立ち食いそばチェーン「名代富士そば」を運営するダイタングループ(東京都渋谷区)の元社員2人が4月8日、懲戒解雇されたのは不当だとして、解雇無効を求め東京地裁に労働審判を申し立てた。

懲戒解雇されたのは、元社員で「富士そば労働組合」の安部茂人委員長と書記長。未払い残業代などの支払いを求めて、労働審判を申し立てていた(2月に民事訴訟に移行)。

4月16日に都内で会見を開いた安部委員長は「涙が出るくらい悔しいですね。どれだけ命を削って会社のために貢献してきたか、信じてくれない会社が悔しい」と訴えた。

●「資料改ざん」を理由に懲戒解雇

ユニオンによると、2人が懲戒解雇されたのは1月29日付。会社側は2人の懲戒解雇について、残業代請求労働審判に提出した資料の改ざん・捏造、勤務管理システムの勤怠データ改ざんなどが理由と通知したという。

これに対し、ユニオンは会見で「会社側は全く証拠を示していない。そのような事実は全くない」と真っ向から否定した。

代理人の棗一郎弁護士は「手帳や勤務一覧表などの資料を提出し、労働時間の改ざんはしていないと主張していたが、会社は第2回労働審判の前に2人を懲戒解雇した。証拠の改ざんがあったかどうか、労働審判の中で証拠の価値を吟味するのが当たり前だ。頭にきている」と憤った。

安部委員長は「いい会社作りをしなければいけないという思いで組合を結成した。会社はこれからも組合つぶしをやってくるでしょうが、組合員全員で力を合わせて、会社の未来永劫のために邁進していきたい」と話した。

書記長は「怒りを通り越して、呆れている。会社のために部下のためにと思って身を削って頑張ってきた。時には家族を犠牲にしながら、なんとか部下のために利益のためにと思って長時間働いてきた。その長時間労働が悪しき風習でなかったことにされてきた。最後までしっかり戦い抜きたい」と訴えた。

●会社側の見解は

会社側は弁護士ドットコムニュースの取材に、「2人が時間外手当等の支払を求める労働審判に提出する証拠の改ざん等を行ったことを示す証拠関係については強い自信を持っておりますので、今後労働審判手続きにて適切に対応いたします」と回答した。

「悔しくて涙が出る」富士そば労組幹部が懲戒解雇 「組合つぶし」と無効訴え労働審判へ