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ホッキョクグマとハイイログマのハイブリッド種、ピズリーが増殖中

image credit:Helen Pilcher/Twitter

 アメリカで、ハイイログマ(グリズリーベア)とホッキョクグマハイブリッド種「ピズリー(pizzly)」が初めて目撃されたのは2006年のこと。

 気候変動が原因で、北極圏に生息するホッキョクグマが絶滅の危機に瀕していることは今や周知の事実だ。

 餌の減少によって内陸に後退したホッキョクグマが、アラスカに向かって北上したハイイログマと出会い、交雑(交配)して生まれたピズリーが、続々と増えているという。

【ホッキョクグマとハイイログマの異種交雑で誕生した「ピズリーベア」】


Rare Hybrid Bear of Polar Bear and Grizzly Bear

 地球温暖化が進む地球の中でも、特に北極圏における影響は深刻だ。現在のIUCNレッドリストによると、ホッキョクグマは「脆弱」に分類されているが、これは気候変動が生息地の変化を引き起こし、最大の脅威となっているからだ。

 そのため、ホッキョクグマは内陸に後退。一方では、内陸に生息するハイイログマも温暖化によりアラスカに向かって更に北へと移動している。

 そんな両者がアラスカで出会い、交雑(交配)して生まれたのがハイブリッド種のピズリーベアだ。


 温暖化が進む世界で、ホッキョクグマの食生活がどのように変化しているのかを調査してきた古生物学者のラリサ・デサンティス氏率いる研究チームは、ホッキョクグマは過去1000年の間、アザラシの肉を主食とした食生活を続けてきたと考えている。
ホッキョクグマは、アザラシを主食とし、その脂肪や肉を食べて生活してきました。ですが、アザラシを含む海氷動物も減少しているため、ホッキョクグマにとって近年は脂肪分のある食べ物を得ることがますます困難になっています。

新しい交雑種、ピズリーは、気候変動に対して柔軟性があり、暖かい気温に適していると推測しており、今後の温暖化の世界に適応して生きていけることを望んでいます。


2頭の遺伝子を引き継いだ特徴

 研究チームによると、1000年前を生きたホッキョクグマは、中世の温暖化の時代に生きてきたとされているが、異なる時期のホッキョクグマの歯を調べると、どの時代にも硬い食べ物を食べていなかったことが判明したという。
 また、ホッキョクグマとハイイログマの口の分析も行った結果、ハイイログマは動物の死骸や植物塊茎などの硬い植物を食べるのに適した歯の作りで、犬歯が小さく大臼歯が大きいこともわかった。

 更に両者の頭蓋骨の比較では、それら特徴の組み合わせが現代の生活により適した交雑種を作ることができるということも発見。

 今、転換期に来ているホッキョクグマは、好んでいない硬い食べ物を消費することを余儀なくされる状況にある。

 交雑種であれば大量の脂肪分を摂取する必要もなく、温暖化に適した食生活を柔軟に取り入れることが可能になるのではと期待されている。


 これまでに発見されたピズリーベアは、白っぽい茶色をしており、2種の遺伝子を受け継いだ鼻が特徴的だという。

References:Vulnerable Polar Bears Are Mating With Grizzly Bears To Create Hybrid Animal / written by Scarlet / edited by parumo

 
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