桜や菜の花が咲き誇り、新たに芽吹いた新緑がまぶしい春。一年で一番色彩が豊かなこの季節も、花粉症の人にとっては憂鬱な季節でしかない。
別の意味で春の風物詩になってしまった花粉症だが、どうもそれは日本だけのことではないようだ。一口に花粉症といってもそのアレルギーを引き起こす花粉には様々な種類がある。
アメリカでは2000年の時点で10人に3人が花粉症で苦しんでおり、しかもその人数はますます増え続けているそうだ。
その原因の1つは地球温暖化にあるという。冬が短くなれば、植物はそれだけ長い間成長することができる。それはつまり、それだけたくさんの花粉を飛ばせるということだ。
そしてもう1つ、アメリカでは意外な原因があるらしい。
人間と同じく、木々にとって性はそう単純なものではない。オスとメスが完全に株ごとに分かれている樹木(雌雄異株)もあれば、1本の木に雄花と雌花を咲かせる樹木(雌雄同株)もある。
どちらもアレルギーの原因となる花粉を飛ばすことには変わりない。しかし園芸家のトム・オグデン氏によると、雌雄異株のとりわけオスの木に問題があるのだという。
あるとき、彼が都心に引っ越したところ、妻が花粉症で苦しむようになった。気の毒の思ったオグデン氏は郊外を調べてみたが、そこも花粉だらけだった。
ここ数十年であらゆる場所に花粉が増えているらしかった。だが、彼はもう1つ奇妙なことに気がついた。それは木がオスばかりだったのだ。
その謎を解明するために、彼はアメリカ農務省が出版した1949年の農業年鑑を調べてみた。するとこうあった。
街路樹を植える際は、種に起因する問題を避けるために、オスの木のみを選ぶこと
種を結ぶのはメスの木だけだ。どうも行政の都市計画を担当する人間にとって、それはちょっとした面倒であるらしかった。
植樹政策の失敗が花粉症を誘発させた
アメリカではニレの木が人気だ。20世紀前半、同国の主要都市の多くにニレの木が立ち並んでいた。偶然にもニレの木はそれほど花粉を飛ばさない。だから、そのままなら何も問題はなかったはずだ。ところが不幸が起きた。イギリスから輸入されたオランダ産のニレから、悪性の病気が広まったのだ。そのおかげで、1989年までに、アメリカに生い茂っていたニレの木7700万本のじつに75%が枯れてしまった。
そこで失われたニレの木をどうにか復活させようと、各自治体で植樹が進められた。そのガイドラインとなったのが、例の農務省のお触れだ。
こうしてオスの木ばかりが植えられ、それが成熟するにつれて花粉を飛ばすようになった。
またオスとメスが自然に受粉して種を結ぶのを待つよりも、挿し木でクローンを作った方が手っ取り早かったことも事態をさらに悪化させた。
皮肉なことに、オグデン氏によると、これはまったく無駄なやり方だったという。もしオスではなく、メスだけを植えていれば、問題はそもそも起きなかったのだ。というのも、メスが種を実らせるのは、近くにオスがある場合だけだからだ。
References:Pollen allergies are getting worse each year. Climate change and sexism are to blame
花粉症の原因となる花粉は一年中飛んでいるが、日本の場合、花粉症の代名詞といえば春に飛ぶ、スギ・ヒノキ花粉だろう。4月から6月にかけてはシラカンバ花粉やイネ花粉、8月はブタクサ花粉、8月から10月にかけてはヨモギ花粉、カナムグラ花粉などがある。
私はそこまで花粉症はひどくない方なのだが、今年のスギ花粉は結構きつかった。やはり世界的に気候変動の影響で花粉の量も増えているのだろうか?
自分がどの花粉にアレルギーが強くでるのかは、病院で簡単に調べられるのでチェックしておくといいかもしれない。
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