今までリリースしてきたアルバム1枚ずつをコンセプトに、毎月1回、全12回の配信ライブとして全国、全世界、どこにいても体感できる配信ライブ“炎の12ヶ月”。リスアニ!WEBではそんな月イチオンラインライブをレポート!今回は『BLACK & WHITE』!

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■LIVE REPORT
「BLACK & WHITE」と声が画面中をこだまする。デジタルダンスビートで紡がれるSEからIWASAKIシンバルでカウントを入れて重厚ビートと軽快なギターリフで聴かせるグルーヴ感あるヘビーロック「ロッククライマーズ」が響き出す。今日の会場がライブハウスツアーを思わせるコンパクトな会場であることが伝わる。自分自身を信じろ、と強く歌い上げる強いメッセージソング「革命」が高らかに歌い上げられ、ライブは序盤からファンそれぞれが自分の場所で拳を上げ彼らと共に歌う、そんな様相に。

実は宮城県仙台市にあるライブハウス・Rensaから配信することになっていたという今回の“炎の12ヶ月”。2011年の震災のときに作っていたアルバムだからこそ、10年を経た今、やりたいと思っていたのだとKEIGO。ところがこのタイミングで宮城県緊急事態宣言に突入したことで、「Rensaのオフィシャルロゴ入りのフラッグを作ってしまいました!」(KEIGO)、「俺らが行けないのなら、とRensaに来ていただきました」(KOHSHI)ということで、代わりに三宿GARDENにて“東北から元気を”の想いを込めてのライブとなったことが説明されたところでステージは次なる曲へ。

ユニゾンでの層の厚い歌声と拳を上げて歌える力強いコーラスが印象的な「感情行進曲」はFLOW流の応援歌! すべての人へ届けとばかりに歌うKEIGOとKOHSHI。KOHSHIとTAKEのギターが絡み合って軽快に響く「この際はっきりさせとこうか!」は素直すぎるほどの想いが宿る1曲。テンションの高いビートで、跳ねるメロディにライブ会場でサークルを作ってモッシュにダイブするオーディエンスが見えてくるようだ。軽やかにサウンド踊るダンサブルポップチューン「チェルシーガール」では響くクラップ音が画面の向こうのステージとリスナーとを繋ぐように感じた。

ライブハウスからは久々ですね」とKEIGO。配信は配信で、どんなに離れていても同じ時間に繋がれる良さがある、と話すKOHSHI。2011年に宮城県でのボランティアにも参加したときの話から、当時ボランティアセンターで出会った人たちと電話を繋ぐ(本来は宮城で再会する予定だった)。お一人は“組長”と呼ばれるナリタさん。10年前の被災地でのボランティアの思い出話を。そして二人目はACT AGAINST AIDS仙台を共に盛り上げてきた和太鼓演奏集団・閖上太鼓保存会のミウラさん。イベントを立ち上げてからの7年を振り返り、今日ここでしか聞くことのできない貴重な話をリスナーに届けた。偶然にも震災から10年の節目となる3月に『BLACK & WHITE』のライブができることに縁を感じるというKEIGO。同じく3月の、卒業のシーズンにこのアルバムのライブができたことも何かの縁かもしれない。コロナ禍によって苦難が続いた学生たち。そのなかでも卒業を迎えた人たちへ、とコメントするとライブは「旅立ちグラフィティ」へ。ハートフルな音像が広がっていくミディアムロックを、想い込めて、歌詞の1つずつをそっと手渡すように歌う。

生配信ならではの、リアルタイムのオーディエンスの声を拾っていくKEIGO。久々の「旅立ちグラフィティ」が嬉しい、という声が多く、今の季節だからこその感想を受け取ったFLOWのメンバーたち。ここで8月9日LINE CUBE SHIBUYAでの延期公演が決定した“FLOW THE CARNIVAL 2021 ~新世界~”の告知を。ライブがやりたいFLOW。ライブを観たいオーディエンス。その想い繋がるお知らせとなった。

