ひと昔前までは、生まれ持った性質や外見が笑いのネタとされるのは当たり前のことでした。
時代は移り変わり、価値観は変化していくもの。2021年現在では、『容姿いじり』を筆頭とした『いじり』に不快感を覚える人が増加しています。
同年4月8日、お笑いトリオ『3時のヒロイン』の福田麻貴さんがTwitterで『容姿いじり』のネタを封印すると宣言し、話題になりました。
あと今度改めて詳しく書きますが、この数週間で容姿ネタに関してじっくり考える機会が何度かあって、私達は容姿に言及するネタを捨てることにしました!思いはまた書きます。エンタはそう決める前に収録したもので、さらに別番組で5月にもう一本そのようなネタが放送されますが、以降は作りません。
— 3時のヒロイン 福田麻貴 (@fukudamaki) April 8, 2021
『EXIT』兼近大樹の、『容姿いじり』に対する考えが話題に
同月18日に放送された情報番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)では、福田さんの投稿を紹介。
番組に出演した福田さんは、『容姿いじり』の封印宣言について「ここまで話題になるとは思っていなかったので、ビックリしている」と気持ちを明かしました。
『容姿いじり』を封印した理由について世間的にウケなくなっていることや、そういったネタを披露することで誰かが傷付く可能性が生じる点を挙げた福田さん。
現にネットでは、バラエティ番組などでの『容姿いじり』に対し「日常生活でマネする人は少なからずいる」「いじめにつながる」といった批判的な声が多数上がっています。
コメンテーターとして出演しているお笑いコンビ『EXIT』の兼近大樹さんは、今回の件についてこのように持論を展開しました。
ワイドナショー ーより引用僕、思うのが、本当「お笑いってサーカスだな」っていうのがすごく感じてて。
実際に入ってみて感じたのが、やっぱ上の世代の面白い方々って、芸人同士でサーカスしてるんですよ。
だからナイフを投げても当たらないし、空中ブランコで飛んでも(腕を)取ってくれる。これが行われているのがテレビとかお笑いの世界で。
これで危険な行為だから、一般の所で行われるとケガするに決まってるんですよ。
当たり前のようにマネしてナイフ投げて刺さって「いてえ、ケガした」ってやってるからアホなんですよ、一般の人たちって。
でも芸人の面白い人たちって、それを理解して、危険なものだってある程度分かってるけど、それをあえてやるから面白くなっているというか。
お笑いタレントはお互いに合意の上で『いじり』を行い、打ち合わせをした上で笑いを取っています。
しかし、お笑いタレントの言動を一般人がマネしてしまうと、兼近さんがいうように『失敗』につながる確率が高いでしょう。
笑いを取るつもりで発した言葉はナイフとなり、相手の心を深く傷付けます。特に、加減を知らない子供の場合は、『容姿いじり』が学校内でのいじめにつながることも珍しくありません。
「お笑いタレントの言動はショーのようなもの」と主張した兼近さんの意見に対し、ネットからは共感する声が相次ぎました。
・大人はまだしも、子供はすぐにマネするからなあ。自分たち大人も気を付けなければ。
・お笑いも時代とともに変化してるしね。こんな当たり前のことも分からない人が多いという悲しさ。
・『容姿いじり』って、お笑いタレント同士は合意でも、同じ特性を持つ一般人にナイフが飛んで行くから難しいよね。
2019年にお笑いコンビ『アインシュタイン』の稲田直樹さんが企画で『ブサイク芸人1位』に選ばれた際は、「僕はプロだから平気ですが、絶対に一般の人をいじらないで」と呼びかけたことが話題になりました。
ブサイク1位に選ばれた、アインシュタイン稲田の言葉に称賛の声 「泣いた」「かっこいい」
きっと、時代の流れとともにお笑いの形も変わっていくでしょう。
それに伴い、私たち視聴者の価値観もアップデートが求められているのではないでしょうか。
[文・構成/grape編集部]
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