全国学力・学習状況調査――通称「全国学力テスト」。日本全国の小学校6年生と中学校3年生を対象に2007年から始まったが、反対の声も根強く、中でも都道府県別にランク付けすることへの批判は大きい。

実は北朝鮮でも、同様の試験が行われている。毎年2月の全国学期末試験がそれに当たるが、今年の試験から地域別のランキングが発表されるようになった。

デイリーNK内部情報筋によると、高等教育省は先月27日、全国学期末試験の道、直轄市、特別市の平均点数を通知した。

それによると最も平均点数の高かったのは、教育環境の整っている首都・平壌だった。以下、慈江道(チャガンド)、咸鏡南道(ハムギョンナムド)、平安南道(ピョンアンナムド)、黄海北道(ファンヘブクト)、咸鏡北道(ハムギョンブクト)、開城(ケソン)市、平安北道(ピョンアンブクト)、黄海南道(ファンヘナムド)、両江道(リャンガンド)、江原道(カンウォンド)、南浦(ナムポ)市の順で、最下位は、経済特区のある東海岸の羅先(ラソン)市だった。

今回の結果を受け、下位となった江原道の教育部長、羅先市、南浦市の教育課長、市や郡で最下位となった学校の校長が解任された。子を持つ親の間では「伝染病(新型コロナウイルス)以前から生徒や教師のレベルが低いのは深刻な問題だったのに、すべて伝染病のせいにしている」「罪のない校長だけがこてんぱんにやられた」と、同情の声が上がっている。

今までなかった地域別のランキングが今年から発表されるようになったのは、科目別の平均点数が5点満点で1.2点から0.8点と地域ごとに差が大きく、また、全国の平均点数も昨年より下がったことで、新たに高等教育相に就任したリ・グクチョル金日成総合大学総長が指示したことによる。その狙いは、生徒の学力と教師のレベルを確認し、向上につなげることだ。

リ・グクチョル氏と言えば、リモート教育が進まない現状について意見した遠隔教育法執行のための非常設委員会の委員長を処刑に追い込み、そのポストを奪った人物だが、今回の結果を報告書にまとめ、中央党(朝鮮労働党中央委員会)に提出して直接状況報告を行い、対策を提案したことで、感謝状を受けたという。

高等教育省が出した対策というのは、各地の教員養成大学が電子教授(リモート教育)の授業プランを出して、それを評価する競演(コンクール)を行うというものだ。朝鮮労働党機関紙・労働新聞は先月30日、「党の政策化の審査、教授内容の実用化、総合化、現代化実現の審査、学生実力評価方法を改善した審査、電子教授案政策水準の審査に分け、指標別の評価点数を総合したものを基礎に順位を決める」と、この競演の評価方法を紹介し、優秀案は全国の教員養成大学に普及させると報じている。

しかし、いくらリモート教育を充実させたところで、さほど効果は望めないだろう。北朝鮮の教師は生活が成り立たないほどの薄給しかもらえないため副業に力を入れたり、生徒からワイロを受け取ったりするしかないほど待遇が悪い。中には授業を最初の10分だけ行なって、後は「自習しろ」「復習しろ」と言い渡して教室を離れ、自分の仕事をする教師も珍しくないとされる。

ハナから公教育への期待が低い富裕層は、子ども家庭教師をつけるなど私教育に力を入れる。かくして、教育格差は広がるばかりだ。

平城市の金正淑第一高等中学校