JR東日本185系が特急「踊り子」から引退したことにより、JR西日本381系が国鉄特急形電車として唯一特急列車に使われています。しかし、381系にも置換計画があるようです。

営業車両としては初の振子式電車

2021年3月13日(土)のダイヤ改正で、JR東日本185系特急形電車が特急「踊り子」から引退しました。これにより、定期運行を行う特急列車で唯一の国鉄特急形電車となったのが、特急「やくも」として使われるJR西日本381系特急形電車です。

381系電車は1973(昭和48)年から1982(昭和57)年まで製造された直流用の特急形電車。車体は軽量化を図るためにアルミニウム合金製となり、591系試験電車の試験結果を反映した、営業車両としては初の振子式電車です。「振子式」とは、カーブ区間を通過するときに車体を傾けることで遠心力を緩和し、速度を下げることなく乗り心地も損ねないようにした車体傾斜装置のひとつです。

1973(昭和48)年7月10日、曲線区間が多い中央本線名古屋~塩尻間の電化にあわせて名古屋と松本・長野を結ぶ特急「しなの」に381系を投入。1978(昭和53)年10月2日には阪和線紀勢本線の特急「くろしお」、1982(昭和57)年7月1日には伯備線の特急「やくも」でも381系の使用を開始しました。

当初、381系の先頭車は前面に貫通扉を設けていましたが、1976(昭和51)年製造分からは非貫通型の100番台となりました。JRになるとグリーン車のサロ381形を先頭車化改造したクロ381形やクロ380形が登場。このうち、クロ381形の10番台は特急「しなの」、クロ380形は特急「スーパーくろしお」と「スーパーやくも」用のパノラグリーン車です。このほかにも編成短縮を目的とした改造車が登場しています。

置換計画は2022年から2023年にかけて

特急「しなの」で使用していた381系は後継車両の383系電車の登場により、2008(平成20)年5月をもって運行を終了。特急「くろしお」「スーパーくろしお」に使用していた381系も、287系電車や289系電車の投入により2015(平成27)年10月で運行を終了しています(「スーパーくろしお」は2012〈平成24〉年3月改正で「くろしお」に統合)。

また、特急「くろしお」に287系を投入したことにより余剰となった381系が、2012年6月1日から特急「こうのとり」で使用されるようになりましたが、「こうのとり」への289系投入により2015(平成27)年10月30日で運行を終了。381系は特急「やくも」のみで使われるようになりました(「スーパーやくも」は2006〈平成18〉年3月改正で「やくも」に統合)。

2021年4月現在、381系の特急「やくも」は岡山~出雲市間を1日15往復しています。そのうち4往復のグリーン車は、パノラグリーン車のクロ380形です。

しかし、381系も引退の時期が近づいているようです。

JR西日本ウェブサイトの法人向け情報「調達計画」では、参考として「JR西日本の保有車両一覧」を公開しており、そこには2020年4月1日現在、「381系 約60両を新製車両に置換計画あり(投入予定時期 2022~2023年)」と記載しています。

「置換計画については、今後変更する可能性があります。」との注釈も記載していますが、そう遠くない時期に381系は引退を迎えるものと思われます。

特急「やくも」に使われる381系特急形電車(画像:AC)。