4月1日から総額表示が始まりました。

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 平成16年2004年)から税込表示が義務付けられました。当時、ぼくは大学生バーミヤンアルバイトをしていて、メニューが変更になったことを覚えています。しかし、店頭や広告で価格を見ると、いつのまにか税別表示で溢れています。結局、税込の金額を計算したり、併記されている税込価格を探したりしなければならず煩わしい。

 誤認防止措置を講じていれば税込価格の表示をしなくても良いこととする特例が平成25年2013年)から実施されていたからです。特例は、消費増税による販売価格変化のための事務負担軽減が理由で、「○○+税」「○○円(税別)」などの単独表記が認められていました。しかし、それも先月で終了。これからは、税込価格を必ず表示する必要があります。

ユニクロはどうして価格を変更せず値下げをするのか

 ユニクロやGUが価格を据え置く実質値下げを行っていることが話題になっています。以前、税込表示が義務付けられたときも同様の施策を実施していました。これはメニューコスト理論に基づくものだと考えられます。

 商品や商品棚にある値札を変更するには、人件費などがかかります。そのコストを考え、値下げになったとしても表示価格を変更しない方が得策であると事業者が判断すれば、価格は据え置かれます。多くの企業が値札を変更する中で、実質9%の値引きをするとメディアが報道することで広告効果も期待できます(もちろん企業への負担はかかりますが)。

●価格はどう変化するか

 総額表示にしない業者に対して罰則はありませんが、ほとんどの事業者が表示を変更するものと思われます。ただし、このタイミングで値上げをした事業者もあり、単純な負担感の増加だけにとどまらない変更となっています。

 価格設定では、3980円や1万9800円といった安さの演出が散見されます。4000円、2万円と表示されるより、消費者に訴求する効果があるのは間違いありません。しかし、総額表示となると、本体価格を変更しないと意味を成しません。

 例えば、事業者は本体価格3980円の商品を、値下げして税込3980円とするか、そのまま消費税分を上乗せした4378円、もしくは切りのいい価格とするかを検討する必要があります。もちろん、全ての商品を一括して値下げ、あるいは値上げするわけではなく、商品ごとの戦略に基づいて変更することになります。

●総額表示には消費者のメリットがあるか

 ぼくは、コンビニスーパーなどで商品をカゴに入れる際は総額を暗算しています。電子マネーQRコード決済が普及する前、現金で支払っていた時の名残で、レジでスムーズに会計するために行っていました。

 総額表示となったことで総額の計算がとても楽です。商品を手にとったときの価格とレジでの価格の差異もなくなり税の負担感も減少しました。

 また、税別98円、298円などの価格設定がなくなることで、端数が発生する割合が減り、財布の小銭が少なくなる可能性もあります。

 総額表示になっても、みなさんの実質的な負担は変わりません。むしろ、今後、消費税や酒税の増税があっても、負担感が少ないので消費の冷え込みを抑えられる効果があります。複雑な価格を目で見て脳で処理することも考えると、税別価格の表示を取りやめた事業者を個人的には高く評価したいと思います。

(さんきゅう倉田:大学卒業後、国税専門官試験を受けて東京国税局に入庁。法人税の調査などを行ったのち同退職、芸人となる。芸人活動の傍ら、執筆や講演で生計を立てる。好きな言葉は「増税」)