コロナ禍で深刻化する子どもたちの困難

 3月15日日本財団は記者会見を開き、笹川陽平会長は「貧困や難病、自殺者増や望まぬ妊娠など、子どもたちの困難はコロナ禍で深刻化しており、多くの子どもたちが居場所を必要としている」と述べ、2016年から実施してきた「子ども第三の居場所」事業を拡大し、2025年度までに500拠点の開設を目指すと発表しました。

コロナ禍で深刻化する子どもたちの困難

 文部科学省によると、2019年には339人だった小中高生の自殺者は2020年には479人と41.3%増加しており、国立成育医療研究センターなどの調査では、コロナ禍によるストレスが子どもたちを自傷行為に追い込んだり、親が感情的に怒鳴ったりするケースが増加傾向にあることも指摘されています。

 コロナ禍は経済活動を大きく停滞させ、人々の働き方や暮らし方までも一転させましたが、これまで以上に多くの困難を抱える家庭環境を悪化させています。そして子どもたちが直面するあらゆる困難は家庭環境の影響を受けやすく、学校ですべてを解決することは難しいのが実情です。

笹川陽平・日本財団会長

笹川陽平・日本財団会長

2021年度内に38カ所から100カ所へ

 そんな家庭環境にある子どもたちに寄り添い支える第三の居場所として、日本財団ではこれまで全国に38カ所の拠点を開設してきましたが、さらなる拡大に向けて2021年度の募集を4月1日から開始しています。

子ども第三の居場所の取り組みと成果

 募集事業には「常設ケアモデル」「学習・生活支援モデル」「コミュニティモデル」の3つの運営モデルがあり、規模や子どもの支援内容によって助成内容も異なります。基本的には施設の開設と3年間の立ち上げ期を支援する内容となっていて、助成期間後は自治体や運営団体が自走による継続的な運営を行うこととしています。

 日本財団「子ども第三の居場所」は今年度中に拠点を100カ所に増やすことを目指し、4月30日まで申請を受け付けています。

日本財団2021年「子ども第三の居場所」事業募集要項

栄養バランスのとれた食事と家庭のような温かい食事環境

栄養バランスのとれた食事と家庭のような温かい食事環境(日本財団提供)

栄養バランスのとれた食事と家庭のような温かい食事環境(日本財団提供)