株式会社アテニア(所在地:神奈川県横浜市中区代表取締役社長:斎藤智子)は、年齢を重ねるごとに顕在化する「シミ」のケア方法を研究し、メラニンが過剰に発生している部位ではターンオーバー方向が乱れ、角化*1が低下していることに着目。表皮角化細胞*2の垂直方向の分裂を促進する機能を指標に、機能成分を探索しました。
その結果、「緑茶カテキン」の一種であるEGCG(エピガロカテキンガレート)*3に、表皮角化細胞の垂直分裂*4を促進する効果があることを発見しました。

  • 本研究成果は、2021年3月26日~29日に開催された【日本薬学会第141年会】で発表しました。
<研究の背景>
 皮膚の一番外側を構成している表皮は、紫外線や乾燥、異物等の刺激から皮膚を守るため、基底から垂直方向(肌の外側)に細胞が分裂し、垢となって剥がれ落ちることをくり返すことで恒常性を保っています(=ターンオーバー)。この「垂直方向」の分裂は、紫外線等のストレスや加齢により乱れることが知られていますが、メラニンが過剰発生した部位においてもターンオーバーが乱れて、角化が低下していることに着目。
 そこで、アテニアは垂直方向分裂に導くタンパク質のひとつ「PKCζ(プロテインキナーゼCゼータ)*5」の活性化に着目し、表皮の垂直分裂を促進して表皮のターンオーバーを改善し、角化を促進する成分を探索・研究しました。
  • 検証1:メラニン過剰発生部位のターンオーバー方向の乱れと角化の低下
メラニン量とターンオーバー方向の比較
•メラニン過剰部位は、表皮の角化指標タンパク質*6が陽性の部分(赤色)が減少し、厚みも減少
•メラニン過剰部位は、細胞の中心にある核(青色)の並びが左右に広がり、乱れている

<結果>
メラニン過剰部位では表皮の角化が低下しており、垂直に分裂して進むターンオーバー方向に乱れがあることがわかりました。
▲図1 メラニン正常部位とメラニン過剰部位の角化指標タンパク質(赤色)の分布と細胞核(青色)の並びを比較
  • 検証2:「緑茶カテキン」が、表皮角化細胞の垂直分裂因子(PKCζ)を活性化
▲図2 EGCGの表皮角化細胞垂直分裂活性化機能
表皮角化細胞にEGCGを添加し、垂直分裂タンパク質(PKCζ)の活性化(リン酸化*7PKCζ量)を調べた。

•EGCGが表皮角化細胞のリン酸化PKCζを増加。


<結果>
「緑茶カテキン」の一種であるEGCGが、垂直分裂タンパク質(PKCζ)のリン酸化(活性化)を促進することを確認。

  • 検証3:「緑茶カテキン」が、表皮モデルにおいて角化を促進
▲図3 EGCGの表皮モデル角層促進
ヒト表皮三次元皮膚モデルに、EGCGを添加し、11日間培養後に皮膚の構造(厚さ)を観察。
•表皮モデルの表皮厚の増加を確認。

<結果>
「緑茶カテキン」の一種であるEGCGが、表皮モデルにおいても、垂直分裂タンパク質(PKCζ)のリン酸化(活性化)を促し、垂直方向分裂を促進していることを確認。


【結論】
「緑茶カテキン」の一種であるEGCGにより、表皮細胞の垂直分裂が活性化され、表皮における、垂直方向分裂を誘導して角化が促進されることにより、表皮恒常性機能の亢進が推測されました。
以上から、緑茶カテキンが細胞分裂方向を整えて角化を進めることにより、貯留したメラニンや、表皮の柔軟性が損なわれることで肌老化を進行させる古い細胞の排出促進が期待できます。

アテニアはこの研究結果を、今後のスキンケア商品に広く応用していきます。


【用語説明】
*1 角化:表皮において、基底の細胞が角層細胞と変わっていく過程のこと。
*2 表皮角化細胞:表皮を構成する細胞。基底層から押し上げられながら分化し、角層を形成する。
*3 EGCG:エピガロカテキンガレート。緑茶の主要な成分であるカテキン類の中で最も多く含まれる化合物
*4 垂直分裂:細胞の分裂には水平と垂直方向の分裂がある。同じ機能の細胞を増やす水平方向とは異なり、垂直方向は臓器の恒常性を維持するために機能性を持つ細胞を作る分裂。
*5 PKCζ:プロテインキナーゼCゼータ。細胞増殖の制御にかかわるタンパク質。
*6 角化指標タンパク質:表皮角化細胞が角化すると増加するタンパク質。本研究ではケラチン10を示す。
*7 リン酸化:タンパク質機能を調節する化学反応。リン酸基が付加されたタンパク質は活性化される。



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