと同程度だったという

これら全てがあわさって、プロトタイプの消費エネルギーは歩行者と同じレベルに抑えられていて、帝人は「自動走行車としては過去最高レベル」としている。

両社は将来の多目的ゼロエミッション車両をサポートする技術的な基礎を確立しようと2019年から共同開発を行っていて、今回のプロトタイプで実用化に向けてさらに一歩前進したことになる。

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