ここでライブは後半戦へ突入。轟くTAKEのギターとGOT’Sのベース、そしてIWASAKIドラムの音が「Hey!!!」を掻き鳴らす。爆発力ある豪快な展開あるアッパーロックに、画面の向こうの観客も拳を上げKEIGOとKOHSHIの声に想いを重ねたはず。配信とは言え、全力でカメラの向こうを煽り、高く腕を上げる二人が日本中のライブ会場を一体にした。デジタルビートが響くなか重々しいイントロからアグレッシブビートとともに轟く「おはようジャポニカ」ではサウンドにも歌詞にも「現状をぶち壊したい」ともがく行き場のないエネルギーの爆発する様を感じさせ、エモーショナルな歌声が聴覚から全身に叩きつけられるような感覚を覚える。「クラップをせよ」とKOHSHIが英語で言う。ダンサブルで美しい旋律に彩られながらも魂の叫びのような歌が響く「BLACK & WHITE」。エレクトロとFLOWのロックがダンスサウンドに昇華されていくこの曲は、強いメッセージからも“2011年”という時間を象徴していると感じた。僕らが信じた音楽は今も鳴り響いているよ、とのFLOWからのメッセージが込められた当時のツアー映像が流れ、「ON THE LINE」へ。未来の、希望の音が宿る1曲は、溢れ出すポジティブな音が軽快に跳ね、鼓動を逸らせるドラマチックなナンバー。彼らの背後にあるRensaのフラッグまでも光り輝いているように感じる。力強い演奏と想いを込める歌が紡ぐのは、未来と過去を結ぶ線。光が待つ未来を信じる力。そしてFLOWが歌う理由。「縁を感じた」と、この夜のライブについて語っていたKEIGO。そう、彼らが音楽を奏で届けることも、たくさんの縁があり今へと繋がっているのだ。

「10年前まさにツアーを回っていて、アルバムを作っているときに僕らはピンチを味わいました。あのときは何をしたらいいのかもわからず、音楽をやっていいのかと自粛をし、そんなときに名取市ボランティアセンターの皆さんに出会って。皆さんが“どんどんやってくれ。自粛自粛とエンターテインメントを失っていくのは嫌だ”という声をもらって、僕らは『BLACK & WHITE』を作りました。今もこんな時期です。でもあのときと違うのは、僕らは音楽をやり続けるという気持ちでいることです。色々不安はいっぱいあると思うし、新生活の始まる季節と言われてもまだまだいつもの4月のようにはいけない人たちもいると思うんだけど、でも大丈夫。何回も言っているけど俺たちは一人じゃない。確実に自分たちの足で歩いていきましょう。そのために俺たちはライブをやり続けます。これからも毎月26日にこの気持ちを伝えていきます。これからもよろしくお願いします。そんな俺たちの作る未来へ。ラストの1曲を歌いましょう」。

KEIGOの言葉から優しい鍵盤の音とつま弾かれるギターの音色が重なって、KOHSHIが歌い出したのは「光」。一歩一歩を着実に踏み出していく歌。あの日から10年を経た今だからこそ、未曾有の事態に苛まれている今だからこそより強く伝わる「一人じゃない」という想いと「共に踏み出そう」というメッセージ。ラストにはボランティアセンターで撮られた1枚の記念写真が画面に映し出され、ライブは幕を閉じた。ライブの熱、温かな想い、そして希望に満ちたライブだった。

セットリスト
SE.
01. ロッククライマーズ
02. 革命
03. 感情行進曲
04. この際はっきりさせとこうか!
05. チェルシーガール
06. 旅立ちグラフィティ
07. 08 Hey!!!
08. 09 おはようジャポニカ
09. 10 BLACK & WHITE(LIVE.ver)
10. ON THE LINE
11. 光

■DISC REVIEW
『BLACK & WHITE』

FLOWデビュー10周年イヤーである2012年2月にリリースされた7thアルバムは、2011年の東日本大震災が大きく影響し、完成した。TVアニメ『べるぜバブ』のOPテーマであり22ndシングルでもある「Hey!!!」は、初期FLOWを感じさせるオーセンティックで勢いのあるロックンロールジャンプアニメとFLOWの化学反応による疾風怒濤のサウンドが小気味良い。23rdシングルの「ロッククライマーズ」はボーカル二人のユニゾンで聴かせる部分も多く、メロディックながら骨太で疾走するサウンドがライブユースな1曲。楽曲の中にドラマがあり、展開も多いことでドラマチックに響くのが印象的だ。シングル2曲のあとにはラウドながら幕開け感のある「革命」。まるでこのアルバムの本質が“ここから”始まるような感覚になる、ポジティブなメッセージに満ちたナンバー。アッパーかつロッキンなパーティーチューン「この際はっきりさせとこうか!」は軽やかなメロディで“俺は俺として生きていく」と真っ直ぐに歌い、ライブに行きたい欲が高まっていくよう。

続く「感情行進曲」はFLOWの5人の行進曲リズムの力強さは強く足を踏みしめていくようで、大地の大きな存在をも感じさせるようなダイナミックなナンバー。ダダダと鳴るビートに楽器を演奏するTAKEやGOT’S、IWASAKIの姿が浮かんでくる。全員で声を上げるパートの圧巻のパワー感は、震災の翌年の彼らの強い想いを宿す。続く「チェルシーガール」はラウドに轟くロックながら刻むビートコーラスワークのポップさで聴かせるラブソング。跳ねるエレクトロサウンドが、ラウドロックmeetsポップミュージックだからこそのメロウさを滲ませている。それに続くのは、FLOWのロックンロール(反骨精神)魂が宿る尖ったメッセージソングおはようジャポニカ」。ドラムとベースのパワー感に圧倒され、感情的に音を切り裂くように響くKEIGOとKOHSHIの歌声は、滲むハードな想いによって熱くも硬質な印象を覚える。

