東京商工リサーチが酒場、ビヤホール、そして居酒屋の2020年度における倒産動向を発表し、新型コロナウイルスの影響によりいずれも高いペースで倒産に至っていることが分かった。

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■倒産件数が4年連続で70件超え

 8日、東京商工リサーチが2020年度の「バー、スナック」の倒産状況を発表した。20年4月から21年3月における「バー、スナック」の倒産件数(負債1,000万円未満を含む)は75件で、前年度の73件から2.7%増となった。11年度以降の10年間を振り返ると、11年度と18年度の78件が最も多い倒産件数。15年度の43件が最も少ない数字。また17年度から4年連続で70件超えが続いている。

■小規模負債の倒産件数が3倍に

 倒産の形態別では「破産」が74件(前年度比:8.8%増)、個人企業の「小規模個人再生」が1件(前年度なし)だった。

 負債の規模別では、1,000万円以上が前年度比17.9%減の55件となった一方で、1,000万円未満は20件で前年度の約3.3倍となり大きく増えただけでなく、11年度以降を振り返ると、これまで最も件数の多かった18年度の17件を上回った。

 新型コロナウイルスの感染状況が収まらないことで、経営体力が弱い小規模や零細規模の店舗を中心として、営業短縮中の店舗は営業継続を断念し、休業中の店舗は営業再開を取りやめることで、バーやスナックの倒産がさらに増加する可能性を示唆している。

居酒屋の倒産件数が最高を更新

 9日、同社が2020年度の「居酒屋の倒産動向」調査を発表した。20年4月から21年3月における居酒屋(酒場、ビヤホール)の倒産件数(負債1,000万円以上)は175件で、前年度の149件から17.4%増となった。15年度の91件から5年連続で倒産件数が増えるとともに、01年度以降では11年度の134件、19年度の149件を超えて過去最高の倒産件数となった。

■小規模事業者の倒産が9割以上

 倒産の形態別では「破産」が166件(前年度比:18.5%増)、「特別清算」が2件(前年度なし)、再建型の「民事再生法」は6件(前年度比:3件減)だった。

 資本金の規模別では資本金1,000万円未満が164件、負債の規模別では負債1億円未満が158件と、どちらも全体の9割以上を占めており、小規模な事業者の苦境が見て取れる。

 また倒産の原因別では「販売不振」が156件(前年度比:20.0%増)で全体の9割近くを占めた。これ以外では「事業上の失敗」「既往のシワ寄せ(赤字累積)」「その他」が各5件となっている。

 今後についてはバーやスナックと同様に、新型コロナウイルスの影響が続くことで倒産が増える可能性が高いとしている。