コロナ禍では、いつ誰が借金をする身になるかわからない。そんななか、貧者を食いものにする非道なサービスが広まっている。その実態に迫った。

◆新しいヤミ金と危惧される「後払い現金化」のワナ

 商品を後払いで購入させ、キャッシュバックとして現金を融通する「後払い現金化」という新型ヤミ金の被害が急増している。後払い現金化の状況に詳しい、司法書士の前田勝範氏が現状を話す。

コロナ禍につけ込んだ新たなヤミ金の手口として登場した手法です。昨秋から被害相談が寄せられるようになりました。『現金即日融資』などと検索すると最上部に広告が掲載されていたり、ユーチューブ広告として流れていたり、今では何社もの後払い現金化業者が存在しています」

 では、後払い現金化とはどのような仕組みなのか?

「まず、現金化業者は風景画像やゴルフの上達法、セドリの方法などタダ同然の商材をあえて高値で売ります。購入者は代金を給料日などに後払いする契約を結びつつ、何割かがキャッシュバックされて現金を融通される仕組みです。

 なかには『商品レビューを書けば現金交付』『別の即日買い取り業者を紹介』というケースもあるようですが、多くは5万円の商品購入で2万5000円程度がキャッシュバックされるのが相場です」

◆現金の即日融資にすがりたい人々

 すでに前田氏のもとには数十件もの相談が寄せられているという。どのような利用者が多いのか。

「『ブラックOK』などを謳い文句に、コロナ禍で減給、失業した人や金融ブラックの人が使うケースが多いです。国の貸し付けや給付は振り込まれるまでに時間がかかるため、現金の即日融資にすがりたい人は多い。全国の被害者は相当数にのぼると推測されます」

◆「会社に連絡されてしまう」という恐怖心で相手を縛る

 具体的に、前田氏が実際に相談を受けた例を紹介しよう。

「30代配送業の男性で、コロナによる減収から後払い現金化で2万5000円の融資を受けた方がいました。しかし、すぐに給料が増えるわけでもないため、翌月には返済できなくなり、たった3か月で6社から15万円もの負債を抱えてしまったというのです。

 商品を購入する際、勤務先や収入、勤務形態、親族の連絡先などを細かく入力させられ、会社に在籍確認までされたそうです。後払い現金化業者は『会社に連絡される』という恐怖心をあおることで現金を回収しているのです。

 返済のために複数の後払い現金化業者から借り入れを繰り返し、多重債務に陥る利用者が増えています。借り入れ金額が比較的少額なのは、雪だるま式に借金させるためのワナです」

◆商品の売買を隠れ蓑にした高利貸し

 サイト上の表示にも、後払い現金化業者の巧妙な手口があった。

「後払い現金化のサイト上には、『金利』や『手数料』といった文言は出てきません。しかし、実質的な金利を年利換算すると年600%以上がほとんどで、ときには1200%を超えるケースも。これは、利息制限法の上限である20%をはるかに上回ります。このことから、後払い現金化は商品の売買を隠れ蓑にした高利貸しであり、出資法などの各種法律に違反していることは明らかといえます」

 最後に、後払い現金化業者に騙されないための対策とは?

「実態を把握し、借りないことに尽きます。生活に困ったらインターネットで調べるのではなく、国や支援団体に相談してください」

 商品売買を模した巧妙なワナにハマらぬよう、注意してほしい。

【前田勝範氏】
司法書士。所属する大阪クレサラ・貧困被害をなくす会(大阪いちょうの会)にて今年2月、後払い現金化の無料電話相談会を開催

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[[コロナで借金]地獄ルポ]―


後払い現金化被害による無料電話相談会開催の説明を行う弁護士や司法書士。後払い現金化の相談会実施は全国初の試みだ