それに続くのはアルバムタイトルにもなっている『BLACK & WHITE』。黒と白。光と闇。調和と矛盾。アルバムのテーマが高らかに歌い上げられており、彼らのブレることのない普遍のメッセージがアルバムの象徴として改めて色濃く出たように思う。スペシフィックな音とともにエモーショナルなロックンロールが響き、コーラスワークでも世界観をより強く打ち出した感のある1曲だ。続く「旅立ちグラフィティ」は、本間昭光の編曲でドラマチックストリングスの音に彩られた1曲。春の、旅立ちの時期ならではの切なさと前向きな想いが同居しているのを感じる。真摯に紡がれる歌詞を手渡すようなKEIGOとKOHSHIの歌声も心に沁みる。絶望の中でもがきながらも前へと進み出す人たちへと歌うことで“光”になっていく1曲であり、聴く人それぞれが“光”であることをも歌い上げる珠玉のチューン。

そして、彼らが変わらず歌う“希望”の『BLACK & WHITE』でのカタチ――。2011年のツアーのタイトルであった「ON THE LINE」を、そこからの活動も辛さも喜びもすべてを詰め込み未来へと繋いでいこうという想いが満ちた、広がりのあるドラマチックロックンロールサウンドで届け、光を見つけて繋いでいく。最後の楽曲の繋がりに彼らの言い分が存分に詰まっているように思う。『BLACK & WHITE』はそんな1枚なのである。

TEXT BY えびさわなち

『BLACK & WHITE』
2012年2月22日発売

【初回生産限定盤(CD+DVD)】
品番:KSCL-1950~1951
価格:¥3,048+税

【通常盤(CD)】
品番:KSCL-1952
価格:¥2,913+税

<CD>
01. Hey!!!
02. ロッククライマーズ
03. 革命
04. この際はっきりさせとこうか!
05. 感情行進曲
06. チェルシーガール
07. おはようジャポニカ
08. BLACK & WHITE
09. 旅立ちグラフィティ
10. 光
11. ON THE LINE

<DVD>
01. 旅立ちグラフィティ Music Video
02. Hey!!! Music Video
03. ロッククライマーズ Music Video
04. ロッククライマーズ Off shot
05. The digest of the anime convention in USA DAYS (Live)
06. 12.4 日本武道館リスアニ! LIVE 2011」より

●公演情報
FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月
Vol.7「BLACK & WHITE」
3月26日(金)配信

FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月
2020年9月26日(土)配信:SPLASH!!! ~遥かなる自主制作BEST~
2020年10月26日(月)配信:GAME
2020年11月26日(木)配信:Golden Coast
2020年12月26日(土)配信:アイル
2021年1月26日(火)配信:#5
2021年2月26日(金)配信:MICROCOSM
2021年3月26日(金)配信:BLACK & WHITE
2021年4月26日(月)配信:FLOW THE MAX!!!
2021年5月26日(水)配信:26 a Go Go!!!
2021年6月26日(土)配信:#10
2021年7月26日(月)配信:TRBALYTHM
2021年8月26日(木)配信:???

●リリース情報
TVアニメ『シャドウバース』OPテーマ

新世界
発売中

【通常盤(CD)】
品番:VVCL-1679
価格:¥1,200+税

【初回生産限定盤(CD+Blu-ray+グッズ)】
品番:VVCL-1676~1678
価格:¥3,000+税

TVアニメ『バック・アロウ』2ndクールEDテーマ
「United Sparrows」
5月26日発売

【初回生産限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:VVCL-1872~1873
価格:¥1,700+税

【初回仕様限定盤(CD)】
品番:VVCL-1874
価格:¥1,200+税

<CD/初回生産限定盤>
01. United Sparrows
02. TickTaku
03. United Sparrows -instrumental-
04. United Sparrows -TV ver. –

<CD/初回仕様限定盤>
01. United Sparrows
02. TickTaku
03. United Sparrows -instrumental-
04. TickTaku -instrumental-

<Blu-ray>
01. 「United Sparrows」Music Video
02. 「United Sparrows」Music Video Making

関連リンク
FLOW 公式サイトFLOW 公式TwitterFLOW 公式YouTube
リスアニ!

掲載:M-ON! Press